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三宅陽一郎 短編小説集

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ある秋の人工生命 

誕生
 クルス・ホームレイクタウンは靄でおおわれていた。ある晩秋の日、街の真ん中にあるクルス湖に人工生命の原液《スープ》が投げ入れられた。月の光が惜しげもなく、阻むものもなくそこに注がれ、その光を吸収した原液《スープ》から人工生命体Aが誕生した。二つの赤い瞳を開くとすぐさま人工生命体Aは周囲の情報を集めて始めたが、未だ自らが生まれた存在理由を問うことも知ることもなかった。ただ、その鋭い眼光は赤く輝

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