専門店の復活。

うちの会社(資生堂)には企業文化部という部署がある。152年の歴史のある会社で、日本人女性にお化粧する方法や楽しさ、それを通じて自分らしく生きる後押しをする、そんな化粧文化を作ってきた。

また創業者一族がビジネスの傍ら、写真家だったり、芸術家だったりしたので、アート&サイエンスといって、早くから会社の中に意匠部(今でいうクリエイティブデザイナーたちのいる部署)と研究施設をたちあげ、商品やパッケージ、CM、宣伝広告、花椿誌等を通じて、美しさとは何か、表現し、問い続けてきた会社でもある。

その企業文化部が、この150年の歩みをまとめた150年誌(分厚い本2冊とそのオンライン・アーカイブ日・英版)というものを作り、それを社内のメンバーにも資生堂のミームとして感じて欲しい、それを活かして次世代の資生堂を作ってほしい、という意味を込めて、先日、社員向けに「資生堂の歴史を社員で語ろう」という会を開催してくれた。

社内の食堂で、仕事終わりの18時からパラパラと社員が集まりだす。私はトラブル対応で少し遅れて参加したのだが、企業文化部の皆さんのファシリテートのもと、社員が聞きたいテーマを聞き、そこにまつわる歴史エピソードを企業文化部の方が回答してくれる、というQandA形式。

質問は多岐にわたる。
「資生堂のアート&サイエンスって、最初の意匠部や研究施設の話は分かりやすいんですけど、その後どのようなシーンでそれが継承されていて、それは今後私達はどのように活かしていけばよいと思いますか?」
とか
「資生堂の歴代社長ってどんな人だったんてすか?」
とか
「伝説の美容部員、永嶋久子さんってどんな方だったんですか?」とか。

私はいま営業サポートの部門にいるので。
「よく美容部員の誕生から変遷は歴史で語られますけど。営業ってどう変遷してるんてすかね?役割とか。あるいはチャネル戦略で専門店ビジネスから、ドラッグチャネルへ、的な流れはあるけど。今後の専門店ビジネスはどうあるべきか、とか示唆があれば教えて欲しい」と聞いたところ。

企業文化の方が
「その質問に明確に答えられて、実現できたら、それは社長賞ものですけども。笑」
と前置きをしつつ。

「私が思うに、いまドラッグストアやECで便利にモノが買える時代になったけど、もう一回、専門店の時代が来ると思ってるんです。だって、商売の基本は人から人へ、じゃないですか。この人(販売員)の言うことは信用できるから、この人から買いたいとか。お客さんの気持ちに寄り添って、お客さんの悩み解決のために一生懸命考えて、提案して、一緒に伴走して、その思いがお客さんに届くから、だから、資生堂のもの使いたいと思ってくれる。商売ってそういうことでしょう?だから、ドラッグストアやECのように、便利に買える場所があってもいいけど。やっぱり肌につける、丁寧に自分と向き合うそのお化粧の時間を、そこで使う商品を、信頼できる人から買いたいというニーズは絶対的に無くならない気がするんてすよね。」
とおっしゃっていて。

それは本当にそうだなぁーと思ったのだ。

話は変わるが、最近、個人的に手挽きコーヒーにハマっていて、コーヒー豆を買うために近所のコーヒー専門店に通っているのだが。

そこでコーヒー店のマスターから、
・浅煎り深煎りの違い
・産地の違い
・豆の挽き方(粗め、細かめ)
・淹れるお湯の温度
・蒸らす時間
・淹れ方、注ぎ方
等によって、全然コーヒーの味が変わってくること。そして正解は無くて、自分の好みを探してそれを見つけていくのが大切なこと、等を教えてもらって。

その奥深さと、それでいて数学のような、こうするとこうなる、というサイエンス?な部分に惹かれて、ますますハマっていく自分がいる。笑

その店主とのコミュニケーションの楽しさとか、そこで得た知識をもとに、自分で家で豆を挽いて淹れて試してみる面白さ、そこでまた生まれる疑問をまた店に聞きに行ったり、チャットで聞いたり。

そういうのって、専門店ならではだと思うんですよね。スタバやコーヒーチェーンのお店では絶対にあり得ないコミュニケーションだから。(店員も答えられないだろうし、答えられたとして他のお客さんにウザがられるのがオチ)

そういう専門店ビジネスって、昔は商店街が沢山あったから、当たり前に身の回りにあって。野菜は八百屋で、練り物は練り物屋で、魚は魚屋で、肉は肉屋で買ってた訳だけど。

それがGMSとかドラッグストアの台頭と、忙しいビジネスパーソンの働き方生き方とも相まって、ワンストップで買えることの価値が高まり、専門店や商店街が消えていった。シャッター通りになっていった。という歴史だと思うんだけど。

いままた現代になって地域コミュニティってことが見直されている、というか、それが大切だよね、ってなっているときに、地域に根ざしたビジネスをやってるそういう専門店の人たちって、結構キーパーソンのような気がしていて。

そのコーヒー専門店に集まる人が仲良くなったりする、コミュニティスペースになるということが一つ。

あとは、地域を盛り上げようぜってなったときに、自治会とかとも連携しつつ、専門店の人がお祭り的なイベントにブース出展したりとか、あるいはその専門店同士でお互いの店の商品を紹介して、地域の店を繋ぐことが出来たり。

はたまたコラボして何かイベントやったり。
(今度そのコーヒー専門店と近くのドーナッツ屋さんがコラボしてイベントやるんだって。楽しみ!)

だから、何ていうか。話は戻るけど。
専門店ビジネスはもう一度来る、っていうか、もう既に一部のコアなファンを捕まえてる専門店は出てきてるよね、っていう話で。

そういう地域と繋がって、面白いことを仕掛けていける専門店は、単純に通っていて面白いし、応援したくなるし、何なら一緒に何かやりたいなーと思ったりする。

そんな専門店が街に増えたら、楽しいよね。

商店街復活したいもんなー。どこかでゼロイチで商店街作るプロジェクトとかやりたいな。笑

その時は自分も何か専門店やろうかな。
何がいいかな。
今興味あるのは朝粥。笑

誰かお粥で美味しいお店教えて。笑
食べ歩いて研究したい。笑

以上







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