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日本のジェンダー・ギャップは大問題

 世界経済フォーラムが2023年6月21日に”Global Gender Gap Report 2023”を発表し、その中で、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数”Gender Gap Index: GGI”を発表しました。この指数は、経済・教育・医療・政治の4分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示しています。2023年の日本の総合スコアは、0.647(2021年は0.650)、順位は146か国中125位(2021年は156か国中116位)でした。日本の場合、原因は経済分野と政治分野でのスコアが総合順位を下げていることにあります。リーダーシップを発揮すべき分野で、評価が著しく低いことに起因しているといえるでしょう。日本のジェンダー・ギャップ指数は、世界からみても低い順位で隣の韓国や中国より低かったのは衝撃でした(韓国は105位、中国は107位)。
 逆に1位はアイスランド、2位はノルウェー、3位はフィンランドと北欧が占めています。理由は、北欧は地方自治、基礎自治体への地方分権が進んでおり、高福祉高負担の福祉国家は、議員構成が非常に多様だからです。ノルウェーでは首相は女性。閣僚の約半数が女性です。性別だけでなく年齢も幅広い。18歳になる年から議員になれるので、地方議会には高校生の議員もいます。北欧では「議会の風景は、社会を反映する鏡でなければいけない」と言われます。4位のニュージーランド、6位のドイツ、15位の英国は既に女性首相を輩出したので女性がリーダーシップを発揮した実績がある国々です。日本はジェンダー・ギャップが問題だから、企業では女性が働く職場環境が悪く、政治では麻生発言のような世界の笑いものになるような恥ずかしい事態が起こるのです。
 日本は議員の大半が高齢の男性。若者や女性の求めていることが、政治に反映されにくい構造になっています。日本の若者の投票率が低いとよく問題視されますが、私は当たり前だと思います。日本人は自分の1票で何かを変えられると思っている人が少ない。それは「おじさん」以外の人が、物事を決めるテーブルに座っていなかったからです。国会など政治の意思決定の場のほとんどを高齢の男性が占めている。自分たちが何を求めたとしても、決めるのは「おじさん」。それでは女性や若者が自信も自覚も持てないと思います。政治が他人事になります。比喩的に言うと、北欧の「決定のテーブル」は丸く、日本は長方形です。日本は上座と下座があって、上座に座る偉い人の意見ばかりが通る。北欧は丸いテーブルで、座った人みんなに発言権があるイメージです。丸いテーブルにいろいろな人が座れたら、「選挙に行こう」と言わなくても、自然と投票に行くようになります。「自分の力で政治が動く」と思えるようになるからです。
 少子高齢化で労働人口が縮小していく中、ジェンダー・ギャップ問題の解消はまったなしです。米国の企業でさえ、女性を強制的に管理職に置くことを数値目標として置いて、そして女性の経営者を置くことも計画に入れて、毎年、厳しくその進捗をはかっています。日本もそれくらい政治や経済の分野で強制的にジェンダー・ギャップ指数の改善を行うべきだと思います。ジェンダーによって関心の高い政策テーマは違います。例えば、女性は教育や子育て政策に敏感です。北欧諸国では、子育て支援制度が充実している国が多く、出生率が高い国も少なくありません。フィンランドでは、7歳から16歳までの義務教育期間が設けられており、授業料や教科書、教材、交通費、給食などが無償で提供されています。ノルウェーでは、保育園を「就学前の幼児教育の場」と位置づけており、希望すれば誰でも保育園に入れます。また、スウェーデンでは、両親の育児休業制度や所得制限のない児童手当など保証が充実しており、男女とも子育てしやすい環境が整っています。少子高齢化が進む日本こそ、これらの急務となる対策を打つために日本は強制的でもジェンダー・ギャップを解決する指数を目標数字として経済や政治の分野で置いて、毎年、その進捗をはかることから本当の行動が始まると言っても過言ではないと思います。
 


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