もう1歳半だよ
「産まれてくる子供に罪はない」
我々は子孫を残すことができる。
”ヒト”と云う生き物が有性生殖生物である限り、そして男女の間に”愛情”がある限り、我々や我々の子孫も、先祖がそうであったように、狂ったように子孫を残して命を繋いでいくのだろう。親や親族に祝福されて我々の多くはこの世に生を受けた。
望まない妊娠の末に生まれてきた子供。社会から隔絶された親の下に生まれた子供。
一方で、命を繋ぐ営みの中で勿論このような境遇に置かれた子供も産まれてくる。
妊娠から誕生までの流れは生命の奇跡であり、人生の中でも最も感動的なイベントの一つだが、同時に子供の意志は完全に無視されたものでもある。
”親ガチャ”と云う言葉がここ数年で頻繁に使われるようになったが、昨今の日本を取り巻く社会情勢を加味すると、言い得て妙である。
少子化及び人口減少が社会問題化する現在、育児のし易い社会を構築することが求められる中で、この国に根深く残る学歴や地域に関する格差問題が障壁の一つとなっていることや虐待やネグレクト問題を上手く反映した言葉だ。
死に際に大海賊時代を拓いた海賊王の子供も、WW2時代のファシズムを軸とした党首の曾孫も、何も好き好んでその家系に生まれてきたものではない。後者が某ローマの弱小クラブに所属していることは最高にナンセンスではあるが。いやむしろ至極妥当か。
彼らは自力で自分の人生を切り拓く。
遠くイタリアの地で生を受けたあの子はどうだろう。
「産まれてくる子供に罪はない」
Tommaso Scaperrotta。
父親の稚拙な行動。母親の強い決意。彼の妊娠を取り巻いた様々な事象を振り返ると、この世に生を受けようとしていた彼にとっては騒音以外の何物でもなかっただろう。
2021年7月23日。その騒音を黙らせる産声と共に生まれてきた天使。
そんな彼ももう1歳半になりました。
ばちくそかわいい。
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