バッドエンド症候群(エッセイ)

バッドエンドで終わらせてはダメだ。

昔、バッドエンドで終わる物語ばかり書いていた。

それは私の書きたいものであったのは確かだが、バッドエンドで終わることを読者は良しとしないだろう。

今の情報のあふれた世の中でバッドエンドの物語を観たりする体力が今の読者には、たぶんない。

昔、やっていた2クールアニメがバッドエンドだと事前情報で知ってしまったとき、「じゃあ、観なくていいか」と思ってしまう。

半年分の時間をかけて作った結末がバッドエンドだと観る気が失せる――少なくとも私は。

じゃあ、なんでバッドエンドの物語を10年以上前の私が書いていたのかというと、当時ある魔法少女アニメが流行っていたからである。

魔法少女アニメという情報だけで、どんなアニメか分かってしまうだろうが、そう……『魔法少女まどか☆マギカ』である。

あの結末を知っている人は分かると思うが、正確には、『まどマギ』はバッドエンドではない――いや、登場人物である暁美ほむらの視点から見るとバッドエンドであると言えるのかもしれないけど。

第1話から最終話までの物語の間ではバッドな展開が続いていた。

しかし、エンディングはバッドだけなものではなく、どこか清々しさを感じるエンディングであったようにも思える。

当時の私は『まどマギ』の、そのバッドな出来事に惹かれ、バッドエンド症候群を発症してしまったのだ。

私は『まどマギ』の一部分しか見ていなかったのである。

それが何年もバッドエンド症候群を発症してしまうダメな時期であった。

私は、どんでん返しが好きだ。

だから私の美技(……?)で読者を酔わせたかったのかもしれない。

しかし、それが現代(2024年)に通用するわけがない。

そのときの私の美技は、ただの自○行為に過ぎないし、そんなものについてくる読者はいないだろう。

つまり、バッドエンドは今のストレス過多な世の中に通用しないということだ。

確かに現実世界はバッドエンドどころかデッドエンドな結末は決まっている。

現実世界に寄せたほうがいいと思う作者もいるだろうけど、空想世界くらいはハッピーエンドにしてしまったほうが、いくぶんかマシな気がするのだ。

そうしないと、結局ストレスフルな社会に戻って読者は絶望してしまい、せっかく割いてくれたリアル時間をムダにすることになるのだ――それは読者のソウルジェムが濁る原因を作ってしまうに等しい。

だから、悪いことは言わない。

ハッピーエンドで終わらせておけ。

私は、そんな理由で空想世界の物語くらいはハッピーエンドで終わらせたい。

そのほうが作者も読者も楽しいはずだから。

ちなみに、これは誰に向けたメッセージかというと……バッドエンド症候群を発症しながら創作をしている人かな。

バッドエンド症候群には、くれぐれも気をつけよう。

お読みいただき、ありがとうございました!

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