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旅する中国茶器のすすめ

はじめに

今回は旅する中国茶器・台湾茶器のお話。
この数ヶ月、2023年の4月下旬に行った台湾旅行のnoteを細々と書いているのだけど、現在出張続きで多忙すぎて続きを書ける時間が取れそうにない。旅行記は膨大な写真の選別、時系列の確認や整理にものすごく時間が掛かるのだ。とはいえnoteを更新はしたい。それで、台湾旅noteにも記した旅用の茶器セットの話をしようと思い至った。
なにせ今の出張先にも茶器を持ってきているからである。

さて、以下はいつもの自己紹介(おなじみの方は読み飛ばして大丈夫。)

どうもこんにちは。
私の名前は三十と書いて「みそ」と読む。普段は普通にそのへんで働きながら、オタクに精を出したり、出す元気があったりなかったりしながら生活している。
ADHD、虐待サヴァイバーで複雑性PTSDの診断持ち、通院投薬治療しながら生活している、どこにでもいる成人である。
「いきなりそんな重めの個人情報出されても…」と思われるだろうが、息をするように注意欠如や思考多動のエピソードが出てくるのではじめに書いておく。
あと、こういう人間はどこにでも(言うとか言わないとか外から見てわかりやすいとかわかりにくいとかは人それぞれだけど)いますよ、既にあなたの隣人ですよ、という気持ちも込めて。

私の旅用茶器セット

今回携行した茶器セット

中国茶や台湾茶を愛する人間、茶器を旅行に持っていきがち…という話は以前もnoteでしたことがあるが、最近出張先で休日に伺った台湾茶房の亭主もやはりお持ちになると仰っていた。
「持っていきますよね!」「ね!」という会話が初対面の人相手に成り立つのもお茶の力だなぁと思う。
好きなものが同じというのは人と人の距離をぐっと縮める。好きなことが増えるということはそれだけ他者と結びつくきっかけが増えるということでもある。

さて、そろそろ本題に入ろう。上記の写真が私が今回持ってきた携行茶器セット。
左上のカーキ色から時計回りに説明していくと、茶葉を除けば下記の通りの全8アイテムで構成されている。

  1. ポーチ

  2. 茶海

  3. 蓋碗

  4. 茶杯

  5. マイクロファイバークロス

  6. ブリキ皿

  7. コースター

  8. 手ぬぐい

1.ポーチ/ チャムス リサイクルスタンドラウンドポーチ

シミが付いているのは旅のお供をしてきたご愛嬌。

まずは茶具をまとめるポーチ。私が使用しているのはチャムスのもの。
実はこのポーチにはめちゃくちゃこだわりが詰まっている。

・洗濯機で洗えて水や汚れに強く軽いポリエステル系でしっかりした素材
・円柱の巾着型
・縛り紐がザイルロープ風のもの

という条件で執念深くずっと探していたからである。
クラシカルな茶具用の巾着も可愛いのだけれど、そういうものはたいてい四角で、私が携行したかった蓋碗を容れると隙間がたくさんできてしまう。
そして何より軽くて雑に扱ってもびくともしない物が欲しくて、あらゆるアウトドア系のブランドで探し続け、ネットでも目を皿にし、実店舗でも好日山荘(山を愛する人やキャンパー達がよく行くアウトドア系ショップ)に行きまくった。
もちろんこんな具体的すぎる条件を満たすものははなかなか見つからず、一年ほど探して「もう自分で縫うしかないのか?」と諦めかけていたところ、友人たちと行った旅行先のアウトドアショップで発見。
私が想定していたよりも少し直径が大きかったのだが、なんと取り外しできる中敷きが付いており、しかもその中敷きはマジックテープで立体的な仕切りを立ち上げられる構造!色もイエローカーキが良いと思っていたので、もうこれしか無い、諦めかけたところからの逆転ホームランであった。

2.茶海/ KINTO CAST ドレッシングピッチャー 150ml

KINTOのガラスは透明度が高く、厚みのある部位も黄色に色が転ばないので好き。

家でも茶海として使っているKINTOのドレッシングピッチャー。
耐熱ガラスなので抽出温度の高い青茶を淹れても安心。シンプルで透明度の高いグラスは美しいし、蓋が付いているのでお茶請けを載せる小皿の代わりに使うこともできる。
余談だが私はこのピッチャーを知り合いに勧めまくり、5つ程売っている。当たり前だがKINTOから私にはビタ一文入っては来ない。ただ好き過ぎてやたら推してしまうのだ。

3.蓋碗/ 三陽茶荘 白磁蓋碗 100ml

つくづく使いやすい蓋碗だなと思う。お茶を淹れて蓋を外したとき、茶托と碗の隙間に挟むとちゃんと立つようになっている。(画像の大きさが自動調節されるのでフォントの大きさが……)

蓋碗は山陽茶荘さんのもの。私のような中国茶ビギナーにも優しい縁の張り出しが大きめの蓋碗である。(ここが狭いと持つときにお湯と近すぎて熱くて持てない)そしてお値段もビギナーに優しい。
非常にベーシックな形の量産品だが、多く作られているからこそのこなれた型で、量産品の良さを感じる。

ちなみに私が「蓋碗かっこいいな!使えるようになりたいな!」と思い、初心者向けの物を探していた際にめちゃくちゃ参考にしたのはあるきちさんのこちらの動画、『格安蓋碗の使い勝手をレビュー。中国茶初心者向き?』
初めて蓋碗を買う人に向けたポイントが詰まっていて大変わかりやすく、お世話になった。
今現在蓋碗気になってる、という人には大変おすすめの動画。

4.茶杯/  景徳鎮(印判量産品) ホタル焼き 茶杯

今回のセットにはホタル焼きの茶杯を入れた。私が家で好んで使うのは小さめの酒盃ぐらいの大きさのものだが、今回は暑い時期なので氷を浮かべて飲むこともあろう……と少し大きめのこちらに。複数杯を持っていくときは軽さと嵩が争点となるので上の蓋碗と同じ白磁タイプの小さな茶杯を持っていくことが多い。
この茶杯は神戸南京町の店舗で買ったのでリンクは貼らないが、調べてみるとネットでもいろんなお店で扱っていて、350円前後で買えるよう。

5.マイクロファイバークロス/ marna 汚れからめ取りクロス

ベルトループがついているのも嬉しい。

家でもお茶を入れる際に茶巾として必ず使っているもの。とにかく吸水性が高く、且つ乾くのが速い。
ホテル暮らしとなると室内で洗濯物を干すことが多くなるけれど、部屋干しでも臭くなりにくい。そして臭くなりにくいということは雑菌が繁殖しにくいということ。
去年このクロスに出会ってからうちの布巾のスタメンである。もちろん旅先で洗った茶器を拭くのにも使える。お掃除用品だけど、道具の適性から私は布巾として愛用。

6.ブリキ皿/ 骨董市にて

ベースが真鍮色でゴールドの模様のところはその地が見えている仕様。光が当たるときらきらして可愛い。

柄の入ったブリキ皿で、主にお茶請けを置くのに使う。これは北野天満宮の骨董市(天神さん)で購入したもの。

軽くて丈夫で、少し卓が華やぐ。蓋碗がシンプルな白磁なので、こういう小さな華やぎが大事。実は全く違う場所で買った同じ柄のメモ帳を持っていて、勝手にウィリアム・モリスの柄だと思っていたが、今回調べたらそのメモ帳はMarcel Schurmanというサンフランシスコの文具会社に納品されたメイドインジャパンだった。
ざっと調べた限りではパターン名も分からなかったので、ひょっとしたら昔の日本のデザイナーがモリス風に作った柄なのかもしれない。描かれている果実はおそらく枇杷の実で、私は陳情例のオタクでもあるのでファン的にも少し楽しいアイテム。

7.コースター/ 刺し子のコースター

藍染の混麻木綿に青、柿渋、白の木綿糸で細かい運指がしてある。幾何学的な模様も好き。

藍染の綿生地に刺し子が入っているコースター。吸水性が良いのでお茶をこぼしても氷で結露させてもびくともしない。
おそらく15年ほど前に買ったものだけどどこで手に入れたか覚えていない。二度と手に入れられない宝物なので、大事にしまっておく……のではなく、大事に使い倒す。
惚れ惚れする誰かの手仕事、いつかこのコースターを真似て自分でも刺し子のコースターを作ろうと思っている。
これを1枚容れておくと卓が華やぐし、狭いビジネスホテルのテーブルや窓辺でもお茶をひっくり返したりしづらい。
ポーチに上記のアイテムを押し込む際にクッションにもなる。

8.手ぬぐい/ かまわぬ かき氷

手ぬぐいは茶巾の洗い替え分としても使うし、茶巾が事足りているときは敷物としても使う。
ホテルの窓辺なんかだけでなく、公園や川辺でも、手ぬぐいをサッと出せばそこが立派な茶卓になる。結界なんかの考え方に近いかもしれない、『場』を作るアイテム。旅先でもサッと洗えてすぐ乾くのが良い。
茶具以外でも私は生活に手ぬぐいを多用しているけれど、食事周りで使う手ぬぐいは『植物か、食べられるもの』の柄と決めている。それから必ず注染であること。注染とプリントの違いは裏を見れば一目瞭然。裏が白いものはプリント、裏までしっかり柄が透けているものは注染だ。また注染の手ぬぐいはプリントに比べ、肌当たりが柔らかい。
いろんな手ぬぐい屋があるけれど、私は永楽屋かまわぬが一押し。柄が今風すぎないのが好き。

ポーチに茶具をどう納めるか

さて、道具の紹介が出揃ったらざっくりどんなふうに収納しているかを見ていこう。

まずは大きなものから

私のやり方は大きくて形が複雑なものから保護していき、残ったものを隙間に詰めるようにしていくというもの。

マイクロファイバークロスの中央よりやや角よりに蓋碗の碗を置き、近くのクロス端を上にかぶせ、その上に茶杯を載せる。間にクロスを挟んで茶杯と碗がぶつからないようにするのがポイント。

茶杯の上からまたクロス端を被せ、今度は蓋碗の蓋を逆さまにして載せる。
残りのクロスを全体に巻きつけたらこれで蓋碗の茶托以外と茶杯はOK

次に残りの割れ物

同じ要領でガラスの茶海を手ぬぐいで包む。手ぬぐいは4つ折りにして厚みを出しておくとクッション性が高まって良い。かならず茶海の内側に布を差し込むようにする。

平らなものはまとめて

これで残ったのは平らなものだけになる。茶海の蓋、茶托、コースター、ブリキ皿の順に重ねる。ブリキ皿は磁器やガラスと隣り合わせると滑ってしまうのでコースターを間に挟んで滑り止めを兼ねる。

いざポーチに

この3つの塊に分けたら、ポーチに詰めていく。詰める順番は梱包の順番と同じ。大事なのは隙間を作らないこと。

ぎゅっと詰まった道具たち

最後に好きな茶葉を

もちろん茶葉がなくては始まらない。この上に好きな茶葉を載せていく。
もしポーチが大きめなら茶葉を緩衝材にして隙間に詰めたっていい。繊細な緑茶や白茶なんかは茶葉が崩れてしまうから良くないけど、丁寧に作られた青茶の茶葉であれば頑丈なので、緩衝材にしたところでさして問題はない(と、思う)

ぎゅっと巾着を閉じたら完成!このままトランクの中に入れる。

おまけ

旅先で茶器はどうやって洗っているの?というのが気になる方もおられるかもしれない。実は上記にプラスしてこっそり忍ばせていく道具がある。
無印の洗顔用ネットである。どんな石鹸や洗剤でもモコモコにできて、磁器もガラスもピカピカになり、軽くてかさばらない。(もちろん洗顔用とは別で用意。)

まとめ

ここまでご覧になってお気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、私のこのセット、『割れ物に関してはほぼ全て量産品』で組んである。
出張にしろプライベートの旅行にしろ、トランクに割れ物を詰めていくというのは、空路であれば荷物をぶん投げられる可能性があったり、陸路であればどこかにぶつけたり…うっかりと隣り合わせ。
だから私の場合、旅に持っていくのは『最悪、割れてしまっても買い直せるもの』と決めている。注意欠如があるし、粗忽者なのでせっかくの旅先で割ってしまった際、立ち直れないほど落ち込むのを避けるためだ。例えば、取手や差し口が飛び出た茶壷ではなく蓋碗を選んでいるのもそのための工夫。突起がないものの方がより割れにくい。
私の場合は『基本を押さえつつ気負わず、フランクに、フレンドリーに』お茶を楽しみたいなと思っているのでこういうセットになる。

もちろん携行茶器に対して何を求めるかによって、セレクトは変わるだろう。作家物やアンティークの気に入っている茶器を大切に持っていきたいという人もいるだろうし、茶葉の味がよく分かる茶器(私にはまだまだその境地は先だけれど、長年お茶を飲まれている方は茶器による味の違いに敏感でいらっしゃる)を持っていきたい方もいる。

私が言いたいのは『旅先で飲むいつものお茶は美味しい』ということ。
そしていつものように好きなお茶を楽しめる環境は、慣れない場所で過ごす緊張を解してくれたりすること。
だから、それぞれのスタイルで、それぞれの好きな茶器、好きな茶葉を組み合わせて自分なりのセットを組んでみると良いと思う。

このnoteが携行茶器を検討している人や、私のようなお茶ビギナーに届いて、今よりもっとお茶を楽しむきっかけになれたなら嬉しい。

ではまた!
下次见 Xià cì jiàn !


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