斜陽とテグジュペリ
高校生のとき、隣の席の女の子に、「みたらしちゃんのLINEの背景って、斜陽やんな?」と聞かれた。
当時、太宰の「斜陽」が好きだったから、LINEの背景に「斜陽」のワンフレーズを書いていた。今考えるとなかなかイタい。
それにしても、嬉しかった。
本好きなん?と彼女に聞くと、「サン=テグジュペリとか読むで」と答えた。
星の王子さまとかの?と聞くと、「そうそう!」と嬉しそうに頷いた。
彼の本はほとんど読んだことがなかったから、もっと読んでおけばよかったなと後悔した。
明るくて、全員と仲がいいのに媚びることはなく、人と群れようとはしないカラッとした性格が好きだった。
飲酒していることは知っていたけど、特に何も言わず黙っていた。
本棚にあるサン=テグジュペリの文字を見る度、彼女の存在が脳裏をよぎる。
死ぬ前にもう一度会いたい。
本当に大切なものは何処にあるのか、教えて。
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