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体格と性格はどう関係する?さまざまな研究から分かってきたこと

性格と体型には、相関関係があるという話があります。中でも有名なのが「クレッチマーの性格類型論」です。20世紀前半~半ばの精神医学者であるクレッチマーは、精神病患者の体型にいくつかの共通点・傾向があると考えました。そして、肥満型・痩せ型・筋肉質型といった体型別に、どのような性格が見られるかをまとめたのです。

例えば、肥満型は躁うつ気質があり、社交性やユーモア、親切な一方で気分の浮き沈みが激しい。痩せ型は控えめかつ温和で、比較的周囲とのコミュニケーションへの関心が薄く、神経質な一面がある。筋肉質型は、几帳面で正義感が強く、物事に熱中しやすい…という感じです。

実は、こうした性格と体型との関係性を示唆する研究は多く発表されています。その中には「女性特有の傾向」というものもあったので、一緒に見ていきましょう。

性格特性である程度「BMIが増えやすいか」が分かってしまう?

アメリカでは深刻な肥満症患者の増大に悩まされています。2002年の計算では、アメリカ人の成人人口の55%が体重過多または肥満と言われるほどです。体格の個人差というのは、25~40%は遺伝的要因によると考えられる一方、環境や日々の習慣も重要な要因と言えます。

こうした背景から、アメリカでの研究の多くは肥満と性格との関連性に焦点を当ててきました。こうした研究の多くは、臨床、つまり肥満症患者などを対象としたもので、健常者をサンプルとした研究はあまりなかったそうです。2002年に行われた研究では、性格の影響を十分に受けたと思われる中年期(40代前半)の男女を対象として、14年間の体型変化と性格との関係性を調査しました。なお、この調査での性格検査にはNEO-PI-R(NEO性格検査)が用いられています。

NEO-PI-Rとは、1990年代に提唱された性格特性を調べるビッグファイブ理論を基にした、パーソナリティ検査です。ビッグファイブ理論は、人間のパーソナリティを5つの基本特性で分析します。

  • 神経症傾向:不安や抑うつなどになりやすいか

  • 外向性:活動的で社交的な傾向があるか

  • 開放性:新しいもの、経験、知識に関心を示しやすいか

  • 調和性:他者に優しいか、共感しやすいか

  • 誠実性:どの程度まじめか

そして、NEO-PI-Rはこの5つのそれぞれの性格適性から6つの構成要素をピックアップし、合計30項目でパーソナリティをより正確に測定します。

  • N:神経症傾向(不安、敵意、抑うつ、自意識、衝動性、傷つきやすさ)

  • E:外向性(温かさ、群居性、断行性、活動性、刺激希求性、よい感情)

  • O:開放性(空想、審美性、感情、行為、アイディア、価値)

  • A:調和性(信頼、実直さ、利他性、応諾、慎み深さ、優しさ)

  • C:誠実性(コンピテンス、秩序、良心性、達成追求、自己鍛錬、慎重さ)

この調査の結果、中年期の14年間のBMIの上昇と、神経症傾向は正の相関が見られました。つまり、神経症傾向が高い人ほど、BMIは上昇しやすかったわけです。一方で、開放性・調和性・誠実性が高い人は、BMIが低い傾向にありました。そして、この傾向は性別で大きな差異がありました。

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