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恐れる育児-恋バナと性教育

今時の子どもはマセている。
よく聞くハナシだ。
小学生でもう当たり前に彼氏彼女がいるという。

私が小学生の時でも、好きとか告白するとかそういうのはあったけれども、彼氏とか付き合うとかそういうのはなかったような気がする。

告白が最大のイベントで、両思いになったからと言って恋人同士として何をどうする…ということはなかった。

せいぜい一緒に帰るくらいのものだったと思う。

ただ女子というのはいつでもどこでも恋バナが好きだ。

好きな男の子を教えないというただそれだけのことで簡単に仲間はずれにするのだ。
例え好きな人がいなくても、誰かしら名前を挙げなくてはならない。

でなくば「私は言ったのに、あの子は言わない」となる。

私は3つ上の兄がいた。
兄は家の外では先生に楯突いたり、下級生を虐めたりするガキ大将だったが
家の中ではガキっぽくてマザコン気味だった。

まぁ、小学生男児などそんなもんだろう。
でもそんな兄を見ていた私としては、同級生の男子なんぞ恋愛対象にならなかった。

あいつカッコつけてても、どうせ家帰ったらお母さんに怒られて泣いてんだろ…。
そう思っていたから、クラスの女の子たちの恋バナにはついていけなかった。

というか、クラスの鼻垂れ男子よりも幽白の蔵馬の方が何倍もかっこよかった。
そう、私はオタクだったのだ………完。




ではない。
いや、オタクはオタクなんだけれども。

私の恋バナへの苦手意識は、明らかに小学生の時の経験から生じている。

中高一貫の女子校に進学した。
女子校だけあって、小学生の時のようなクラスの誰が好き問題はなかったが、

クラスの何人かは他校に彼氏を作っていた。
そして彼女たちはやはり集まれば飽きもせず恋バナをしていた。

ある時4人で交換日記をしていたのだが、私を除く3人には彼氏がいた。
なので交換日記の内容のほとんどは恋バナだったが、当然私はついていけない。

私はついていけないのだから、少し配慮してほしい…私は訴えた。

すると、私を除いた3人で、4人でやっている交換日記とは別の交換日記を始めたのだ。
配慮の結果、ハブにされた。

うーん、仕方ない。確かにそうなる。
でもやっぱり、少しショックだった。

だが焦ったところで好きな男子などできない。
そもそも男子の知り合いがいないのだ。できるはずなどない。

というか別に欲しいとも思っていなかった。それより私はガンダムSEEDのイザークの方がかっこいいと思っていたからだ。
引き続き私はオタクだった。

そんなこんなで中学高校と何もなく終わり、大学に進学した。

一応大学は男女比半々くらいだった。
しかしそれまで恋愛とは縁遠い喪女である。
そんなにすぐにキャンパスデビューからのリア充とはいかなかった。

結果的に言えば大学で彼氏はできたが、いい思い出はない。
当時の私は恋愛のできない自分はどこか欠陥があるのではないかとすら思っていた。
その結果、今考えると特に好きでもない相手と付き合ったのだ。

大学三回生の時、小学校に研修に行く機会があった。給食の時間、小5の女子たちに囲まれてまず聞かれたのが「彼氏いる?」である。

いないよ、と答えると
「えー大学生なのに?」と明らかにガッカリされた。そしてその子たちは勿論同じクラスや隣のクラスに彼氏がいるという。
「早く彼氏つくりなよ」
彼女たちはそう言った。

恋をしなければ女子ではないとでも言いたげであった。

夫は社会人になってから知り合った。
私は恋愛経験はかなり少ないと思う。

でも恋愛経験が少ないからと言って結婚出来ないわけではないのだ。
正直なところ、恋愛経験ってそんなに必要か?と思う。

今の私なら、焦ってもいいことはないと言える。
男性経験がないことだって、ちっとも悪いことじゃない。

でも当時はそんな風には思えなかった。
好きな人ができないこと、彼氏ができないこと、男性経験がないこと、それは全部自分がどこかおかしくて、何かに劣っているのだと思っていた。

面と向かってそう言う友だちはいない。
でも久しぶりに会えば彼氏できた?とか、なんで彼氏ができないの?高望みしすぎてるからじゃない?と彼女たちが悪気なく言った言葉が私に堪えたのは事実だ。

恋バナが苦手なのは今も同じだ。
というかそもそも恋愛が苦手なのだと思う。

つくづくいいタイミングで夫と結婚できて良かった。

そんな私なので、もし娘に恋バナを持ち掛けられても上手い返しなどできる自信がない。
(※娘はまだ一歳にも満たない赤子である)

というか親子で恋バナをするというシチュエーションが想像つかないのだ。
私自身が母とそういう話をしたことがないからである。

彼氏の話をお母さんにしたら…とか、お母さんの元彼のことを聞いたら…みたいな話をたまに友達から聞くことがあるが、驚きである。
絶対無理だ。
母にそんな話できない。

夫を紹介する時でさえ凄まじくキョドった。

父は普通に遊んでたようだが、恐らく母も私同様そんなに恋愛経験がないと思う。
小さい頃に一度聞いた覚えがあるが、グループ交際という単語が出てきた覚えがある。

めちゃくちゃ時代を感じる。
母の時代からすれば、私の時分でさえマセてるなと思ったに違いない。



恋バナは親子でする必要はないかもしれないが、性教育はしなければならない。
これは待った無しの問題である。
10歳過ぎになれば、女の子は生理が始まる。

恋はいずれセックスと切り離せなくなる。
そしてそれはどんどん低年齢化しているのだ。

私自身、母にそんな話は聞いたことはないが、いつの頃からか性教育マンガが家にあった。
小学高学年くらいの時に読んだ覚えがある。

どうやったら子どもができるか…いつ詳しく知ったのかは全く記憶がない。
だが兄が中学に上がる頃には家にエロ本やエロビデオがあったのでそういう行為については同じ年頃の子たちよりは詳しかったと思う。

中学の頃には共有パソコンに兄は無修正動画を保存していたので、私も妹も普通に見ていた。
兄の脇の甘さもほどほどにしておけという感じである。


子どもを産んだからこそわかることがある。
妊娠出産、そして子育てはめちゃくちゃ大変である。
お金もかかる。

そして自分の人生を大きく変える。
変わりたくなくても変わってしまうのだ。

我が家の場合であるが、幸運なことに避妊をやめたらすぐにできた。逆に言えば子どもはできるときには簡単にできてしまうのだ。

正しい知識がなく、簡単に性行為を行うことはとても恐ろしい。
若ければその分確率も上がるだろう。

そして妊娠出産は、どうしたって女性の方が負担が大きい。
最悪「逃げ」られる男と違って、女は逃げる事はできない。
男は逃げても犯罪にはならないが、女は「逃げ」たらいとも簡単に殺人を犯してしまうことになる。

でもそんなこと学校では教わらなかった。

避妊具はコンドームやペッサリーがあります、とは聞いたが使い方は教わっていない。
どのタイミングでどうやって装着するのかが大切なのに、実物だって見たことがなかった。
兄のエロビデオにコンドームをつけるシーンなんぞなかった。

もちろん漫画にもなかった。
あの袋にどうやって入ってるのかもよくわからなかった。(なぜか袋の描写はよく見る)

不妊の知識についてだってそうである。
30歳以降は一年ごとにどんどん子どもができにくくなるとか、障害をもって生まれる確率がどんどん上がっていくなんて知らなかった。

17歳くらいだと30歳なんて50年先くらいなんじゃないかと思っているが、きっちり10数年後に来るのだ。
そしてそれは大学に行ったり就職したりしていれば本当にあっという間なのだ。

私はそれを娘に教えることができるのだろうか…
恋バナすらできないのに…?

既にカウントダウンが始まっている。
その時が来るのが恐ろしい。

#育児 #子育て #性教育


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