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お手伝いさんたちの台所。仕事の料理とYouTube、お菓子作り

ジャワ島東部、スラバヤの大きなおうちに滞在した。家の中にも家族の台所はあるけれど、扉を一枚出たところにはお手伝いさんたちが料理の支度をする台所がある。料理をするのは、25歳のエンダンちゃん。

20歳からこの仕事をしているそう。落ち着きがあってしっかりしてる。

朝7時、家にやってくる野菜売り(tukang sayur)から買い物をして、食事の支度が始まる。

行商にしてはだいぶモダンに進化してる
車の荷台がお店屋さん。野菜以外も扱う。昔スタイルだけれど、コロナ禍で人気が復活したのだそう。

今日の料理は、牛スープ(soto daging)や空芯菜炒めなどなど。にんにくや生姜やナッツなどたくさんの種類の香辛料を使うのだけど、さすが手慣れているなあと思ったら「YouTubeで習った」という。

唐辛子と諸々炒める。この後私は空気でむせ続けた。

料理が一通りできたら、家族の台所に運んでいって、並べておく。インドネシアでは、朝にまとめて料理をしておいて、一日の中の任意のタイミングで食べるというスタイルが一般的だ。

家族はそれぞれのタイミングで食べに来る

一段落ついたあと、近所の店で材料を買ってきて、クレポンというお菓子を教えてくれた。これもYouTubeで習ったもの。

黒砂糖を包んでゆでて、ココナッツをまとわせる。

インドネシアで話していると、「レシピはネットやYouTubeで習った」という話をよく聞く。本当によく聞く。

もちもちで、噛むと中から甘いのが出てきて、食べる手が止まらない。

多民族国家で、島ごと地域ごとに食文化がちがい、これ一冊あれば大丈夫みたいなレシピ本があるわけじゃない。簡単に食事が買えることもあって親も料理する人ばかりでないし、たとえ親から教わっても、違う地域の人のために料理するとなるとそれだけでは立ち行かない。

牛スープ(soto daging)。豊かな風味の中で、特に生姜が鮮烈。

レシピ需要がロングテールだと、インターネット上のレシピの価値は高いのだろう。

インドネシア版クックパッドは、大きなコミュニティ。

ところで、彼女たちは仲良しでいつも笑っていて、この台所はいつもにぎやかで、家族のために作った料理は同じものを食べるし、彼女たちの意思でクレポン教えてくれた。うまく言えないけれど、「お手伝いさん」というよりも、もう一つ生活を営む家族のようだった。

帰り際、最後の写真を撮ろうと言ったら…

お手伝いさんの台所は、エネルギーと笑いにあふれていた。


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