見出し画像

腸脛靭帯炎(ランナー膝)はなぜ起こる①解剖学的な観点で知る症状の特徴と評価方法

腸脛靭帯炎は簡単に言えば、膝の外足部に起こる症状です。ランナーの方に多くみられることから、「通称ランナー膝」とも呼ばれます。腸脛靱帯炎というのは、具体的にどんな組織が原因で発生するのか。具体的にどういった組織がどういう原因で起こってくるのか。どのように相手が腸脛靭帯炎かを評価するべきかを紹介したいと思います。

腸脛靭帯炎について

腸脛靭帯炎は読んで字のごとく、腸脛靭帯という組織が炎症を起こします。そして腸脛靭帯は、大腿筋膜張筋・大殿筋・中殿筋の筋膜によってももの外側に形成されており、脛骨の外側にあるガーリー結節する場所に付着をします。また、腸脛靭帯は外側広筋と筋膜連結しているのも特徴の1つです。

腸脛靭帯の主な機能は、骨盤の安定化と姿勢制御とされています。また、外側側副靭帯などがうまく機能しない時、腸脛靭帯が代わりに膝の安定性を担うと言われています。脛骨の外反や外旋の作用もある反面、腸脛靭帯が固くなると脛骨に過度の外反・外旋の力が加わってしまいます。

腸脛靭帯炎の特徴1:X脚でもO脚でもなりやすい

腸脛靭帯炎は腸脛靭帯の付着から「膝の外側痛」として説明されますが、具体的にはこの大腿骨外側上顆と腸脛靭帯が接触することで痛みが発生します。腸脛靭帯の通過点である大腿骨外側上顆と繰り返し何回も接触することによって発生する炎症が、腸脛靭帯炎というわけです。

ここで1つの争点となるのは、腸脛靭帯が起こりやすい脚のアライメントです。もう少し簡単に言うと、X脚とO脚のどちらに腸脛靭帯炎が多いのかという点で、文献と現場とで考え方の違いがあります。

文献や教科書では、股関節が外旋して外側に荷重が乗り、腸脛靭帯炎に対して膝が内反している状態―がに股のようなO脚状態―であると、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆がぶつかりやすい=腸脛靭帯炎になりやすいと言われています。

しかし、腸脛靭帯炎に悩まされている多くのクライアントを見てみると、ももの外側が張っているて股関節が内旋している=X脚気味なのです。先程のアライメントとは真逆の状態にもかかわらず、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆が接触して腸脛靭帯炎が発生しているという、矛盾のような状態が起きています。

ここから先は

2,605字 / 5画像
単発の有料記事を月に3本以上読まれるのであればこちらのマガジンに登録されたほうがお得です。 月額1980円です。 初月は無料となりますのでまずはお試し(^^)/

Anatomy Special Magazine

¥1,980 / 月 初月無料

解剖学に関する記事を月に最低3記事更新していきます。 トレーナー及び運動指導者、健康に関する従事者が楽しめる内容となっております。 レベル…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?