見出し画像

治療家という生き方の原点になった話〜高校生⑦〜

今年は異常に暑い日が多いですね。石川の夏は涼しいと思われがちなのですが、フェーン現象の影響で気温は結構上がります。夏休み中は合宿じゃなければ暑い下界で練習していたので、いろんな工夫をして暑さ対策しながら練習をこなしていました。

金沢の外れの方に奥卯辰山公園というゴルフ場を改装した芝生広場がありました。公共交通機関で行きにくい場所だったので、自転車で行かなくちゃいけないのですが、遠いのなんの。自宅から自転車で1時間半。しかも最後は上り坂なので、メチャクチャシンドイ。練習どころじゃないくらい疲れてしまうので、いつのまにか練習開始の2時間くらい前に行って寝てから練習するようになりました。

恵まれた環境で管理されながら練習することも理にかなってると思います。だけど、条件の悪い中で工夫しながらやるということも大切なことだろうなと思ってます。もちろん、今夏の災害レベルの暑さの中で我慢しながらやれと言ってるわけじゃないですよ。それは危険です。ただ、ハングリー精神があっていい意味でガツガツしてたほうが、選手としては伸びる気がします。

最近の選手はホント恵まれてますよね。っていうと歳をとった証拠だと笑われてしまいそうですが、陸上界の松田丈志さん的ランナーがこれから世界に挑戦していこうとしていたならば、贔屓にして応援したいものです。


■「恩送り」を約束した先生

高校の伝統なのでしょうか、、、うちの高校は公立校の割にはOB、OGが本当に力を貸してくれる高校でした。むしろOB、OGじゃない人もいたのですが、選手数の割には指導者として関わってくれる方が本当に多かったです。

長距離チームを見てくれていたのはモリモト先生という優しい先生でした。少し離れた小学校で先生をしているので、土日など時間の融通が利くときじゃないとなかなか来れない人でした。当時はあまり何も考えずにありがたいな程度に思っていたのですが、とんでもなかったですね。自分が教員経験をして雑務も含めた仕事がこんなに多いのかと驚き、それと同時にモリモト先生がいかに自分の時間を犠牲にして練習にきてくれていたかがよくわかりました。

決して不平不満を言わない先生でした。大会があると車で連れていってくれましたし、駅伝が近づいてくると平日でも構わず練習を見にきてくれていました。

そんなモリモト先生が駅伝前に僕に提案してくれたことがあります。

「普段の練習の疲れはその日のうちにとったほうがいいから、家に行ってマッサージするよ」

高校の先生ではないからこそできたアラワザです。自分の学校の生徒であれば、こんなに深い関与は当時であっても問題になりかねなかったのではないかと思います。モリモト先生曰く、マッサージを受けたら眠くなるしそのまますぐに寝たほうがいい!とのこと。本当に申し訳ないやら、ありがたいやらでどう反応したらいのか迷ったのですが、結局毎晩自宅でマッサージしてもらいました。

マッサージを受けているときに、ふと申し訳なくなって謝ろうとしたらモリモト先生が一言。

「ミヤカワ、俺にしてもらったことは俺に返そうとしなくていいよ」
「ただし、これからミヤカワが出会う人に自分がいいと思うことをしてあげるんだぞ」
「世の中はそういう風に回っているから」

「恩返し」ではなく「恩送り」の考え方。この言葉は結構グサッと刺さっていて、ずっと心に響いていました。そして「すみません」「ごめんなさい」って言われるよりも「ありがとう」って言葉のほうがいいですよね。つくづく、陸上競技を通して様々な人に出会えて幸運だったなと思ってます。


■想いを形にし続けること

結果的に大学を卒業してから自分が選択した職業は「教員」でした。授業を担当し、部活を指導する中で頭の根底にあったことはモリモト先生が僕に注いでくれた情熱と愛情でした。僕も生徒のために何ができるかを考え、自分の時間を割くこと惜しまなかったです。土日なんて関係なかったし、学校で寝ずに採点したことも何度あったことか。。。

生徒の怪我を目の当たりにして、走りたくても走れない悔しさやもどかしさに悩む子に出会い一念発起。夜間の柔道整復専門学校に通って勤労学生生活を3年間続けました。そんな中で治療の世界に魅力と可能性を感じ、悩みながらも教師を辞めて整骨院の世界に飛び込んだのが30歳の時です。朝から晩まで治療に没頭しました。この辺りの詳しい話はもう少し後ですね。

そして自分にとってこれからが社会人になって第3ステージ。結婚して自分の時間感覚も変わり大事にしたいものも変わってきました。これからやりたいことは「スポーツをビジネスに!」というざっくりとしたイメージですが、教師、ランニングコーチ、治療家、トレーナーとして培ってきた経験を絡めて繋げて形にできたらいいなと思っています。

ただ、根底にある想いはずっと一緒

これまで関わってきた人への恩返しとしての「恩送り」

モリモト先生の想いはこれからもしっかり繋いでいきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。現在様々なメディアで情報発信しています。サポートいただいた分はメディアの運営に使わせてもらおうと思います。