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ドンペリは開けてもらえなくなったけど。

私たち夫婦は2007年に結婚して
2016年に子どもが生まれました。


長いこと気ままなDINKSを
やっていたので、
今でも当時を思い出しては
比べてしまうことがよくあります。


チビが産まれる前、私は
今の勤務校である日本語学校で
45分授業を8コマ教えた後、

有楽町まで移動して
社会人スクールで
19時から50分授業を
1コマまたは2コマ
教えたりしていました。


今考えるととんでもない
重労働ですが、
子どもがもしいなかったら
今でも出来たかもしれない。



そこの社会人スクールで、
長いこと私を指名、更新してくれて
マンツーマンで習って下さっていた
マイケルさん(仮名)という方が
いたんです。

このスクールは
1回のレッスン50分が5,000円という
高級志向のスクールでした。


まあ、私に入るのは
1回1,700円でしたがね(暴露)。
準備と後処理の時間を含めて
時給600円を切りますがね😆



※ここがボッタクリなのではなく
 業界の相場です。
 英会話教師もこんな感じです。

スタッフ:「みおいちさん、3番テーブル
     ご指名で〜す!」
みおいち:「あらん💕マイケルさん、
     今日も来てくださったのね、
     んふっ💕」
マイケル:「当然よ!今日は気前よく
     ドンペリでも開けるぜぃ!」
みおいち:「いや〜ん💕ス・テ・キ❤️」


↑以上、華麗に妄想入っています。

※この部分は要らない、とか
 言わないでくださいね。


話を戻します。
そのマイケルさんが
私の妊娠を報告した時に
言ったんです。

「先生、子どもなんて
 いない方がいいのに。
 大変だよ。
 うるさいし、言うこと聞かないし。
 自分の時間もなくなるよ」


マイケルさんは
2人のお子さんのパパで
優しくて仕事の出来る
世界的に有名な大手企業にお勤めの
役職者でした。


私の出産を機に長い付き合いも
終わりになってしまったのですが、
そうですね、
マイケルさんの言ったことも
理解できます。


子どものお迎えがなければ
授業の後で残業できるから、
朝、授業準備(主に教材コピー)のために
いつも早く起きて
早く学校に行かなくてもいいし、


勤務校の授業後も
急いで帰ってご飯を
作らなくてもいいから、

社会人スクールで仕事を入れて
ダンナには勝手に食べてきてもらって
優雅に外食も出来ます。


チビのいないとき限定で
こっそり好きなお菓子を食べて
お菓子の袋を証拠隠滅するために
画策しなくてもいいし、


あれほど大好きだったのに
全く行かなくなってしまった
美術館巡りだって出来ます。


片付けろ、勉強しろ、と
怒っては後悔しなくてもいいし、

おねしょの後片付けに
ひえぇ〜、とならなくても済みます。


お迎えに行かなくて済むから
仕事で足が棒のように
痛くなったら
帰宅してからダラダラ出来るし、


もっと毎日オシャレに気を使って
勤務校に行くことも出来るし、


好きな服やバッグを
もう少し自由に買って
着物も、多分古着でも買って
エステに行くことも出来ます。


栄養バランスに気をつけた食事を
毎日毎日、疲れていても
ウンザリしながら作らなくてもいいし、


部屋もあまり汚れないから
多少、掃除をしなくても
済みます。


土日は夫婦2人で好きなだけ寝ていても
上に乗られて起こされることもないし、

習い事の時間にバタバタと
焦って準備する必要もありません。


PTAがなんちゃら、とか
ママ友との付き合いは大変だ、とか
そういうマイナスな情報に
惑わされなくてもいいし、


チビが病気になったときの
あの喧騒、


大変な中通院して
心配して、看病して、


そんな忙しい中でも
代講の先生方を全クラス分
探して、見つからなくて、
困って、何とか頼んで、


良くなったら
オシャレなお菓子を幾つも買って
各方面に謝って回る必要もないし、


あ〜また今月も
お給料が減る、なんて
悩まずに
ガンガン稼ぐことも出来ます。


犯罪者になったらどうしよう、とか
事故に遭ったらどうしよう、とか
チビのために心配を
しなくてもいい。

ジムに定期的に通って
ナイスバディになることも
努力次第では、
出来るかもしれない。

忙しすぎて行けない
歯医者や
頻繁に行けない
美容院にも
もう少し余裕を持って
行けるかもしれない。



だけど、


夜、寝る時に暗闇で
甘えた声で
「おかあさん、いつもありがとう」
と言われて
きゅんとなる。


足が疲れて痛くても行った
学童保育のお迎えの帰りに
一緒に手を繋いで歌いながら帰る。


しりとりをしながら
お風呂に入ったり、
チビが開発した
宝探しの暗号ゲームに盛り上がる。


料理をしながら
ふとチビを見ると、
ぬいぐるみを抱っこしながら
テレビを見ていて
癒される。


乳歯がひとつ
抜けるたびに、
可愛くて写真を撮ってしまう。


チビが描いた絵も
可愛くて写真を撮ってしまう。


背が少し伸びたかな、と
思うたびに
チビが私の身体で身長を
計りに来る。



子どもがいなかったら
見ることもなかった
ドラえもんの映画で
感動する。


子どもがいなかったら
出会うこともなかった
ママ友と
スーパーで会ってお喋りしたり、
子どものことについて
相談したりする。


チビの小学校に行って
自分の幼少期に
思いを馳せる。


ひとりで買い物していても
これはチビが好きかな?とか
喜ぶかな?って考えて
なんとなく嬉しくなる。


チビより上の子の
作品や頑張りで感動して泣いて、
チビより下の子や
妊婦さんを見て
心があったかくなる。



これでいいんだ。


幸せの種類なんて
人の数ほどたくさんあって
きっとチビを授からなくても
私はダンナと2人で幸せだったけど、


今の私にはこれが
この道がいいんだ。

あの、小さいひとが
大きい声で騒いで
身体全体で笑って
猛スピードで走り回っている。


そんな一瞬に
幸せを感じる。



マイケルさん、
もう、ドンペリは
開けてもらえなくなったけど

※いや最初から開けていない


私、今でも幸せですよ。
楽しいよ。
マイケルさんは、お元気ですか?

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