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自民党の本業~「政府発注事業 公金中抜きシステム」~

この記事は、以前書いた「「長期腐敗体制」を作った「アベノアクジ」の全容③~安倍元総理の『素晴らしい業績』一覧表(詳細版)」の「中抜き」に関する部分を抜き出し、大幅に加筆・修正したものです。

元記事は、こちら。

政府自民党は、五輪、万博、Go To トラベル、持続化給付金、政府発注各種ITシステム、アベノマスク、ワクチン、マイナンバーカード、ポイント事業、政府広報事業、各種公共工事その他、政府支出事業のほぼ全てに多重下請けによる中抜きシステムを構築している。

現在、岸田政権が盛大に実施中の「海外バラマキ」については中抜きとは別の外国を経由した巧妙な公金横領の仕掛けが施されており、これについてはこちらの記事で詳述している。

東京五輪を悪用した「中抜き」

とりわけ五輪や万博などのメガイベントを利用した「祝祭資本主義」は濡れ手で粟の巨大利権が発生するので、関係企業・団体は労せずして大儲けできる事が最初から約束されていた。

五輪は実質的に親方日の丸の政府保証イベントなので絶対に損をする事はなく、仮に赤字が出ても国や東京都が補填する。だから、五輪組織委員会を筆頭にやパートナー企業などのスポンサー企業・団体、大会の管理運営や関係工事を請け負った受注企業は、費用対効果を考慮する事なく安心して湯水のように金を使う事が出来たのだ。

守秘義務があるとの理由をつけて契約内容や詳細な経費の内訳などの公開義務を免除されているので、組織委員会は大会準備スタッフの一日あたり日当が35万円という常識外れの単価を計上するなど、既に準備段階の早い時期からモラルハザードを引き起こしていた。

大会運営を委託されたのは大手広告代理店など9社で、委託費の総額はおよそ196億円。そのうち、10~15%、およそ23億円が管理費として9社に支払われている。この他に47の競技運営すべにそれぞれ管理費が上乗せされている。

中抜き企業の代表格は、何と言ってもパソナと電通である事は衆目の一致するところだろう。

東京五輪組織委員会から人材派遣を一手に請け負ったのが、竹中平蔵のパソナグループ。例えばバドミントン競技の場合、五輪組織委は最低単価のサービススタッフには日当2万7千円を計上しているが、パソナが派遣社員に支払ったのは1万1600円で57%が中抜き。

会場で観客誘導などを行うサービススタッフも同じく2万7千円の日当が計上されているが、実際の仕事をするのは殆ど派遣アルバイトで時給は1200円。8時間働いて日当9600円なので、こちらは65%が中抜きされている計算。

しかも、新型コロナ蔓延で無観客となり観客誘導員などは必要なくなったのに契約上キャンセル出来ない仕組みになっており、パソナは当初の契約金額をそのまま受け取った可能性が指摘されている。

もっとひどいのは大会準備スタッフで、こちらは何と日当35万円と法外な単価が計上されているのにスタッフへの実際の支払額は僅か1万2千円に過ぎず、何と約97%が中抜きされた計算になるというから凄まじい。

大会スタッフ経費内訳書

守秘義務の壁があるので中抜きの実態はなかなか外に出てこないが、パソナの例を見るまでもなく、全体の運営を請け負った電通をはじめ、関係企業・団体の殆どが中抜きに精を出していた事は想像に難くない。

五輪組織委員会による契約方式も受注企業側の言い値同然の「随意契約」や発注先を初めから巨額のスポンサー料を支払ったパートナー企業だけに限定する「パートナー契約」、「特別契約」などが多く、談合が起きにくいはずの純粋「競争入札」は少数でむしろ例外。

このように受注側に有利な契約方式も五輪関係経費が雪だるま式に膨れ上がっていく大きな原因になっている。

勿論、発注先も自民党のお友達企業・団体に優先的に回して行ったのは言うまでもない。

2020大会に関わる共同実施事業の契約案件一覧」 URFをクリック
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/keiyaku_03.pdf

この一覧表の並べ方もかなり悪質で、初めの方のページでは競争入札が多いように見せているが、ページが進むにつれで「パートナー契約」「特別契約」が圧倒的に多くなる。

中抜きの他に今回の東京汚リンピックでもうひとつ明らかになった悪質な手法は、発注側の組織委員会に受注者側の電通が自社社員を送り込み、その電通出向者が受注企業を選定するというやり口。電通出向職員が受注先を電通に指定する事によって、電通の利益を最優先且つ最大化するというやりたい放題の仕組みだ。

発注と受注を同じ電通が取り仕切っていた訳で、あからさまな利益相反のマッチポンプ。こうした不正行為が平気でまかり通るのが、不正・腐敗・汚職の巣窟である伏魔殿「汚リンピック」なのだ。

マスコミは一切報道しないが、以前から自民党お友達企業トップや御用学者たちが国民から選ばれた訳でもないくせに勝手に「民間議員」などと自称して「経済財政諮問会議」等の政府諮問会議に入り込んでいる。(主要メディアも民間議員と呼んで同調)

その「民間議員」たちが諮問会議で自分たちの企業にとって都合のよい新たな政府事業を決め、国会を通して法制化された事業を同じ「民間議員」の企業が受注するという「利益相反の手法」を使い、労せずして巨額の税金を懐に入れるのが日常化している。

パソナの竹中平蔵はその代表格で、各省庁の各種会議の委員をいくつも掛け持ちする事で莫大な税金をパソナに誘導して来た。

有名なのが安部政権下の2019年に策定された「就職氷河期支援プログラム」。たった3年間の短期集中事業で、「就職氷河期世代」の正規雇用を30万人増やすめに「キャリア教育や職業訓練」を行うという名目の下、2021年度は1262億円、2022年度には1,473億の巨額の予算がが計上されている。

竹中平蔵とその配下の御用学者が「未来投資会議」「成長戦略会議」「経済財政諮問会議」などの政府諮問会議を舞台にして策定に関与し、「キャリア教育や職業訓練」を人材派遣会社などに委託するように強く誘導した。竹中の目論見通り、「プログラム」を実施する各自治体の各種支援事業の多くをパソナが受注している。

「就職氷河期世代」30万人を正規雇用化と言っても100万人以上といわれる非正規雇用の3割程度。しかもたった3年の短期間では効果のほどが疑わしく、やらないよりはましという気休め程度の効果しかないだろう。

打ち上げ花火のようなもので実効性が極めて疑わしく、むしろ、お友達企業であるパソナのために「就職氷河期支援プログラム」という新たな利権ターゲットを安倍晋三と竹中平蔵とが共謀して創出し、利益誘導したと解釈した方が真相に近いと思われる。

東京五輪も「神聖な五輪」を名目にすれば何でも許されるとばかり、必要性のない工事や関連事業をどんどん追加、個々の競技の関連事業費もあれこれもと勝手に水増しして湯水のように際限なく予算(税金)をつぎ込んで行く。事業費が膨らめば膨らむほど、それに比例して中抜き額も雪だるま式に大きくなって行くからだ。

こうして、7340億円の当初予算が最終的には五輪組織委と都の負担分を合わせた経費だけで計1兆6989億円(会計検査院)に膨れ上がって行った訳だが、これはあくまで解明された直接的経費分に過ぎない。国からの支出も含めて五輪開催経費全体の詳細は非公開になっているため本当は一体いくらかかったのか実態は闇の中。間接費も含めた五輪全体の総経費が実は約4兆円近いという試算もあるが、こちらの方が実態に近いだろう。

長野冬季五輪がそうだったように東京五輪も組織委員会が解散して関係書類が廃棄されてしまえば、大会関係者のモラルハザードを引き起こしたした東京五輪の腐敗したどす黒い実態は未解明のまま永遠に闇に葬り去られる。

では、五輪史上空前の巨大出費と引き換えに我々日本国民は何を得たのか?
たった17日間の「興奮と熱狂と感動」という一部のスポーツ・五輪ファンのためのチープなエンタメ以外、実は何もない。

いや、何もないどころかコロナ禍の中で80%の国民の大反対を押し切って強行された東京五輪は日本国民にとってはまさに大災厄だった。五輪強行開催が招いたデルタ株の第5波感染爆発によって多くの感染者が自宅に放置されて亡くなり、今も重い後遺症に苦しんでいる多数の国民がいるのだ。

招致の際、あれほど喧伝された五輪による経済波及効果もコロナ禍で実質無観客になった時点でほぼゼロになり、五輪組織委員会は大赤字。そのツケと負のレガシーである五輪施設の維持管理費は、東京都民と日本国民が将来に渡って背負わされる。

東京五輪は、ぼったくり男爵バッハ率いる砂漠飛びバッタのような「強欲多国籍スポーツ企業IOC」と五輪に群がった電通やパソナをはじめとする関係企業・団体に国民の富を移転させるための壮大な「国際的詐欺イベント」(ショック・ドクトリンの一種「祝祭資本主義」)だったという事だ。

         アバ「Money, Money, Money」

当然だが、公金を湯水ように使ってやりたい放題出来る五輪のようなメガイベントや中抜きのネタとなる政府発注事業がないと政府自民党御自慢の「中抜きシステム」は起動しない。政府や維新支配下の大阪などの自治体が血眼になって五輪や万博、カジノIRなどのメガイベント事業を招致したり、必要もないのに公金支出事業をでっち上げたりするのはそのためだ。 

五輪を食い物にして大儲けし、味をしめたハイエナどもは、「東京五輪の夢よ、もう一度」と今度は札幌五輪招致を狙って舌なめずりしている。         

五輪と言う魔物の重圧に押しつぶされ、その犠牲になった1964年東京五輪銅メダリスト円谷幸吉。

円谷を殺したのは、五輪を国威発揚に利用した日本政府、次のメキシコ五輪ではもっと良い色のメダルを取れと圧力をかけたJOCと陸上競技関係者、練習の障りになると自衛官円谷の結婚に反対した自衛隊体育学校校長、自分のためではなくお国のためにメダルを取るのだという自衛官としての強い使命感、五輪後の忙しさの中で満足な練習が出来なかった事と自身の身体的故障、そして、円谷に過度の期待をかけた国民からの重圧等。

全くの偶然ではあるが、円谷がゴールである国立競技場に2位で戻って来た事もある意味悪い方向に作用した。超人アベベに次ぐ銀メダルを期待し固唾を呑んでTV中継を見守っていた国民の目の前でゴール直前、円谷はそれまで3位だった英国のヒ―トリーにあっさり抜き去られてしまったのだ。

これはお家芸の柔道無差別級決勝戦で、神永がオランダのヘーシンクに敗れたのと同じ位の衝撃と落胆を国民に与え、日本選手が獲得した東京五輪陸上競技唯一のメダルとなったのにも関わらず、多くの国民が円谷の銅メダルを素直に喜ぶ気にはなれなかった。初めから3位で戻って来たのであれば、円谷があれほどの自責の念に駆られ国民に申し訳ないと自分を責める事もなかっただろう。

ピンク・ピクルス「一人の道」

「政府発注ITシステム」等を悪用した中抜き 

給付を現金ではなくポイントやクーポンなどにしたがるのも、支給事業に中間業者を介在させて中抜きさせる事が狙い。

発注先の自民党縁故企業が中抜きした巨額の公金の一部は、政治献金や闇献金、パーティ券、選挙時の組織票や運動員などに化けて自民党に還流して来る。おまけに高額給与付きの天下り先も提供してもらえるという双方ウィンウィンの美味しい関係。           

マイナンバー制度の中核システム「情報提供ネットワークシステム」を受注した企業共同体の請負金額は約123億円。最新情報ではその内の4.7%約5.8億円が政治献金として自民党に還流した事が明らかになっている。

自民党はお友達企業と随意契約による過大な受注額で請負契約を結んで巨額の公金を流し、その一部を企業献金と言う形に変えて還流させているのだが、これは一種の「資金洗浄」と同じでマフィアの手口と何ら変わらない。自民党に入って来る企業献金は元はと言えば国民の税金なのだから、税金を還流させて合法的に横領しているようにものだ。

契約企業の選定自体にも多くの闇が隠されており、上の記事によれば「入札額は予定価格の99.98%」。通常の競争入札ではありえない入札額で、政府側が入札希望企業に予定価格を事前に漏らしていたとしか考えられない。

元々、受注した日立、富士通、NECなど5社はマイナンバー導入のための政府ワーキンググループのメンバー企業。構造は上に書いた政府諮問会議の場合とほぼ同じで、政官財の癒着以外の何物でもない。

競争原理が全く働かず法外な契約額で受注した富士通などの元受け大手は自分たちが中抜きした後は、二次下請けに丸投げ。全体の統括業務や工程管理などは名目だけで、実際には単なる「口利き屋」程度の仕事しかしていない。

その後は、二次➡三次➡四次と中間企業が中抜きして行くが、これには元受け企業の関連会社や子会社が選定されることも多く、同じ企業グループがひとつの事業で何度も中抜きを繰り返してしゃぶりつくし、肥え太って行く仕組みだ。          

持続化給付金の場合も全く同様で「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」は、電通を中心にパソナ、トランス・コスモスなどが集まって作った企業共同体。代表理事は、電通の前執行役員。

元受けの「サービスデザイン推進協議会」は電通に再委託するだけで20億円、再委託された電通は自社の子会社に分散して丸投げするだけで何と104億円、電通各子会社は孫請け会社に外注して更に計3.6億円を中抜きしている。

つまり、電通は二度、三度と再委託と外注を繰り返す事で、自社グルーブ全体で125億円、当初予算の16%もの税金を懐に入れているのだ。まさに濡れ手で粟で、「一粒で二度美味しい」どころの騒ぎではない。

この表では追い切れないので省略されているが、これ以降も4次、5次・・・と中抜きが繰り返されて行き、最大9次下請けまであった事が判明している。

これらの結果、総じてシステムやプログラミング作成を担当する末端の実務請負会社に予算が届く頃にはいくつもの中間「公金チューチューバー企業」に中抜きされて、雀の涙程度の金額にまで減っている。

数十億円規模の予算が付けられているプロジェクトでもひどい時には数百万円程度しか降りて来ないケースさえあると言われており、公取委の「下請法」が全く機能していない事が伺える。     

以上の例のように、「政府発注ITシステム」や政府発注事業は事業費の大半が中抜きされて途中で消えてしまうので、実際のシステム作成作業を担当する末端の下請け企業に作業量に見合うだけの予算が回って来る事はほとんどない。

その上完成も急がされるので作業ミスや不備、手抜きなどが横行し、完成後の各種稼働テストやバグなどの検証修正作業も疎かになる。この結果、政府発注ITシステムの殆どが初期不良やシステム上の欠陥を抱えたまま見切り発車を余儀なくされ、実際に運用を始めてみると不具合続出でまともに稼働しないものの方が多かった。

勿論、元受けに事業を丸投げした発注省庁側にも大きな責任がある。そもそも日本政府には、まともなITシステムを作る能力がない。官僚の中にしっかりした要件定義を書ける者がおらず、その結果いい加減な仕様書しか作れない。システムのチェックも満足に出来ないから、これも元受け企業に丸投げ。

現在、マイナンバーカードシステムで頻発している不具合やトラブルの原因も全く同じ構造。こんな体たらくで、正常に動くシステムが作れると考える方がどうかしている。  

東京新聞

新型コロナ対策の切り札として期待された接触確認アプリCOCOAの当初の受注金額は約3億9千万円だが開発が難航。結局、改修費も含めて当初予算の3倍総額12億7千万円に膨れ上がった。しかも、不具合と改修を何度も繰り返したあげく、結局最後までまともに機能しなかった代表的失敗アプリとなった。

フローチャートを見るといくつもの中間業者に中抜きされたあげく、実際の開発実務会社に予算が下りて来た時には何と405万円にまで激減していた事が分かるが、こんな金額でまともなアプリが出来ると考える方がどうかしている。

もっとひどかったのは、「オリ・パラアプリ」。無観客になったため途中で開発中止になり、38億円もの大金をドブに捨てた。中止になるまでの中抜きで肥え太った元受けや中間下請け業者だけが高笑い。

中抜きシステムにおける第7次以下の下請けの実態については、会計検査院も解明不能とさじを投げてしまっている。 

                             不具合改修や仕様変更を名目に受注金額を際限なく水増しさせていく手法                    

「J-LIS 地方公共団体情報システム機構」のMNカードに関する事業内容と契約額

上記の表は、「J-LIS 地方公共団体情報システム機構」による契約額水増し例。これはシステムの製作途中、あるいは完成後に想定外や当初の設計ミス、あるいは故意などにより様々な仕様変更や手直し等を加えて、受注金額を際限なく水増しさせていく手法。

政府側と受注側が連携・結託してシステム変更や改修を加えて投入予算を膨らませて行けば、自動的に中抜き額も増えて行くと言う仕組みだ。

※「J-LIS 」はマイナンバーカード発行やマイナンバー制度の各種システムの整備・運用を行なっている法人。マイナンバーカード・システムが依存している「住民基本台帳ネットワークシステム」(住基ネット)もここが運用している。

政府発注デジタル事業で受注額が多いのは、NTT、NEC、日立製作所、富士通とその関連会社。デジタル庁の発注方式は競争原理が働かない随意契約が圧倒的に多く、例えば令和2年は件数ベースで93%、金額ベースでは何と99%に達するのだが、直近3年の随契全体のうち上記大手ITゼネコンの受注割合は件数ベースで78%、 金額ベースで92%とほぼ独占状態。

デジタル庁職員には大手ゼネコンの出身者が多数入り込んでおり、それらの職員が発注先として古巣の大手企業を選定するのは、五輪と全くおなじやり口。発注と受注を同じ会社の関係者がやっているのだから、競争原理など働くはずもない。

マイナンバーカード発行関係だけで多い年で780億円もの巨費が投じられているのだが、受注企業の言い値同然の金額で次々に随意契約が結ばれていく。主要メディアはこうした腐敗した実態を知りながら隠して報道しないので、国民は全く気付かない。

驚く事に政府は早手回しに2026年末には現行システムの不具合を改修した「新マイナンバーカード」を発行すると言い出している。政府が不具合続出の割には意外に平然としているのと余りにも手回しがよすぎるのが極めて不自然で、これはあらかじめ予定されていた計画だろう。

政府は現行マイナンバーカード・システムに不具合やトラブルが続出するであろう事はあらかじめ予想しており、「マイナンバー法改正案」成立が確実になった段階でこれまで隠して来た不具合やトラブルに関する報道を意図的にマスコミに解禁したとしてもおかしくはない。

世間が驚いて大騒ぎになった段階で新たなカード発行を提案すれば、国民の理解を得られやすいと計算したはず。つまり、このやり口も小型の「ショック・ドクトリン」で、はじめから計画されていた可能性が高い。

これは上に書いたようなに欠陥改修を口実にした「焼け太り」の手法で、「新マイナンバーカード」発行事業によって新たな利権中抜きターゲットが創出できるという訳だ。                  

RDBではなくカード型データベースである「住基ネット」に依存する以上、新カードももどうせ欠陥だらけだろうから再改修、再々改修で何度も中抜き可能で、政官財癒着複合体は「一粒で二度も三度も美味しい」思いをする事が可能。

「マイナンバーカード」の詳しい情報は、こちら。

現在の自民党は、多重下請けを隠れ蓑にした「利権中抜きビジネス」を本業とする「反社特殊詐欺グループ」同然の腐敗した政党になり果てている。国民が汗水たらして納めた巨額の税金は、こうして闇から闇へと消えて行くので、経済成長には全く役立たない。

日本が「6公4民」という超高負担低福祉国家で、国民への還元率が他のG7各国より平均15%も低い原因のひとつが「中抜き」である事は明らかだ。

人材派遣会社による中抜き

ついでに公金ではないが、労働者が本来受け取るべき賃金を中抜きして着服する「現代の吸血鬼」人材派遣会社についても書いておく。

派遣労働の歴史は「新自由主義」に基づく企業・資本家側の規制緩和要求に応える形で1985年に「労働者派遣法」が制定されたことに始まる。必要な時に、必要な人材を、必要な期間のみ利用したい企業側の手前勝手な要求に応えたものだが、この法律によって民間会社による人材派遣業が解禁された。

「労働者派遣法」は経営側が大幅に有利になるのに対し、労働者側は一方的に不利になるという不公平極まりない法律。経営側にとって「派遣労働」は直接雇用の人件費である(福利厚生費も含めた)「固定費」を人材派遣による「変動費」に置き換えて労働者の賃金を大幅にコストカットできるという大きなメリットがある。

制定当時、「労働者派遣法」は劇薬に化ける可能性があると労働側が強く反対したため、制定当初は専門的な知識や技能を有する13業種に限定され、直接雇用者が派遣社員に置き換えられる事のないよう雇用期限の上限も1年間だった。しかし、この法律を通したことが蟻の一穴となり、その後の度重なる「改正」によって規制がなし崩し的に緩和され、雇用期限上限も3年間に延ばされた。

1999年の労働者派遣自由化、2004年の製造業への派遣解禁を経て、現在は一部業種を除き、原則自由化されている。蟻が砂糖に群がるように1999年の労働者派遣自由化前後から人材派遣会社が激増し始めるが、最大手の「パソナ」の設立も1999年。

「維新」などが地方公務員を「既得権益層」として攻撃して正規職員数や給料を減らし、バックにいる竹中平蔵のパソナなどの非正規派遣職員に置き換えるなど、官公庁でも新自由主義に基づく公務員の非正規化が急速に進んでいる。

「解雇規制緩和」による雇用の流動化と「終身雇用制の廃止」も非正規雇用の推進と連動している。

派遣会社によってその割合は多少異なるが、派遣社員の給料の概ね30〜40%が派遣会社のマージンであり、派遣会社によるピンハネ額は年間30兆円とも言われている。その結果、非正規労働者の平均賃金は、正社員の5分の2以下の198万円という低所得状態に置かれている。

直接雇用であれば労働者に入るはずの給与の大きな部分をマージンとして派遣会社が「合法的」にピンハネしているのが実態だが、これは明らかに派遣先企業と派遣会社による二重搾取。

人材派遣各社のピンハネ率  クリックで拡大

自民党歴代内閣は、派遣会社を儲けさせるために中間搾取を禁じた「労働基準法」第6条の「法律に基いて許される場合の外」という例外規定を悪用して「労働者派遣法」を成立させ、同条文を事実上死文化させてしまった。

政府や地方自治体に寄生するパソナのやり口を見ているとなるほどと思うのだが、2021年度のパソナの純利益は前年度の1000%増しという凄まじさ。これには、先に見た東京五輪関係事業における巨額の中抜きも大きく寄与しているはずだ。

儲かり過ぎて笑いが止まらないらしく、現在、日本は人材派遣会社が世界一多い国になっている。

           世界の派遣会社数ランキング

派遣労働は働く者にとっては、①低賃金、②不安定雇用、③差別待遇、④無権利、⑤孤立状態など、大きな弊害を生み続けている「毒の缶詰」と言えるもので、国際的に見ても余りに異常。日本は韓国と並んで、OECDの中でも多くの点で最下位を争う「労働法後進国」なのだ。

こうした最悪の雇用形態をなくすには、「労働基準法第6条」の改正が必要。「労働基準法第6条」の本来の趣旨は中間搾取の禁止なのだが、「法律に基いて許される場合の外」という条文の抜け道例外規定が付けられているのが諸悪の根源。

「労働者派遣法」を廃止すると共に「労働基準法第6条」を改正して、「法律に基いて許される場合の外」という条文の例外規定を削除すれば人材派遣会社は中間搾取が出来なくなって潰れるか撤退せざるを得なくなる。

併せてメキシコのように非正規雇用を禁止して正規雇用を義務化すれば、日本の労働者の貧困問題は劇的に改善する。従来からあり、手数料・紹介料を徴収しない公共職業安定所(ハローワーク)の機能を抜本的に強化拡充させれば、労働者の生き血を吸う吸血鬼のような「新自由主義」の悪の権化である人材派遣会社など必要ないのだ。

                                  このまま自公政権をのさばらせておけば、遠からず日本は 世界初の「政府・官僚・財界が癒着した税金の中抜き」によって滅んだ自滅国家として世界史にその名を遺す事になるだろう。 

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気分転換に、フォークの名曲を3曲。

マイペース 「東京」(1974)

70年代抒情派フォークの代表曲。
歌詞の中で東京が「美し都」「花の都」と歌われていてちょっと驚く。まだ「集団就職」も行われていた時代(集団就職列車は1974年が最後)、東京に何度も行った事が歌になる位だから、「美し都」の実態を知らない地方に住む若者たちにとって東京は、遥かに遠い憧れの大都会だったのだろう。

マイペースは、1枚目のシングル「東京」がオリコンチャートトップ100に45週間ランクインするロングヒットになり、華々しいデビューを飾った。しかし、残念ながら後が続かず、シングル5枚、オリジナルアルバム2枚を残して解散してしまった。確かに最初のアルバム全体を聴いてみても目ぼしい曲は「東京」以外には見当たらず、一発屋で終わってしまったのも仕方がなかったと思われる。

伊藤敏博「サヨナラ模様」(1981)

まさにエレジー(悲歌)という言葉がぴったりの名曲で、歌い出し冒頭の比喩表現が素晴らしい。初めて聴いた時、このままゆったりとしたスローテンポで最後まで行くのかと思ったら、途中で別の曲のようにアップテンポに転調して、これでもかと女性の悲痛な思いを歌い上げる曲構成には感心した。

作詞・作曲者の伊藤敏博は、この曲のヒット当時は国鉄の鉄道員。安定した職業の国鉄マンがフォーク歌手に転身という事で話題になった。


永井龍雲「心象風景」(1978)

永井龍雲は大ヒット曲こそないものの、デビューした1970年代末から地道に抒情的世界を歌い続けているシンガーソングライター。「心象風景」は、3枚目のシングル「ひと握りの幸福」のB面。A面よりB面の方が遥かに出来がよいというシングルは数多あるが、この曲もその一つ。

美しいメロディと共に、後部車両のデッキから見た語り手の心象風景と、目の前を通り過ぎる汽車が「君にすれば引幕のように」という比喩で表現される女性側の心象風景とが対比的な合わせ鏡のようになっており、歌詞にも深みがある。語り手の痛切な悔恨を感じさせるラストの歌詞が泣かせる。

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