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「親子で楽しむ鉄道イベント 〜みたか跨線橋ありがとう」開催


 2023年11月26日(日)に開催された「親子で楽しむ鉄道イベント 〜みたか跨線橋ありがとう」。三鷹市民で経営コンサルタントの疋野輝紀さんによって企画されたイベントです。
 午前中は寒空に霧雨というスタートでしたが、午後になると雨が止み、跨線橋には徐々に人が集まってきました。


 イベントを知ってきた方も、知らずに来た方も。みなさんの跨線橋の思い出を聞きました。

<イベントに参加していた人たち、その日に跨線橋を訪れた人たちのお話>

木所聡さん
ふらっと立ち寄りたくなるような「親しみやすさ」がありますね

 僕は小学校の教師をしていまして、今年の4月から三鷹市に赴任してきました。三鷹跨線橋のことは赴任する1年ほど前に知って、それからは妻と子どもと一緒によく来るようになりました。電車が通過する時に、「ファン」って警笛を鳴らしてくれたりして、それを楽しみに「次の電車が来るかな、鳴るかな」と電車を眺めているのが楽しいです。子どもは普段そこまで電車好きじゃないんですが、ここから電車を見るのは好きなんですよね。子どもと一緒に行きやすい、ふらっと立ち寄りたくなるような「親しみやすさ」があるように感じています。
 跨線橋から見る夕日の光の感じもすごい素敵で。なんか遠くまでよく見えるんです。雨の日もいいんですよ。
 学校の生徒たちとも一緒にここへ来たりしたかったですね。もうすぐ跨線橋はなくなってしまうけれども、こういう場所があったんだということは伝えていけたらいいな、と思っています。

●電車好きの仲良し4人組
もうじきなくなっちゃうのは寂しいな

 鉄道好きの仲間で来ました。テレビ番組で跨線橋のこと知って、今日が3回目なんですけど、結構いろんな電車が見えるのに、もうじきなくなっちゃうのは寂しいな。
 車両基地の電車も見られたり、この前来たときは試運転の電車も見られたりもしました。地下鉄の電車を見られるのもいいですね。電車が通る時に手を振ると、時々ホーンを鳴らしてくれるのも嬉しい。……いや、ほんとに、こんなに色々な電車を見られるとは思ってなかったから、渡れなくなるのは寂しいなあ。
 え、好きな電車ですか? 京王7000系です(即答)。ここの跨線橋からは見られないんですけど(笑)。今日はお気に入りのプラレールを持ってきているので、イベント会場でも遊んで帰りたいと思います!

●多田さん
ここから見たブルーインパルスのニコニコマーク、きっと忘れません
●中西さん

いつまでも網にしがみついて離れない我が子を思い出します

多田さん(左)と中西さん(右)

<多田さんのお話>
 毎年、お正月に跨線橋から初日の出を拝んで、深大寺に初詣に行くというのが定番ルートです。地平線は見えないけれど、ビルの合間から出てくる朝日がとても綺麗で、よく見えるんです。来年のお正月にはここから初日の出を拝めないと思うと、どうしたらいいんだろうという気持ちになります。
 思い出といえば、コロナ禍にブルーインパルスが飛行した時がありましたね。三鷹の方にも飛んで来てくれるというので、跨線橋まで急いで行きました。橋から空を見上げていたら遠くからブルーインパルスが現れて、正面に大きな「ニコニコマーク」を描いてくれたんです。もう、ばっちり見えました。忘れられない光景です。

<中西さんのお話>
 跨線橋の思い出ですか? そうですねえ。「帰らない」かなあ(笑)。
 子どもが小さい頃、この近くの保育園に通っていたので、送り迎えの時に跨線橋に来たりしていました。そうすると跨線橋で子どもが立ち止まるんですよね。電車に向かって手を振っていると、通り過ぎる時に「ファン」って(警笛を)鳴らしてくれたりして、そうするともう、網にかじり付いて見始めるわけです。長いときは30分くらいだったかな。僕は「早く家に帰って夕飯の支度したいなあ」とか思っているうちに日がどんどん傾いていく…なんてことがよくありました。子どもは特別に電車が好きというわけではなかったのですが、跨線橋から見る電車は飽きず見ていて、いつまでも帰ろうとしませんでした。

●佐々木さん
味わいがある跨線橋、20年ぶりに来ました

 電車好きです。跨線橋が取り壊されることをニュースで知り、約20年ぶりにやってきました。改めて跨線橋を見てみると、この鉄の錆び具合とか、レールを再利用して作ったんだなとか、きっと当時の簡単な作りなんでしょうけれども味わいがあるなあ、って感じますね。車庫が一望できるのも、改めていいな、と思いました。
 前に来たのは、車庫の前に電車をずらりと並べたイベントでした。その時のことも思い出しながら、今日は電車だけでなく、橋のパーツを色々と撮影していこうと思っています。

●M.Hさん(小さな息子さん&娘さんと一緒に来た女性)
2泊3日で跨線橋とのお別れ旅行に来ました

 友達がこの近くに住んでいて、この子たちは上の子が1歳頃から年に2〜3回はここに来ています。今日は「さよなら跨線橋」ということで、友達の家に2泊3日のお泊まりできました。ガチです。お泊まりのメインイベントはこれなんで(笑)。
 子どもたちはああやって、ずっと動画を撮っているんです。赤ちゃんの時からの撮り溜めた動画をどうするかというと、(子どもたち自身が)自分で編集して、家ではそれをずっと見ています。跨線橋は橋の幅も狭いから、こっちで撮影して(くるっと後ろを向き)あっちでも撮影して、というのができる。車庫も一緒に観られるのもいいですね。
 (お子さんに「ちなみに好きな電車は?」と聞くと、「う〜ん、『あずさ』とか『かいじ』は、ちょっとでもバイバイするとファーンって警笛鳴らしてくれるから、まあ、バイバイするなら中央線より『かいじ』かな」と、よく「分かってらっしゃる!」な回答)
 今日は「さよなら跨線橋」旅の最終日。何時までこの橋にいることになるかな…。やっぱり寂しい、寂しいですね。

●石井さん(夕方、一人で跨線橋を訪れていた男性)
こんな風に電車を見られるところって、なかなかないですよね

 家が近くなので、子どもの頃から跨線橋に来て、電車を何気に見ていました。昔は電車の部品を持ってくる「配給電車」とか、新聞を運ぶ1両の電車なんかもあったんですよ。あと「長野行き」という電車もあった。そうすると長野から戻ってくる電車もあるわけで、1月とかになると長野から雪まみれの電車がここを通過するなんてこともあった。

 橋の中ほどにある丸い台みたいなの、ありますよね。

跨線橋の「不思議なパーツ」の一つ。ある用途で使われていた

 昔はあの上に大きな時計がついていたんです。整備場の人たちのためにつけられていたから、橋の上からはあんまり見えなかったんだけど。
 まあ、なんか、こんな風に電車を見られるところって、なかなかないですよね。

●Mnico(エムニコ)キッチン/高村三良さん、恵さん
この地域の緩やかで温かなコミュニティを、跨線橋が体現してるよう

 僕らは去年(2022年)の9月から、跨線橋のたもとの空き地にキッチンカーを出してクレープを売っています。きっかけは、このスペースの大家さんからインスタでご連絡いただいたからで、ここに来るまで跨線橋のことは知りませんでした。太宰ファン、鉄道ファンもよく訪れる橋だって後から知って。地元の方々にも愛されているなあ、なんて思って、登ってみて納得。僕たちも橋の上からの景色、特に夕景にすっかりファンになってしまいました。クレープを売っている時に時々聞こえる「ファン」っていう警笛もいいですね。あ、誰か橋の上で手を振っているのかな、って。
 お客さんの多くはご近所の方。正直なところ、始めた時は売上的には厳しかったのですが(笑)、ご近所さんが、「じゃあ2つちょうだい」なんて買ってくださったり、整備士さんが休憩中に来てくださったりするようになりました。この地域独特のゆるやかで温かなコミュニティがあって、とても居心地がいいです。それを体現しているのが、この跨線橋なんです。なんかあったかいんですよね。
 クレープを買う間、皆さん跨線橋の思い出話をしてくださるんです。私たちもその思い出に寄り添っていけたらな、って思っています。

※三鷹跨線橋が残してくれた記憶と記録を次世代に伝える当プロジェクトの書籍制作・発行をご支援いただける個人・法人のスポンサー様を募集しております。詳細は下記までお問い合わせください。
株式会社文伸 出版事業部 武藤
TEL: 0422-60-2211
E-mail : office@bun-shin.co.jp

撮影/鈴木智哉
取材・執筆/柿本礼子
編集/宮本恵理子


撤去直前となる12月10日(日)には、三鷹市に本社を置く出版社・文伸の主催によるイベントが開催予定(※天候により、内容が変更になる場合もあります)





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