「JA宮崎組合員一人あたりの生産額」を各国の「一人当たりのGDP」と比較してみたら、むしろ発展途上国だった件。
先日、
県域JA誕生。農業の生産性の低さについては、聖域にせず議論すべきなんじゃないかな、と思う件。|宮崎県政ウォッチ (note.com)
という記事を書いたのですが、もう少し定量的に比較してみようということで、JA宮崎の総販売額を組合員数で割った値、
「JA宮崎の組合員一人あたりの生産額」
と他の国の
「国民一人あたりの国民総生産」
を比較してみることにしました。参考にしたのは、以下のサイトなどのデータです。
学術論文であればこういう雑で乱暴なデータ比較は査読にも通らないかもしれませんが、個人の県政ウォッチの勝手Noteの思考実験ということでご了承をw
さて、先日の県域JA誕生のニュースでは JA宮崎の販売額は2022年度の時点で
1369億円です。
組合員数は14万9000人を超えているということですので、とりあえずこの数字で計算して、
91万8791 円となります。切りの良いところでおまけして 92万円ということにしておきましょう。(この数字でも日本の一人あたりの「所得」でさえなく、「販売額」というのは低すぎますね。)
2024年4月中旬時点で34年ぶりの円安が進み、1$ 154円を超えてしまいましが、こちらも少しおまけして 150円で計算すると
JA宮崎のドル換算での一人あたりの生産額は
6133ドル
となります。
アメリカでは1000ドルが日本の10万円位の感覚ですし、アメリカもインフレが進行していますから、1ヶ月500ドルと言われたらちょっと信じられない、というレベルですね。
一人あたりのGDPが6000ドル程度だと、世界で統計が取れる190程度の国の中でも100位に入らないんですよね。
このサイトのデータで行くと エクアドル、赤道ギニア、フィジー、マーシャル諸島、南アフリカ、リビア、コソボ、スリナム よりも少なくて、ツバル、イラク、パラグアイ、トンガ、エルサルバドル、グアテマラ、ウクライナ、インドネシアよりちょっと多いぐらいです。
このあたりの国の経済成長率は軒並み5%超えてますから、来年にはまた増えるでしょう。
また、日本の場合農業への補助率が世界の中でも突出して高く50%にもなりますから、農業単体の一人あたりの純粋な産出額はだいぶ下駄を履かせてもらっているような感じといって差し支えないでしょうから、もっと実質的な生産性は低いです。
「技能実習生」という名目で多く労働力を受け入れているベトナムが、一人当たりGDPが今はまだ 4,636ドル程度ですが、経済成長率が7%を超えてますし日本の農業の補助率を考えれば、別に日本の農業の生産性が彼らと比べて特別優位性があるわけでもないわけですよ。
農業への補助率50%と言われる我が国と、OECDでは大体20%程度の補助率であることを考えば、むしろ一人あたりの生産性はベトナムレベルしかないといってもよいでしょう。
更に円安が進めば、ほとんど言語の汎用性もなく、金銭的にも稼げるわけでも、効率的な農業をやっているわけでもない日本の田舎の宮崎に来て農業やる理由さえない、という感じになるでしょう。それも10年以内じゃないでしょうか?
農業の生産性という話をすると
「農業は国の基本だ」
「食料自給率のために保護が必要だ」
「農業をばかにするのは職業差別だ」
というよな脊髄反射な情緒的な反応が返ってくることが多いわけですが、それにしても生産性の低さを許容するには限度がある、というものではないか、と思います。
農業の生産性の低さについては、聖域にせず議論すべき と思います。
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