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澁谷果歩さん著『AVについて女子が知っておくべきすべてのこと』を読んで考えた、AVに出ても大丈夫な女性の条件
元AV女優で今はコスプレイヤーとして国際的に活動されている澁谷果歩さんが書かれた『AVについて女子が知っておくべきすべてのこと』を読んだ。
まず、序章で「アダルトビデオは、いまや我が国が誇る文化として世界的に愛されています」と書かれていて驚いた。確かに、日本酒をピーアールするのに現役や元AV女優が選ばれたことが多くの女性の非難ツイートで知ったり、海外に行った女性から「AVの影響で日本人女性はエロ
『乳房のくにで』で縛られる女性たち
未婚のまま子供を産んだ女性が、かつて裕福だった頃の生活や離婚したあと会っていない母親の面影を求め、デパートで、かつて母親が着ていたようなワンピースに目を止め、買えないと分かりつつも試着してみる……
現代日本が抱えるシングルマザーの貧困問題と自身のノスタルジーをも駆り立てる切ないシーンから始まった物語は、主人公が母乳が出過ぎることを見込まれ、裕福だった頃の同級生夫婦の子供のために「乳母」として雇わ
花房観音著『京都に女王と呼ばれた作家がいた』を読んで
花房観音さんがミステリー作家山村美紗の生涯を描いた『京都に女王と呼ばれた作家がいた』を読んだ。
山村美紗のドラマは見たことはあったけど原作本は読んだことなくて、山村美紗本人に衝いてもよく知らなかったけど、西村京太郎が週刊朝日で連載していた『女流作家』を読んでいて、林真理子との対談で「あくまで小説」と言っていても、きっと本当のこと(二人は男女の仲だった)だと思っていた。
しかし、花房観音氏の綿密
コロナ禍で憂う貧困女子のいく末にあるもの
中村淳彦さんの『新型コロナと貧困女子』をようやく読んだ。
予約して発売と同時に届いたのになかなか読めなかったのは、最近余裕がなくて、本を読む時間が取れなくなっていたことと、取材中の中村氏のYouTubeなどで風俗嬢の現象を知るまでもなく、コロナ禍で仕事のなくなった風俗嬢の悲惨さは想像に固くなく、読み出す気力がなかなか起こらなかったからだ。
今また、新宿歌舞伎町のホストクラブでの集団感染やホスト
コロナ休校中のこどもの日に考える日本の学校教育の問題点
今日はこどもの日である。
ウィキペディアによると「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日であると記されている。
それではまるで、子供に関わっているのが母親だけみたいで、どうして「両親」とか「養育者」ししなかったのかと思ってしまうが、制定された1948年には「子供の面倒は母親が見るもの」という価値観が強かったのかもしれない。
それはさておき、コロナによる長期休校が
拝金主義を浅ましく思うのはもう少数派になったのかもしれない
風俗に関する発言を巡ってフェミニストの人が抗議活動をしている件について、「お金をくれる訳でもないのに」とか「(フェミニズムを)学んで稼げるの?」という発言をしていると、支援団体をしている人がツイートしていた。
おそらく、当事者に対して何の利益にならない活動家への皮肉を込めた発ツイートだと思うし、それに賛同する多くの人が「いいね」やリツイートをしていたが、私はその発言がお金のことばかりで浅ましく、
弱者のための施しじゃなくても自分のために戦ってもいい
コロナ渦で困窮した女性が風俗で働くのを楽しみに待とうと発言した芸能人が激しく非難され、その弾圧がいきすぎだと「反フェミニズム」の人が批難する、いつものメンバーによるいつものツイッター論争が巻き起こっている。
そんななか、風俗嬢を支援する団体の人が「福祉やフェミの人は風俗嬢にお金を払ってくれる訳でもないのに偉そう。勉強したらお金稼げるのか?」と風俗嬢の声を代弁していた。
この活動に対して、「当事
ステイホーム ウィズ キッズ
子供の学校が休校になって2カ月が過ぎた。まだ正式に決まってはないが、おそらく5月末まで休校は続くだろう。
仕事をしていワーママも専業主婦のお母さんも、子供がずっと家にいることを苦痛に感じてる人が多いし、学校にも外にも出られない子供のストレスがお母さんに伝わってしんどくなる人もいるみたいだ。
一方、私ときたら、子供が幼稚園に入る前、ずっと一緒にいた専業主婦時代に戻ったみたいで、なかなか楽しくや
「生きづらさ」を解消するハックともっと必要なこと
姫野桂さんの3冊目の著書『発達障害かも? という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』を読んだ。
これまでの本は発達障害や発達障害の疑いがあったり、何らかの「普通の生活を送るうえで困難なこと」がありながら、発達障害の診断が下りない「グレーゾーン」の人たちへの取材を基に書かれたものだが、今回の本は苦手なことがある人に、それをどんな工夫で乗り越えているかをたずね、集まった「ハック」を紹介していく
ぼそぼそ声を上げ、その声を拾いあげること
ネットの発達によって得られた有意義なことのひとつに、人々が自分の考えていることや日常のできごとを手軽に発信できるようになったことがある。
そのおかげで、普通に生活していたのでは巡り合わないような階層の人たちの存在を知り、その生き方や考えをつぶさに観察することができるようになった。
フェイスブックやインスタグラムなどいくつか発信、交流サービスを利用しているが、なかでもツイッターは風俗嬢である自分
コロナ禍の川上から見ている
コロナの感染者の増加傾向が止まらず、東京や大阪を含む7都道府県で緊急事態宣言が出された。
ニュースでは「自粛」によって営業を休止させられる業種の詳細や人がいなくなったビジネス街や夜の街の現状を伝えている。
ツイッターでは、学校休校が要請された2月末ごろから仕事が少なくなったと悲鳴をあげている風俗嬢たちの声が多かったが、休業が決まり、いよいよ「収入ゼロ」に追い込まれた。
風俗、キャバクラ嬢など
「ミッドサマー 」 ~個々の感情より共同体の存続が大切な村 ※ネタバレあり
「ミッドサマー」という映画を見たのは「恋人と見たら別れる」というコピーにひかれたのと、ツイッターでフォローしていてその人の文章を読むことが好きな人が「ネタバレあり」の感想を書いておられ、それを読む前に見ておいたほうがいいと思ったからだ。
ひとりで見てもよかったんだけど、私のツイッターをいつも見てて「パラサイト」を見に行く約束をしていた彼が「それならミッドサマーのほうを先に見ようか? 」と私のツイ
『結婚の奴』を読んで、結婚に大切なのは恋愛感情より、結婚したい意志と相手に対する思いやりと、やっぱり才能だと思った
能町みね子さんの『結婚の奴』を読んだ。
能町さんのツイートはよくツイッターで目にするし、「元男性が恋愛感情のないゲイ男性と結婚した」というネット記事は読んだことがあったが、著作を読むのは初めて。テンポがよくきちんとオチのある文章にまず魅了された。
自分には恋愛は無理だけど結婚して誰かと一緒に生活したいと思いつき、この人ならと狙いを定めた友人と、もしダメだったときのことを考えつつ冗談めかしたやり
愛は幻想にすぎないのか? 濱野ちひろ×二村ヒトシ 『聖なるズー』の対談をとおして考えたこと
動物をパートナーとして愛し生活を共にする「ズー」の人たちを取材した『聖なるズー』を読んで感じたのは、相手を愛し大切にしているか、単に性的な対象として見ていないかの違いが重要だということだった。
ズーの人たちが、動物とのセックスが好きなだけの「獣姦愛好者」とは違って、自分たちは動物のことが本当に好きで、相手と尊重しつつ愛しているのだからと、自分たちの性的嗜好を認めて欲しくて言っていることではあるが
「売った身体」の再利用と親としての役割のはざまで
「現代思想3月臨時増刊号」の貴戸理恵さん鈴木涼美さんの対談「“キラキラ”と“その後”のためのフェミニズム」を興味深く読んだ。
私は、鈴木涼美さんの言葉を借りれば、「『身体を売るのがどうして悪いかは説明できないけどなんとなく悪いと気がする』という嗅覚によってうまく落とし穴に落ちないようにして」、(いや、明確に分かっていた。そんなことをしたら「いい縁談」がこなくなる、つまり自分の「価値を下げる」から
『聖なるズー』 から学ぶ対等な愛の形
AV感得で性愛に関する多くの著作のある二村ヒトシさんが「すばらしい、ものすごい本だった。セックスのことや、差別、フェミニズム、対等さ、暴力や虐待の問題、宗教や哲学に関心ある人は、みなさん読まれたほうがいいと思います」とツイッターで薦められていたので(同じ文章がアマゾンのレビューにもある)、アマゾンでポチったら、「動物との性愛」「ノンフィクション賞受賞」という文字が目に入って驚いた。
ということは