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過去を癒さないで生きていくのはやめよう

女は、過去という怪物を心の中に寄生させる生き物です。
あなたはその厄介な生き物と戦っていますか。

今日はそんなお話です。

過去。

私という一人の女の人生だけを考えてみても、小説にできそうなほどいろいろな出来事をありました。
青森の八戸市という田舎町に生まれ、経済的には貧乏と言っていい家で育ち、高校を卒業してすぐに就職し、転職を繰り返して、やんちゃな恋愛を重ねて。不倫も経験しましたし、別れたことを後悔し続けた恋愛もしました。会社員もしたし、アルバイトもして、起業もしました。結婚も、離婚も、経験しました。出産は経験できなかったけれど、不妊という現実は経験しました。

こうやって並べてみるとありがちな人生に聞こえますが、人生は誰にとっての一つだけのオリジナルなものです。

離婚を切り出されその理由を聞いたときの、目の前に真っ黒な緞帳が降りる感覚とか、目的もなにもない気まぐれな浮気セックスをした帰り道に見た、夜空に浮かぶ虚ろな夜雲とか。
彼氏との恋愛に行き詰まり、電話を無視したときの申し訳なさと情けなさとか。
自分の価値も粗末にしてセックスに溺れようとした自傷行為のような日々とか。
あるいは恥ずかしい思いをしたことはたくさんあります。人から笑われたこともたくさんあります。

ありがちな人生と思っていても、その心の傷はたった一つだけのものです。

人生のその瞬間の感情の揺れは、心の傷となって残っています。その傷はとても深く、骨まで達して神経を引き裂いているかのようです。

私もずっと、そんな[過去」という寄生虫をお腹の中に飼っていました。

車の中で思い出すと、意味もなく「バカじゃないの」って独り言を言ってしまうことがありました。何がバカじゃないのかわかりません。羞恥心を打ち消す呪文なんです。

でも今、この年になって、過去の傷は苦しさではなくなりました。

今までの人生にもし点数をつけるとしたら。。。何をもって満点とするのかは不明ですが、99点というところでしょうか。
ほぼ、満点に近いと思います。1点だけ減点したのは、若いころ、ギターの練習をさぼって今もうまく弾けないことだけです。

私はこの数年で、自分の過去とオトシマエをつけることに成功したのだと思います。

私は、失敗はもちろんたくさんありますが、人よりもずっと多くのいい経験をしてきたと思います。
独身で若いころは不倫しかやることがない暇でレベルの低い女でした。でも20代の半ばを過ぎて、今に続く友達がたくさんできました。刺激的で知的で芸術的な感性を持つ人たちでものすごい影響を受けました。月に10数万円しかなかった収入も、起業することで信じられない額に跳ね上がりました。
今は大きな家に一人で住んでいますが、寂しいと思うことはありません。やりたいことはたくさんあって、手がついてないことだらけです。行きたい場所もありすぎ、欲しいものも山ほどあるので、もっとお金を稼がないと間に合いません。
仕事も楽しいことしかやらないので、毎日寝るときは朝が楽しみです。

恋愛という恋愛は今はしていませんが、そのうち、きっとすると思います。
今度はいい恋愛になるという自信もあります。

毎日笑顔でいる自分が大好きです。

でも数年前まではそうは思えませんでした。

過去の出来事を許せなかった私は、傷を癒そうと努力と上昇志向で「何か」を手に入れようとしていたのです。

たぶん、世間的に誰もが認めてくれるものが欲しかったのかもしれません。まるで過去に復讐するかのように。

高級車、年収、評価、大きな家、人が羨むようなすべての持ち物。それと、誰かが「それいいね」と言ってくれる自分の境遇。つまり他人からの承認。
ビジネスでは頑張って同業者の中でも目立ちたがりました。誰もが認めてくれるような恋愛を求めて、元の夫と結婚しました。元の夫はあまり所得の高くない田舎の男性でした。その前に恋愛していたのは他人が眉を顰めるような悪い男。世間一般的な常識があるとしたら、元の夫と結婚したほうが、それなりに世間は違和感なく受け入れるだろうと思ったのです。

でも、それは私に幸福感を与え続けてくれませんでした。過去の傷を厚化粧で覆いかぶせただけのことです。

もういい加減、過去とオトシマエをつけなきゃならないと思いました。

いつの頃からかわたしは、未来の世界で生きていくと決めたのです。

つまり、過去の自分の運命を受け入れて、未来に向かって運命に逆らわずに生きていくと決めたのです。
そうしたら、肩の力が抜けてしまいました。
もっと自分を楽しませてあげようと思うようになりました。
他人の価値観ではなく、自分の価値観だけで生きてみようと。すると過去の自分も許せるようになりました。

私だけが特殊な感情を持っているわけではないと思います。

女性には、自分の過去を許せない人が多くいます。私と同じように、過去の記憶を引っ張り出しては怒ったり悲しんだり恥ずかしがったりする人です。

過去の恋愛、過去の親子関係、過去の失敗、過去の仕事、過去の思考、過去の服、過去の身体、過去という時間。
そういう「過去」を癒せないまま大人になっていくと、女性の未来は二つしかなくなります。

一つはスタンプラリーのような他人の承認スタンプをもらい続ける生き方。他人からの祝福、とりわけ親からの祝福を病的に欲しがり、でも親への軽蔑も抱えたままで、お腹の中で生ごみを発酵させ続けるコンポスト女。ネットに張り付き匿名で誰かを攻撃したり、親へのDVをしたり、激しい嫉妬心と猜疑心で他人から嫌われることばかり言ったりします。いわゆる「ババア」です。

もう一つは、自分で過去を癒そうと決める生き方です。癒し、許してあげること。認めてあげること。それを他人に求めるのではなく、自分で始末することなんです、大切なのは。

まともに生きようと思ったら、後者しかないんですよね。どこかでオトシマエつけなきゃならないのですよ。大人の女なら。

それは自分だけでやる作業です。

友達や彼氏は癒すことができないんです。彼氏や旦那さんが自分を分かってくれない!と怒りたくなるとき、それは過去を無条件で癒してほしいという渇望なのではないですか?

自分ひとりで心の中に降りて行けば、一瞬で始末できますから。ほんのちょっと、戦う必要はあります。

自分が他人から傷つけられたり恥ずかしい思いをした記憶には、「別にそれでよかったよ」と声をかけてあげてください。
自分が他人を傷つけた記憶、それももうその人とは会うことはない場合、「あの時はごめんね」と声に出して言ってみてください。

たったそれだけです。それだけでスタンプラリーの地獄から生還できますよ。

降りて行ったことを、友達や彼氏や旦那さんに、お茶でも飲みながら語ってみてはどうでしょう。
または、ブログなどでもいいと思います。Twitterでもいいと思います。

自分の過去との戦いの歴史、つまり「自分戦記」をどこかでアウトプットしてみてください。

彼氏は、ふーんとしか言わないかもしれません。ブログやTwitterは誰も反応しないかもしれません。
でも、過去の記憶があなたに牙を剥くことはもうなくなります。
あなたが過去の記憶で、他人に牙を剥くこともなくなります。

過去を思い出して、変な呪文を唱えて追い払おうとするなんてことは無くなりますよ。

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