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健康と長寿と栄養①カロリー制限&脂質編

ブルーゾーン(Blue Zones)という言葉をご存知でしょうか?日本語では「長寿地域」と言い換えることができ、健康で長生きの人々が多い地域を指します。JIMという医療メディアのシンポジウムにて、ブルーゾーンの人々とそうではない人々になんの違いがあるのかがまとめられた文献が発表されました。

文献では、疫学的な観点から考えた健康・長寿を獲得するための食事についてまとめられています。今回は、その内容から「カロリー制限」「脂質摂取」に関する内容を抜粋して紹介したいと思います。

カロリー制限と体型が長寿に与える影響

私たち人類や他の生物は、栄養失調を引き起こすことなく食物とカロリーの摂取量を現象させることで、寿命を延ばしつつ加齢でリスクが高まるさまざまな疾患の発症を遅らせるのに効果的であることが判明しています。

なぜそうなるのかは、さまざまな理由が考えられています。主な説としてまとめられているのは、インスリンの減少(過剰分泌の抑制)、mTOR(蛋白合成、細胞増殖、血管新生、免疫などを制御する物質)の抑制、長寿遺伝子の活性化、NAD+(NMNをもとに生成され、エネルギー産生や臓器の機能維持、アンチエイジング等に効果があるとされている)の活性化、炎症および酸化ストレスの軽減などです。

とある研究では、カロリー制限をしたグループはカロリー制限しなかったグループと比較して、2年間で約12%のカロリー減量と10%の持続的な体重減少を達成しました。それに加えて、血中脂質、血圧、インスリン感受性、炎症など健康に関するさまざまな指標が、有意に改善されていたそうです。

また別の研究では、生涯を通じて安定的に痩せ型の体型を維持することが、長寿に大きく影響すると報告しています。なお、ここでの痩せ型というのはBMIが適正範囲内(18.5~22.4)に収まっていると考えてください。その上、さまざまなライフステージにわたって痩せた体型を維持している女性と男性は、2型糖尿病と心血管疾患のリスクが非常に少なく、体脂肪率が大幅に増加した人はリスクが非常に高くなるという結果になりました。

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