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【日経新聞から学ぶ】出生数、初の40万人割れ 2022年1月~6月 

1.日本の出生数が激減中

日本の出生数の低下に歯止めがかかりません。

出生数、初の40万人割れ 1~6月 コロナ下の婚姻減響く
厚生労働省が発表した1~6月の出生数(速報)は前年同期比5.0%減の38万4942人だった。2000年以降でみると、上半期で初めて40万人を割り込んだ。少子化が進んでいることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う婚姻数の減少や妊娠控えが響いた。

22年1~6月の死亡数は77万7213人と、前年同期比で4万8269人(6.6%)増えた。出生から死亡を差し引いた自然増減は39万2271人のマイナスだった。前年から減少幅が拡大し、人口減が加速している。

出生数などを含む厚労省の人口動態統計の速報は日本在住の外国人らを含んでいる。日本に住む日本人のみで集計する確定数では、さらに出生数が少なくなる可能性が高い。

日本経済新聞:2022年9月1日

22年の半年が経過したところで、早くも出生数の激減が報告され、人口減少に拍車がかかっています。合計特出生率も低下しています。

21年の出生率1.30 少子化対策見劣り、最低に迫る 6年連続低下
出生率は05年の1.26が過去最低。21年の1.30は前年より0.03ポイント低下し、過去4番目に低い。1.5未満が「超少子化」水準で、1.3未満はさらに深刻な状態とされる。出生数は81万1604人と前年比2万9231人減で6年連続で過去最少だった。厚労省は15~49歳の女性人口の減少と20代の出生率低下を理由に挙げる。

日経新聞2022年6月3日
図表(21年の出生率1.30 少子化対策見劣り、最低に迫る)

合計特殊出生率とは、1人の女性が生涯のうちに産む子どもの数の平均です。15~49歳の女性が産んだ子どもの数を、それぞれの年齢別の人口で割って合算します。専門家によって違いはあるものの、1.5未満が「超少子化」とされ、1.3未満はさらに深刻な区分とされています。2022年に発表された日本の合計特出生率は深刻な区分です。

日本は終戦直後は4.0を超えていました。1947年~49年生まれの「団塊の世代」が20代後半になった75年に2を割り込み、低下傾向が続きます。95年に1.5を下回り、05年には過去最低の1.26を記録します。近年は1.3台で推移しています。人口を維持するには2.06~2.07が必要とされます。日本は国境を越える人口移動が乏しいため、将来の人口規模は出生率でほぼ決まります。そのため、1.3という合計特出生率は、人口が急減していく可能性のある数字なのです。

2.実は世界人口も今世紀中に減少の予測

日本でも海外でも2022年7月12日に一斉に報じられたのが以下の記事です。

世界の人口増1%割れ 戦後成長の支え、転機に
世界人口の年間増加率が、統計を遡れる1950年以降で初めて1%を割り込み最低となったことが、国連が11日に発表した推計で明らかになった。人口規模が世界最大の中国も長年の「一人っ子政策」などが響いて2022年から人口減に転じ、23年にはインドと逆転する。人類史でも特異な20世紀の経済成長を支えてきた人口爆発は近く終わりを迎える。

日経新聞:2022年7月12日

Global population growth hits lowest rate since
1950世界の人口増加率は1950年以来最低に
UN reports overall decline in pandemic-hit Europe and slowdown elsewhere
国連、パンデミックに見舞われた欧州で全体的に減少、その他の地域では減速を報告

The global population grew by less than 1 per cent a year for the first time since the aftermath of the second world war in 2020 and 2021 with Europe’s total population actually falling during the coronavirus pandemic, according to a UN report.
国連の報告書によると、2020年と2021年の世界人口の増加は、第二次世界大戦後初めて年1%未満となり、コロナウイルスの大流行時にヨーロッパの総人口は実際に減少しているとのことです。
The populations of 61 countries are forecast to decrease by at least 1 per cent between 2022 and 2050, and the associated low fertility rates will also combine with better healthcare to accelerate the ageing of societies.
2022年から2050年の間に61カ国の人口が少なくとも1%減少すると予測されており、それに伴う少子化も医療の充実と相まって、社会の高齢化を加速させると考えられています。

2022年7月12日FINANCIAL TIMES
図表:初めて減少する世界人口予測

上記で確認したのは、国連の予測をもとにした記事ですが、さらに衝撃的な予測もされています。それは、ワシントン大学保健指標評価研究所の論文です。2020年7月14日の英医学誌ランセットに掲載されました。この論文では、出生率の低下により、世界の人口は2064年ごろには約97億人に達してピークを迎えますが、今世紀末までには約88億人にまで減少すると予測されています。さらに、日本の人口は2017年には約1億2800万人だったが、今世紀末までに5300万人以下に減少するとの予測。イタリアでも日本と同様に、同時期に約6100万人から約2800万人へと劇的に減少するとみられています。

日本とイタリアにスペインやポルトガル、タイ、韓国などを加えた計23か国で、人口が半数以上減少すると予測されています。現在、世界で最も人口の多い中国は、約14億人をピークに2100年までに半数近く減少して約7億3200万人になると見込まれています。イギリスは2063年に約7500万人となって人口はピークを迎え、2100年までに7100万人へと減少する見通しです。2100年の世界では、人口1位はインド、2位はナイジェリア、3位中国、4位米国と論文では予測されています。

そして、世界195か国中183か国で出生率が人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特出生率)を下回ることになるのです。さらに論文は以下のことを予測します。

  • 5歳未満の人口:2017年の約6億8100万人から2100年には約4億100万人へと減少

  • 80歳以上の人口:2017年の約1億4100万人から2100年には約8億6600万人にまで急増

とてつもなく高齢化が進む世界で、誰が税金を払うのか?誰が高齢者医療の負担をするのか?誰が高齢者の世話をするのか?これまで通り定年退職できるのか?など、全世界的に高齢化社会問題が起きてくるのです。世界の多くの国で人口減少への対応が最優先の政策課題となってくる可能性が大です。

3.どうする日本?

日本は人口動態に関する2つの現実に正面から向き合う必要があります。1つは少なくとも向こう数十年間は人口減少が確定的であるということです。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、子供を多く生んでいる25~39歳の女性の数は今後の四半世紀で減り続け、45年には771万人と20年比で23%減まで落ち込みます。これは、これまで続いてきた少子化によって、確定した未来と言えます。母親となる女性が減るので、合計特殊出生率が少し上昇したとしても、出生数自体は減ってしまうのです。

もう一つの問題は出生率が人口置換水準である2.07を超えなければ、いつまでたっても人口減少は止まらないということです。人口問題研究所の長期推計では53年には1億人を割り込み、2100年には6118万人と今と比べてほぼ半減します。(ワシントン大学保健指標評価研究所の推計は5300万人以下)

政府は子どもを持ちたい人の希望がすべてかなった場合の出生率1.8(希望出生率)を少子化対策の目標にしています。しかし、仮に1.8を実現しても人口減少が続くことには変わりありません。

ここまで見てみると、日本も世界も、もはや人口は増えることなく、減少していく、高齢化していくことを受け入れて、それを前提に社会を運営していくしかありません。日本が経済的に成長していくためには、人手不足を前提に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進しかありません。また、高齢化社会への対応も「人」に頼っていたら、それは、無理なモデルであることも間違いありません。高齢者のお世話についても、ロボットの活用が必須になると思われます。また、年金財政が厳しいのは、日本だけではなくなります。公的年金だけに頼ることなく、自分で老後資金を残していかなければならないでしょう。その流れの一つが日本でも政府が金融教育を国家戦略にする(2022年8月29日:日経新聞)ということでしょう。これまでの公的年金頼みの老後はもはや幻想になっていくということです。
自己責任の老後。しかし、これは、学ぶことで、豊な老後の実現が可能であるということでもあります。これからは、人生100年を前提に、学び続ける必要がありそうです。

まとめ

  • 日本は合計特殊出生率が1.3となり、かつ2022年1~6月期も出生数が激減しており、今後、急激な人口減少の可能性が高い。

  • 人口減少は日本だけではなく、世界的な現象となる。全世界で高齢化社会問題への取り組みとなる。

  • 日本も世界も、人口減少、高齢化を前提に社会を運営していく必要がある。

  • 人生100年を生き抜くには学び続けることが大切。

未来創造パートナー 宮野宏樹

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