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ある労働運動指導者の遺言 足立実の『ひと言』第80回「確信をもって春闘をやろう」 1998年3月15日

 まず われわれの労働をしっかり確認する必要がある。
 もし、労働がなかったら・・・原料は製品になるのか。トラックは荷物を運べるのか。スーパーで物を手に入れることができるのか。子供は保育をうけられるのか。パソコンはさまざまな資料を生みだせるのか。病院は患者を救えるのか。障害者は社会的自立に進めるのか・・・。
 明白である。労働(肉体的・知的)はあらゆるものを創造する偉大な役割と価値があり、その担い手がわれわれ労働者だ。これは子供たちに堂堂と誇れる職業である。
 意地汚い官僚・利権政治家・証券・銀行をはじめ悪徳資本家は、ただの社会の寄生虫なのに、年収4千万円とか、退職金も天下りを重ねて何億円・・・!  まちがってるよ。
 われわれは労働の偉大な価値にみあわない貧しい賃金だから、改善を求めて春闘をやるのであり、大巾賃上げ・労働時間の短縮・福利厚生の向上・組合権利の改善などは、すべて完全に正当な要求である。
 気の弱い経営者を自殺に追いこむようなことが目的ではない。経理を公開すれば、納得のいく解決策を見いだすことができよう。

 5年間中断した「ひと言」を復活し、組合員のみなさんと交流の場を与えてくれた編集部に感謝する。
 読者の反論や討論を歓迎します。
足立 実

(画像は東京兜町に軒を連ねる証券会社。「社会の寄生虫」?)

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3月ということで春闘にちなんだコラムである。
労働の価値を「労働はあらゆるものを創造する偉大な役割と価値があ」ると説いている。
これに対して「意地汚い官僚・利権政治家・証券・銀行をはじめ悪徳資本家は、ただの社会の寄生虫」と、職業の貴賤を述べているようにも受け止められる内容であり、これについては議論の別れるところであろうが、管理人としては筆者の意見に首肯する。特に「証券・銀行」など金融業はお金を右から左に動かすだけでその労働によって何の価値も作り出さない「社会の寄生虫」との意見には説得力があるのではなかろうか?
やはり社会を動かしているのはエッセンシャルワーカーはじめとした労働者であり、それについて誇りと自信をもって春闘を闘うようにと組合員を勇気づけている。

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