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晴れの日も、雨の日も、ともにオールを握ろう 【結婚5年目を迎えて】

4年前、こんなnoteを書いた。

当時の自分なりに、婚姻制度の当事者となって湧き上がってきた社会への想いを綴ったこのnoteが、ありがたいことにお題企画「#あなたに出会えてよかった」のピックアップ作品に選定していただいた。

そして先日、私たちは結婚5年目の節目を迎えることができた。丸4年以上が経った今、改めて「結婚」について考えてみようじゃないかと思いたって筆をとっている。

「選択肢の海」で溺れかけそうで

4年前、「結婚」はあくまで「選択」だと綴ったあの頃から、その考え自体は変わっていない。

とあるCMの「結婚しても、しなくても幸せになれる時代」というキャッチフレーズが話題になったように、「婚姻届を提出することこそが安泰、幸せ」という時代は終わりを迎えつつある。

「推し活」で人生の活力を得る人、籍を入れずにパートナーと暮らすことを選ぶ人、パートナー以外とのルームシェアの暮らしを楽しむ人。

どんな道を選んでもいいし、選ばなくてもいい。
つまり現代は、以前にも増して多様な選択肢で溢れている。

そして周囲の人がとった選択は、SNSやネットニュースなどのさまざまな媒体を通して、私たちに「多様な社会」をまざまざと見せつけてくる。選択肢があるからこそ、迷うんだと思う。さながら選択肢という広い海の中で、自分の目指す島を探しながら必死に泳いでいる状態だ。

雨の松島

たとえ現状が楽しくて、特別大きな不満がなかったとしても、これだけたくさんの情報や選択肢に晒されていると「このままでいいのだろうか」という漠然とした不安に襲われることがある。画面越しに見る人々が、温かくて、愛に満ちていて、自分よりもはるかに心地よい世界で生きているように錯覚してしまう。

「選択肢の海」を1人ぼっちで泳ぐのは過酷で、時に溺れてしまいそうになる。だからこそ人は、一緒に船を作り、漕いでくれる人とのつながりを切に求めるのだろう。

「パートナーシップ」ドリブンで考える配偶者との関係

パートナーシップ(Partnership)には、「Ship(船)」という単語が入っている。これは、1つの船に乗り込んで、同じ方向に進んでいく関係性のことを意味している。

パートナーシップにおいて何よりも大事なのは、そこに乗り込む船員全員が、船が進む方向性、進んだ先で得られるであろう未来や結果に納得していること。これは配偶者に限らず、親子・友人・部活の仲間・会社の同僚など、さまざまなコミュニティの根幹にある関係性だ。

配偶者とのパートナーシップという観点でさらに深ぼると、両者の間で納得感さえ得られていれば、さまざまな在り方があることそれ自体は全く問題ではない。むしろ、いろいろな形・色の船が浮かび、通信し合う港の風景は、さぞ美しいことだろう。

タイのピピ島の港

その一方で、残念ながら選択的夫婦別姓はまだ導入されていない。反対理由は色々とあるらしいが、その中の1つに「家族の絆が希薄になる」という意見があるようだ。
ここで疑問なのが、果たして同じ姓を名乗っている現代日本の家族のうち、一体何人が「みんなで同じ苗字を名乗っているからこそ団結力が高まり、理想的な家族の絆を築けている」と胸を張って言えるのだろうか?ということだ。

正直、そんなことはどうだっていいのだ。

船の話で例えるならば「〇〇丸」という立派な船の名前の旗を掲げて出港したとしても、途中で誰かが舵取りを放棄すればその船は進みたい方向には進めないし、天候のサインを無視して報告を怠ればあっという間に沈没してしまう。苗字が一緒だと絆が〜という話はナンセンスで、「乗組員がその船に乗る理由があるか」という部分が大切なんだと思う。

函館の港

これから先、どれだけ時間がかかるかはわからないけれど、選択的夫婦別姓の導入に向けて、引き続き微力ながら声を挙げていきたいと思っている。

乗組員同士、楽しくやっていこうよ

結婚生活5年目を迎え、今の夫と私の関係性は、シーツのように穏やかな瀬戸内海に浮かんだ小舟に乗る、釣り人たちのようだと思う。

立派な旗はいらないし、ましてや豪華客船である必要もない。
なんでもない日常の中で、2人がそれぞれの釣竿を持って、その日食べる魚を釣る。夜は陸に戻り、焚き火を囲みながら、たわいもない会話を交わし合い、眠りにつく。

朝の瀬戸内海

でもこれからは、より厳しい海に漕ぎ出していくことになるかもしれない。もし乗組員が増えたら小舟じゃ役不足だし、食糧調達だって間に合わないかもしれない。悪天候で船が転覆して、必死に泳いで岸を目指すこともあるかもしれない。

どんな状況になろうと、私たちは私たちなりの、風変わりで、楽しくて、くだらなくて、美しい生活を守るために旅をする乗組員同士であることは変わらない事実だ。

いつもありがとう、これからもよろしく!という強い気持ちを込めて、このnoteを締めさせていただこうと思う。

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