見出し画像

#9 産後ケアについて

パーソナルトレーナーの宮谷です。

今回は妊娠&出産による姿勢の変化と、改善するための【産後ケア】にフォーカスを当てて、記事を書かせていただきます。

妊娠による骨格の変化

赤ちゃんの成長につれて、骨盤が外に開いていくのが妊娠期です。
1番大きく開くのが【恥骨結合】、それに従って【仙腸関節】も斜め上方向に押し上げられるように広がります。
それに伴い太ももの【大腿骨】も外に広がるので、妊娠期はガニ股歩行になるんですね。

前から(前額面)の変化も大きいのですが、1番大きく変化するのは横から(矢状面)の姿勢の変化だと思います。

お腹の赤ちゃんの重みで骨盤が前傾することによる【反り腰】、腰椎の前弯による【腰痛】、バランスを取るため胸椎を後弯させることによる【猫背】。

妊娠期の女性はこれらの不定愁訴や痛みに耐えながら過ごしていると思うと、男性として頭が下がります…。

産後の骨格の変化

妊娠期にあれほど骨盤の関節が変形するので、「産後もそのままになるから体型が変わるんだ」って思われている方が多いと思います。

妊娠期に赤ちゃんが徐々に大きくなるから、骨が無理矢理押し広げられて骨盤が開くわけではなく、【リラキシン】というホルモンの分泌によって関節を支えてる靭帯が柔らかくなることで、関節が柔らかくなって広がるんです。
なのであんなに大きな赤ちゃんを産むことが可能になるんですね。

その【リラキシン】は産後も分泌されていて、個人差があるので期間は明言できませんが、産後に広がった骨盤周りの靭帯を元に戻す助けをしてくれます。
ですが元通りに戻るかは、やはり骨を支える筋量の強弱によって個人差が生まれます。
アスリートの方や、普段から運動をされて下半身を鍛えてる方が産後に体型が戻りやすいのは、何もされてない方との筋量が圧倒的に違うからなのです。

医学では「産後2〜3日で分泌が止まる」とされているので、産後ケアを早くしましょうって言われるの要因になっているのでしょうね。

結論から言いますと、「産後のスタイルが戻らないなどの原因は、妊娠による骨盤の広がりや歪みではなく、骨盤を安定させる筋量が少ないことや、産後も妊娠期のときと姿勢が変わらない」のが1番だと僕は考えています。

効果的な産後ケアとは

【産後ケア】として、姿勢を変えて、スタイルを良くする効果が期待できる方法を3つお伝えしたいと思います。

①反り腰の原因を作る筋肉のストレッチ

お腹の中の赤ちゃんの重さで骨盤が前傾してしまうことはお伝えしましたが、どこの筋肉に負担をかけているのか、詳しく説明します。

黄色のラインは赤ちゃんを宿してるお腹と仮定してください(汗)
黄色の矢印は赤ちゃんの重さでかかる負荷で、赤矢印はその負荷で骨が引っ張られる方向を指しています。
骨が引っ張られることで、その骨に付いている筋肉に様々な影響を及ぼします。

青色の矢印は、骨盤が前傾することにより、収縮して固まってしまう筋肉の力の方向を示しています。
身体の前面では、太もも前の【大腿直筋】や内ももの【内転筋群】、太ももと腰椎をつなぐ大腰筋や骨盤とつなぐ腸骨筋の総称【腸腰筋】が主な筋肉です。

背面では背骨に沿ってついている【脊柱起立筋群】、腰痛の原因となる【腰方形筋】が挙げられます。

280日(40週間)に渡り、重い赤ちゃんをお腹に宿して過ごされていたのですから、姿勢が悪くなってしまうのは仕方のないことです。
ですが産後も反り腰のままの姿勢を続けていると、お尻はたるみ、下腹にお肉が付いてしまい、体型が崩れてしまう1番の要因を作ってしまいます。
また反り腰のまま赤ちゃんのお世話をしてると、腰痛を患ってしまうことがあります。

また妊娠前は履けてたパンツが、太ももの付け根から上がらなくて履けなくなってませんか?

これも反り腰(骨盤の前傾)が原因で起こる不良姿勢です。
おまけにお尻は垂れてしまい、“四角いお尻”に見えてしまいます。
ますます反り腰を改善したくなりますね。

では、硬くなっている筋肉のストレッチ方法をご紹介しましょう。

ご自身でできる簡単なストレッチですので、お風呂後で身体が温まってるときや、おやすみ前のお時間があるときに毎日行えるといいですね。


②反り腰を改善するためのトレーニング

次に反り腰になりにくくするための筋肉を見ていきましょう。

反り腰(骨盤が前傾)のままになってしまうということは、骨盤を後傾させる【腹直筋】【大(中)殿筋】【ハムストリングス】が上手く使えないことも要因の1つになります。
骨盤を前傾させないため、拮抗する筋肉の力が弱いのです。
以上のことから、上記の筋肉を鍛えることで、骨盤を正常な位置に戻すことが可能になります。

それではそのトレーニング方法を紹介します。

この2つは家で行える自重トレーニングです。
ブルガリアンスクワットはイスに足を乗せて行ってください。

上がる(筋肉が収縮)ときは1〜2カウントくらい、下ろす(筋肉が伸張)ときに3〜4カウント数えるくらい、ゆっくりと筋肉に負荷をかけて行うようにしてください。

③インナーユニットの強化

【インナーユニット】という言葉を聞いたことがない方が多いのではないでしょうか?
ヨガをやられている方は、一度は耳にしたことがあるかと思います。

インナーユニットとは、腹腔を構成する筋肉「横隔膜」「腹横筋」「多裂筋」「骨盤底筋群」の総称のことです。
腹圧を高めて、骨盤や腰椎を安定させる効果があると言われています。
“コア”と表現されることもあります。

妊娠期には“天然のコルセット”の役割をする【腹横筋】が伸びてしまい、出産時には【骨盤底筋群】が伸びるので、産後はこの2つの筋肉が伸びていることが原因で、【インナーユニット】を上手く使えてないことが多いのです。

みなさんは重い物を持ち上げるときなど、自然に空気をいっぱい吸い込んで、息を止めて持ち上げませんか?
それは腹圧を高めることによって体幹を安定させ、力が入りやすくするために無意識でやっていることです。
ですが出産を体験された女性は、産後に足腰の力が入らないって方多くありませんか? 
それがまさしく【インナーユニット】が弱くなっていることで、踏ん張る“コア”の力が出せなくなっているのです。

また【インナーユニット】が上手く使えないままだと、身体の中心の骨盤が安定しなくて不良姿勢に繋がるのです。

【インナーユニット】を鍛える方法には、呼吸が大きく関わります。

1番効果的なのは【ブレーシング】というトレーニングです!

お腹を空気でパンパンに膨らませた状態をキープしながら呼吸するだけの、簡単なトレーニングです。
詳しいトレーニング方法は過去の記事を参考にしてください。

お腹を凹ませて息を吐き切る【ドローイング】というメジャーなトレーニングがありますが、一定方向からの負荷しかかからず、インナーユニット全体のトレーニングとしては不完全に思われます。
ドローイングと比べると少し難しいですが、是非【ブレーシング】にチャレンジしてみてくださいね!


まとめ

産後のトレーニングとしてご紹介しましたが、メタボ体型の方や反り腰で腰痛気味な方にも効果的なストレッチ&トレーニングです。

反り腰は立ち姿勢から股関節を屈曲させるので、太ももを高く上げづらく、歩くときの歩幅も狭くなり、つまずきやすくなります。
また胸を張ると腰に負担がかかって怠さを感じるので、猫背になりやすくもなります。
内臓を圧迫するので、消化機能も悪くなります。

たった1つの反り腰だけで、これだけのことが起こり得るのです。

今からでも遅くはないので、ストレッチ&トレーニングを習慣化し、姿勢改善にチャレンジしてみましょう!

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
気に入っていただけましたら、フォローもよろしくお願い致します!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?