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くまさん

はるが きて めが さめて
くまさん ぼんやり かんがえた

さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ

だれだっけ

まど・みちおさんの大好きな詩。(続きもとってもかわいい)

―――

数時間前から雪が降っている。
こちら東京、多摩地区。
私は、
今が春だったか冬だったか
分からなくなった。

確か昨日は
早咲きの桜を愛でながら
小鳥たちの歌を楽しんだはず。

前にもあったっけ
桜と雪を同時にみたことが。

桜(ソメイヨシノ)と雪は、美しさの種類が似ている。
音もなく、そっと消えていく様。
はかないことが美しい、とは書きたくないが、
天に向かってつき上げた手のひらに ふわりと落ちる雪と桜は、
間違いなく、きれいだ。
(雪国暮らしを知らないから、雪をはかないと感じるのかな。)



今日は通院日だった。
四物湯(しもつとう)が処方された。
添付文書には
症状∶しもやけ
(注・効果効能のひとつです)

冷えすぎて感覚のなくなった足先を、バケツに突っ込み解凍した。

ええと 今日は…
3月5日、啓蟄(けいちつ)。
「土中で冬ごもりしている虫が、春の訪れを感じて穴から出てくる頃」

暦の上では、とっくに春。
知ってはいても、
私にとって、梅と沈丁花と桜は、
春という扉の前に咲いている花。
シロツメクサを見かけると、やっと “春になった” と
身体で納得する。



マイペースで頑固な私でも、
これだけは、すんなり認められる。
“季節は巡っていて 巡っていく”


自然が教えてくれる、このシンプルなメッセージに、
どれほど救われてきただろうか。

―――

そういえば、
数週間前(2月中旬)
かえるさんも分からなくなって、
道路の真ん中に座って
考えこんでいた。

どうやら、戸惑っているのは私だけではないようだ。


2024.3.5

啓蟄(けいちつ)は、木々が芽吹く季節。
人も冬の間に閉じ込めていたものを解放し、動き出すのによい、らしい。

私はもう少し、冬眠していたい。
固く結ばれた椿の蕾に、
こっそり打ち明けた。

椿は蕾がコロンとしていて、
かわいらしい。


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