2011奥武蔵グリーンライン

「真面目人間」が陥りやすい伸び悩みの罠の話〜高校生④〜

人生初めての入院から1週間。

まぁ、入院といっても手術をしたわけでもないですし、体に大きな負担がかかる治療をしたわけでもありません。やったことこといえば点滴くらいなので、大ごとではないなというくらいに軽く考えていました。
(寝てる間に点滴をひっこ抜いてベッドを血の海にしてしまいましたが・・・)

ところが、1週間ぶりに走ってみてびっくり。体が重いのなんの・・・陸上競技人生の中で1週間も走らないという経験はこれが初めてだったので、衝撃を受けました。それでも走ることをやめられないのは真面目人間の宿命(苦笑)。とぼとぼと自宅近くの農道を走っていたら、一台の車が僕を抜いて路肩に止まりました。

窓から顔を出したら知った顔。中学生の時に僕のことをしっかり叱ってくれた地元実業団の監督さんでした。
(詳しくはこちら

「みやかわ〜、お前はバカか!!無理するんじゃない!」

声をかけられた瞬間に身が引き締まる人っていると思いますが、僕にとってそれはこの監督。この時もそうでしたが、狭くはない町内で、しかもこの時間帯に自分が走っているなんて誰も知らないはずなのに、僕のことを見つけて声をかけるなんて奇跡的すぎます。誰かに聞いたのかな。。いまだに謎です。

見た目も言葉遣いも怖かったのですが、心根は本当に愛情があって苦しい時に一番優しい声をかけてくれたのは、この監督でした。僕のことをよく見てくれていたことがわかっていたので、どんなに厳しいことを言われても、スッと入ってきました。

その一方で部活の顧問だったヤマシタ先生はどうも苦手で、心の何処かで境界線を引いていました。ただ、真面目くんの場合は決してそんなそぶりを出さないという特技を持っているらしく、何なら先生を崇拝していますというようなオーラまで出せてしまいます。結構厄介なんですよね。それが自分を結果的に苦しめてしまいました。


■「現状維持」な冬季練習

その年の冬は脱水症状による入院事件もあり、ほとんど冬季練習らしいことはできませんでした。というよりも練習になかなか身が入りませんでした。3年間という短い高校生活の中で、この期間がかけてしまった代償は大きかったです。

この時期の練習を一言で言えば「現状維持」。言葉自体が持つ意味は決して悪いものだとは思いませんが、同時に癖がある言葉だとも思っています。

「良い現状維持」と「悪い現状維持」の違いは分かりますか?あくまで自分の解釈ではあるのですが、前者は物事が順調にうまく進んでいて、それがキープできている状態。良い状態を保つためには必ず上を向いていかなくてはならず、結果論として現状のままだったということはよくあります。変わっていないようでいて、実は悪くなる要素を排除していたり、良くなるために最大限の努力をしたりしています。表面的には変わっていなくても、今後変わるポテンシャルを持っている「結果が伴っていない正しい努力」といったところでしょうか。

それに比べて「悪い現状維持」とは文字通り全く動かなかった状態のこと。何かのアクションも起こせず、変わる努力も不十分だった状態。当然ながら何かが変わることなどなく、まさに「現状維持」

言葉だけを捉えると前者も後者も同じ「現状維持」ではあるのですが、質的に明らかに違います。そういう観点で見ていくと高校1年の冬は何のアクションも起こせなかった「現状維持」でした。体調がイマイチ、気持ちも乗らない、先生の言葉も入ってこない。。。ちょっとしたボタンのかけ違いが起こしたことだと思うのですが、振り返れば本当に勿体無い時間でした。


■悩み多き2年生

春になってトラックシーズンがスタート。記録は前年とほとんど変わることはありませんでした。まぁ、当たり前ですね。やってきた練習がそもそも成長できるクオリティのものではない。それじゃぁダメだろうといのは誰でも分かることです。

ただ、それでも勝てちゃう。。。

5000mで優勝しました。普通に走って普通に優勝。言い方がなんだか感じ悪いですね。きっとそのときの自分を今の自分が見たらかなり嫌なヤツだろうなと思います。その一方で、ほころびも出てきました。3000m障害、入学後一ヶ月で出させてもらった種目でしたが、走るだけじゃないという楽しさがあって、お気に入りの種目でした。(水濠という水にドボンと浸かる瞬間があって、それがまた楽しい!)普通に走っていても負けないだろうなと思ったら、最後の1周でスルリとかわされ、あとはどんどん離されてしまいました。

負けるはずがないと思っていた種目。でも結果は結構力負けした感があり、悔しくて悔しくて泣きそうになりながらテントに戻りました。翌日もあるから早く帰らなきゃと思っていたのですが、とにかく汗が引かない。それどころかどんどん体調も悪くなってきて、そのまま病院に連れて行かれました。39度の熱がでていて、よくよく調べてみると脱水でした。

脱水が癖になるかどうかはわかりません。ただ、なんとなく自分の体にずっと違和感があって、それが抜けませんでした。慢性疲労?それで片付けるのは簡単ですが、もっと根深かったような気もします。今回は入院は免れましたが、体が大丈夫なわけではなく、なんとか誤魔化しなが走ったのを覚えています。


足元をすくわれるとはこのことなのかもしれません。二年生は全国を知る年だと位置付けていたはずだったのですが、春の時点で既に雲行きが怪しかったです・・・

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