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娘夫婦、家を建てる〜その①土地決めた!〜


去年の暮れあたりから、早めに(若いうちに)家を建てたいという話は聞いていた。正直、私はマイホームの必要性をそれほど感じていなくて、歳とったらアパートやマンションでコンパクトな生活をしたいと思っている派だ。何なら私たち夫婦の家に住んでもらって、私たち夫婦がアパートかマンション暮らしをするのも良いな、とも思っていたくらいだ。その事を話すと、なんと娘の旦那さんのお母さんも全く同じ事を言っている、と聞き、気が合うなと嬉しくなったもんだった。


今年の3月に娘夫婦と会った時、家を建てるならこの街に(私たちが住むこの街に)建てようと思っていると言う。近くに娘夫婦が家を建てるとは、なんて嬉しいことか!とは思ったが、いやいや待てよ。あちらは長男、姉との2人姉弟、ご両親からしてみれば家を建てるのがお嫁さんの実家の近くという事に気分を害してしまうのでは‥?と危惧した。すると娘の旦那さんが、「うちの父も、家を建てるなら奥さんの実家に近いほうが良いと言ってて、賛成してくれています」とのこと。なんて良いご両親‥。それなら何の気兼ねも無く土地を探せるね、と思っていた。

それから2週間も経たないうちに娘から電話があり、「家を建てることになりました」と言う。あぁそれはこの前聞いたよね?家を建てる決心をしたって意味だよね?すぐにという事ではないよね?


「すぐにだよ。もう土地も決めた。」


え?早くない?土地だよ?家だよ?一生で1番高い買い物だよ?そんなパッと決めちゃって良いの?


「いや、勢いが大事かなと思って」


すごいな、あんたたち。そんな簡単に決めれちゃうなんて、マジで尊敬する。ひと昔前は、家を建てると家族の誰かが死ぬという話さえあったくらい、家を建てるのは大変な事なのよ。


徳を使うから、徳が無いと命落とすのよ。


「えーだったらお母さん、徳積んどいて」


ははは。まぁ良い。そんな迷信は私だって信じてないから。


ところがそれから1週間ほど経って、今度はうちの旦那さんが娘たちの家を建てたいと言っている土地についての悪い噂を聞いてきた。何でもその辺りは土地が低くて浸水しやすいから、やめといた方がいいよと知人から言われたらしい。ハザードマップを見ると確かに色が付いている。よくよく見ると、我が家の場所も同じ色が付いている。

この街は昔から水害に見舞われてきた土地で、旦那さんが高校生の頃には家の1階部分が全部浸水するほどの被害にも遭っている。幸いにも私がお嫁に来てからはそういう事は1度もなかった。


今さらだが、娘夫婦に一応伝えておこう。すると娘は

「やめろってこと?だったら家なんて当分建てられないわ。」

と怒ってしまった。気持ちは分かる。気に入った土地があって、そこに自分たちの気に入る家を建てて‥そんな気分に水を差したのだから。それでも分かってほしい、親としては心配だと言うことを。もちろん私たちもうるさく口出しするつもりはない。ただ情報として、地元の人がそう言ってるような土地だということを知っててほしかっただけで。


それからしばらくして、娘夫婦の家を建てる施工業者の担当者さんが、私たちに説明したいと言ってきた。そこまでしてもらわなくてもよかったのだが、どうしてもと言うので説明を聞きに行った。


結論からいうと、家は予定通り建てることに決まった。私は担当者さんのある話に納得してしまったのだ。


担当者さんが10年ほど前からお付き合いをしているお客さんの話。その方もマイホームを建てたくてずっと土地を探していた。良い土地が見つかって、「ここに決めます」と言っては「もう少し待ったらもっといい土地が見つかるかも知れないから今回は辞めておきます」という事が何回も繰り返され、10年経った今でも賃貸に住んでいるという話。今回娘夫婦が選んだ土地は、場所、広さ、値段、全て娘たちの理想通りだ。もう少し待ったらもっといい土地が売りに出るかも知れないし、無いかも知れない。浸水するほどの大雨が降って、浸水してしまうかも知れないし、そういう事は一生無いかも知れない。どちらも可能性の問題。だとしたら、気に入っている土地に決めれば良いのではないか。なるべくそうならない措置を取って建てれば良い。


川が決壊するような事が起これば、娘夫婦の家ばかりではなく、我が家だって同じことになるのだし。この決断が正しいか間違っているかなんて今は誰にもわからない。それでも娘夫婦は幸せそうだし、私たち夫婦も早く娘夫婦の家が建たないかなぁなんて心待ちにしているのだから。旦那さんは娘夫婦に会うと毎回しつこい位質問する。


ところで家はいつ頃出来そう?




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