Manabu Ishigooka

山形ブラジル音楽協会会長。 音楽とアジアの映画について書きます。 音楽はブラジルに限…

Manabu Ishigooka

山形ブラジル音楽協会会長。 音楽とアジアの映画について書きます。 音楽はブラジルに限らず、好きな音楽であればなんでも。僕の色が出るセレクトを心がけます。 アジアの映画はできるだけ語り尽くされている名作ではない、ここ10年程度の「好き」な作品を取り上げます。 あ、韓国ドラマもね。

マガジン

  • 山形ブラジル音楽協会企画記事

    当会で会員/関係者に募って企画した記事をマガジンにまとめました。

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    山形ブラジル音楽協会(山ブラ)のディスク・レビューです。ジャンルに関わらず、僕のお気に入りの音楽を紹介する記事をマガジンにまとめました。

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    yamabra diskの中からBrasil音楽だけをマガジンにまとめました。

  • 私を構成する音楽・映画

    Topsters 2で作成した、「私を構成する」音楽、映画をまとめました。

  • 僕の好きなアジア映画

    アジアの映画を観よう。 ここ10年程度の間に見た「僕の好きなアジア映画」の感想文集です。

記事一覧

僕のジョアン。

中原仁さん監修のレコード・コレクターズ増刊「ジョアン・ジルベルト読本」をご覧になりましたか?この本はまさに力作。ブラジル音楽ファン必携というべきものです。この一…

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yamabra disk: Charlie Grey and Joseph Peach / A Breaking Sky

前作も本当に素晴らしかった、スコットランドの音楽家、Charlie Grey (Hardanger D’Amore:チャーリー・グレイ) とJoseph Peach (Piano, Harmonium:ジョセフ・ピーチ) の…

6

yamabra disk: Haroldo Bontempo / Indie Hippie Retrô Brasileiro

ストリングス・アンサンブルからちょっと脱力系の女性コーラスへと続くTr.1「Um Novo Começo」からその緩さがとても気持ち良いアルバムです。Haroldo Bontempo(アロウド…

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Fusion 30

レコード・コレクターズの2024年5月号の特集は「フュージョン・ベスト100」でした。とても懐かしく拝見しました。この「フュージョン」という言葉、いつ頃から使われたのか…

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僕の好きなアジア映画99: ビニールハウス

『ビニールハウス』 2022年/韓国/原題:비닐하우스/100分 監督:イ・ソルヒ(이솔희) 出演:キム・ソヒョン(김소현)、ヤン・ジェソン(양재송)、アン・ソヨ(안소요…

Manabu  Ishigooka
2週間前
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新・山形を歩こう。 - article 19: 蕎麦 千利庵

千利菴 住所:西置賜郡白鷹町広野1656 電話番号:0238-87-2087 営営業時間: 11:00~14:00(売り切れ次第終了)ß 定休日:水曜日 HP: 蕎麦の好みはそれぞれで、一…

Manabu  Ishigooka
2週間前
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yamabra disk: GreenTTea & The Tempos / Tempoetic

なかなか今のところ詳しい情報が多くは出てこないのですが、彼らGreenTTea & The Tempos は、Evanston出身で現在はシカゴを拠点に活動するグループとのことです。メンバー…

Manabu  Ishigooka
2週間前
6

yamabra disk: Natalie Cressman & Ian Faquini / Guinga

今でも信じがたいのですが、Guingaが僕の家に来て、リヴィングやダイニングで時差ボケのためか気怠そうな状態で、食事や我々にはほとんど興味を示さず、しかしひたすら翌日…

Manabu  Ishigooka
3週間前
9

yamabra disk: Dele Sosimi & The Estuary 21 / The Confluence LP

Dele Sosimi(デレ・ソシミ)は、かのFela Kuti率いるEGYPT 80のキーボード奏者です。彼はロンドン東部のハックニーで生まれ、4 歳で両親の故郷ナイジェリアに戻ったそうで…

Manabu  Ishigooka
3週間前
8

yamabra disk: The New Mastersounds / Old School

The New Mastersoundは、Eddie Roberts(エディー・ロバーツ)を中心に'99年に結成されたUKのinst. funk bandである。と、まるで知っていたかのように書いたが、僕がこのバ…

Manabu  Ishigooka
3週間前
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人生を変えた10枚のアルバム。 その2

「X」で「人生を変えたアルバム4選」っていうハッシュタグでアルバムを選ぶ企画があって、そういうのにすぐのっちゃう僕はもちろん参加してみました。で、前回の10作品をセ…

Manabu  Ishigooka
3週間前
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新・山形を歩こう。 article 18: toki no niwa

toki no niwa 住所:上山市金谷字下河原1386 電話番号:080-7008-4126 営業日:土日月 12:00-17:00 不定期にイベントがあります。SNSで告知します。 インスタ: FB:…

Manabu  Ishigooka
4週間前
9

yamabra disk: Samuel Seo / Love Eventually - EP

伸びのある端正な声の持ち主です。Samuel Seo(サムエル・ソ)は2015年にデビューした韓国のシンガー・ソングライターでプロデューサー。 韓国のほか、日本、米国、カナダ…

Manabu  Ishigooka
4週間前
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yamabra disk: Bruno Berle / No Reino Dos Afetos 2

2022年ブラジル・ディスク大賞関係者投票にセレクトした前作も素晴らしかったBruno Berle(ブルーノ・ベルリ)ですが、本作はそれを軽く超えてきた感じです。Bruno Berleは…

Manabu  Ishigooka
4週間前
6

yamabra disk: The High Llamas / Hey Panda

少々紹介したいディスクが物凄くたまってしまっているので、ちょっとサクサクいきますね。 これも久々です。Sean O'Hagan(ショーン・オヘイガン)率いるHigh Llamas(ハ…

Manabu  Ishigooka
1か月前
11

yamabra disk: Vinícius Cantuária / Psychedelic Rio

Vinícius Cantuária(ヴィニシウス・カントゥアリア)のアルバムを聴くのは個人的にはとても久しぶりに感じる。彼のサイバー・ボッサ的な諸作は僕にとっては忘れられな…

Manabu  Ishigooka
1か月前
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僕のジョアン。

中原仁さん監修のレコード・コレクターズ増刊「ジョアン・ジルベルト読本」をご覧になりましたか?この本はまさに力作。ブラジル音楽ファン必携というべきものです。この一冊の中にジョアン・ジルベルトの全てが封じ込まれています。 この際もうブラジル音楽ファンだとかボサノヴァ・ファンだとか偏狭なことは言わず、ブラジルの産んだこの稀代のスタイリストの全貌を、この本で全音楽ファンに知っていただきたいと思うのです。 さて本誌の発刊にかこつけて、山形ブラジル音楽協会の会員・関係者に参加していた

yamabra disk: Charlie Grey and Joseph Peach / A Breaking Sky

前作も本当に素晴らしかった、スコットランドの音楽家、Charlie Grey (Hardanger D’Amore:チャーリー・グレイ) とJoseph Peach (Piano, Harmonium:ジョセフ・ピーチ) のデュオによる5作目であり、ニュー・アルバム。本作もまた傑作です。 圧倒的に美しいアルバムです。荒涼とした景色が浮かぶようで、否が応でも郷愁を惹起されます。しかし思いを掻きむしられるような切実さを感じるのは僕だけでしょうか。僕の直感の過ちかもしれないけれど

yamabra disk: Haroldo Bontempo / Indie Hippie Retrô Brasileiro

ストリングス・アンサンブルからちょっと脱力系の女性コーラスへと続くTr.1「Um Novo Começo」からその緩さがとても気持ち良いアルバムです。Haroldo Bontempo(アロウド・ボンテンポ)はベロ・オリゾンチのシンガー・ソングライター。 ブラジル音楽好きはこの手のヤラヤラ系ユニゾンはみんな好物だと思うけれど、彼の音楽にもかなり素朴系の女性コーラスがとても効いています。 全編とてもユルいし、この季節にフィットした気持ち良い、最旬なアルバムだと思います。本作は

Fusion 30

レコード・コレクターズの2024年5月号の特集は「フュージョン・ベスト100」でした。とても懐かしく拝見しました。この「フュージョン」という言葉、いつ頃から使われたのか僕は定かに覚えていませんが、この雑誌の記事によれば1978-79年の頃からだといいます。なんか個人的にはもっと以前からのような気もするのですが、いずれにしろここに取り上げられているようなアルバムを、当時は最先端の音楽としてよく聴きました。ジャズに、ロックやソウル/ファンク、場合によってはブラジル音楽やクラシック

僕の好きなアジア映画99: ビニールハウス

『ビニールハウス』 2022年/韓国/原題:비닐하우스/100分 監督:イ・ソルヒ(이솔희) 出演:キム・ソヒョン(김소현)、ヤン・ジェソン(양재송)、アン・ソヨ(안소요)、シン・ヨンス(신용수)、クウォン・ミウォン(원미원) 「僕の好きなアジア映画」というタイトルだから、当たり前ですがいつもは好きな映画のことを書いています。しかし今回だけはその最低の基準を破ってしまおう。僕はこの映画が嫌いです。すごい映画、凄まじい映画だとは思うのですが、僕はこの映画が嫌いです。 おそら

新・山形を歩こう。 - article 19: 蕎麦 千利庵

千利菴 住所:西置賜郡白鷹町広野1656 電話番号:0238-87-2087 営営業時間: 11:00~14:00(売り切れ次第終了)ß 定休日:水曜日 HP: 蕎麦の好みはそれぞれで、一概にこれというものではもちろんありません。ただ個人的好みをいえば、山形の内陸で好まれる割り箸のように太く、ボソボソとして、しっかり咀嚼する必要がある、そういう蕎麦は僕は好きではありません。僕に限らず県外出身はそういう蕎麦はあまり好きではない傾向があるように思いますが、いかがでしょう。根本

yamabra disk: GreenTTea & The Tempos / Tempoetic

なかなか今のところ詳しい情報が多くは出てこないのですが、彼らGreenTTea & The Tempos は、Evanston出身で現在はシカゴを拠点に活動するグループとのことです。メンバーは主としてThomas Hart (p.)、Luca Piattoni (g.)、TT Miller (vo.)でこれに本作ではサポートが加わっています。 彼らの音楽はストレートなリズム&ブルースをベースとしていますが、コンテンポラリー・ジャズ、ファンクなど幅広い音楽性に基づいた洗練され

yamabra disk: Natalie Cressman & Ian Faquini / Guinga

今でも信じがたいのですが、Guingaが僕の家に来て、リヴィングやダイニングで時差ボケのためか気怠そうな状態で、食事や我々にはほとんど興味を示さず、しかしひたすら翌日の公演で使用する越前さんのギターに集中していたのでした。このひとの頭の中は全く音楽しかないのだなと思ったし、初めての日本ツアーでナーバスになっていたのも確かでした。 Guingaの音楽は極めて特異です。想定の範囲を大きく飛び越えた規格外の創造でありながら、奇異に陥らず非類のない美しさで在るのは、演奏をする方であ

yamabra disk: Dele Sosimi & The Estuary 21 / The Confluence LP

Dele Sosimi(デレ・ソシミ)は、かのFela Kuti率いるEGYPT 80のキーボード奏者です。彼はロンドン東部のハックニーで生まれ、4 歳で両親の故郷ナイジェリアに戻ったそうです。Fela Kutiの死後はUKを拠点としてソロ活動に専念していて、過去にEP等のリリースはあったものの、本作はなんとフルアルバムとしてはデビュー作なんですって。 しかしガチガチのアフロビートを想像していると、たしかにタイトなリズムや、ファンキーでソウルフルで強烈なグルーヴでもあるので

yamabra disk: The New Mastersounds / Old School

The New Mastersoundは、Eddie Roberts(エディー・ロバーツ)を中心に'99年に結成されたUKのinst. funk bandである。と、まるで知っていたかのように書いたが、僕がこのバンドを知ったのは最近である。なんのことはない、最近こういう音楽を聴いていなかったのでそちら方面の知識がないのだ。なんと本作は彼らの18枚目のアルバムなのだそうだ。 とにかく御機嫌の音楽である。ジジイが聴いても思わず「かっこいい〜〜」と断末魔の呻き声をあげるほどだ。ホ

人生を変えた10枚のアルバム。 その2

「X」で「人生を変えたアルバム4選」っていうハッシュタグでアルバムを選ぶ企画があって、そういうのにすぐのっちゃう僕はもちろん参加してみました。で、前回の10作品をセレクトしたのに続き、今回は「人生を変えた10枚のアルバム。」その2です。この前もやってたじゃないかとか、お前の人生は2回あるのかっちゅうお声も聞こえてきます(幻聴?)。しかし案の定といいますか、優柔不断な僕が1回ですべてを紹介できるわけもなく、やはりもう10枚選びます。じゃあ最初から20枚にしろ、というご指摘は至極

新・山形を歩こう。 article 18: toki no niwa

toki no niwa 住所:上山市金谷字下河原1386 電話番号:080-7008-4126 営業日:土日月 12:00-17:00 不定期にイベントがあります。SNSで告知します。 インスタ: FB: Webshop: 何度でも書いてしまいますが、山形には質の高い品物を揃えた雑貨のセレクト・ショップがほとんどありません(失礼ですが、趣味がいかがなものかというものや、安っぽい商品や、子供っぽい商品を扱っいる店はありますけど)。そんな中ここは、統一された美意識のも

yamabra disk: Samuel Seo / Love Eventually - EP

伸びのある端正な声の持ち主です。Samuel Seo(サムエル・ソ)は2015年にデビューした韓国のシンガー・ソングライターでプロデューサー。 韓国のほか、日本、米国、カナダなどさまざまな国の文化を経験した彼は、母国語のほか英語や日本語を駆使し、Hip Hopを中核としていますが韓国音楽の現在を象徴する多様性をもったアーティストです。 Tr.1「Love Eventually」から、洗練を極めた音楽性。まあ、彼の場合逆にいうと韓国人らしい情念とかはあまり感じられないけれど

yamabra disk: Bruno Berle / No Reino Dos Afetos 2

2022年ブラジル・ディスク大賞関係者投票にセレクトした前作も素晴らしかったBruno Berle(ブルーノ・ベルリ)ですが、本作はそれを軽く超えてきた感じです。Bruno Berleはアラゴアス州マセイオ出身のシンガー・ソングライター。マセイオはDjavanと同じ出身地ですよね。 「鼻毛か髭か、鼻毛と髭が地続きか」問題で揺れた前作のジャケットとは違って、明るくポップな今回のジャケットは出てくる音楽にふさわしいです。 明るくて軽快で爽快感が溢れ出てくる。親しみやすく優しい

yamabra disk: The High Llamas / Hey Panda

少々紹介したいディスクが物凄くたまってしまっているので、ちょっとサクサクいきますね。 これも久々です。Sean O'Hagan(ショーン・オヘイガン)率いるHigh Llamas(ハイ・ラマス)のニュー・アルバム。なんと8年ぶりとのことです。 一つ前の記事と言ってることが被っちゃいますが、これもやはり本質的にHigh Llamasの音としか言いようがありません。プロデュースにFryarsが参加していて、US的なセンスも加わっております。しかし変わることが必要な場合もあるけ

yamabra disk: Vinícius Cantuária / Psychedelic Rio

Vinícius Cantuária(ヴィニシウス・カントゥアリア)のアルバムを聴くのは個人的にはとても久しぶりに感じる。彼のサイバー・ボッサ的な諸作は僕にとっては忘れられない好きな作品ばかりなのだが、最近は彼の動向を失念していた。ごめんなさい。 本作はPaolo Andriolo(bass)、Roberto Rossi(drums, percussion)のイタリア人二人とのコラボによる新作である。ヴィニシウスは以前から彼らと活動を共にしていたとのことで、本作はそれが