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アルバムレビュー

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レビューの少ないアルバム、好きなアルバムを自己満足でレビューしてます
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記事一覧

John Coltrane And Johnny Hartman - S,T(1963)

John Coltrane And Johnny Hartman - S,T(1963)

本作はバラードやデュークエリントンとの共演盤に次ぐ3枚目の企画盤で歌手のジョニーハートマンの伴奏を当時の黄金カルテットが務めるというなんとも豪華な一枚です。ジョニーハートマンはクルーナースタイルの歌手で力強くも甘いバリトンボイスは聴いていて自分もこんないい声で歌ってみたいと思わずにはいられません。一方のコルトレーンはモード手法を取り入れ過激な演奏をしていたのと同一人物とは思えないソフトでストレート

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Deodato / Airto - In Concert  (1974)

Deodato / Airto - In Concert (1974)

本作はややこしいことにデオダートとアイアートの共演ではなく2人の演奏を2in1にしたアルバムです。だいたいこういうのは同じミュージシャンの演奏を片面に固めて収録するスプリット盤にすることが多いですがなぜか2人の演奏がA面とB面の両方に入っています。さらにややこしいのが同じジャケットでアイアートの演奏をオミットしてLPで削られたデオダートの演奏を追加収録したCDもあります。買う時はよく確認してくださ

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Eric Gale - Part Of You (1979)

Eric Gale - Part Of You (1979)

エリックゲイルのCBSでの3枚目のアルバムです。いままで二枚はボブジェイムズのプロデュースでしたが本作ではラルフマクドナルドが担当。オーソドックスなこの頃のNY制作のフュージョンらしいサウンドですがベースがいない曲やエリック本人がオーバーダブした曲などベースギター的には面白い曲が多いです。僕の中ではリトルウォルターやフィルアップチャーチと3大顔の圧が強いジャケットの一つとしています。

エリックゲ

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Wynton Kelly - It’s All Right! (1965)

Wynton Kelly - It’s All Right! (1965)

ウィントンケリーというとハードバップを代表するピアニストでリーダーとしてはもちろんサイドマンとしても多くの作品に参加しました。彼の特徴はよくスウィングしブルースやソウルのフィーリングに溢れた音色、優れたアドリブがありまた、主役をたてるバッキングができるためサイドマンとしても重宝されたのでしょう。このアルバムではそんなケリーの明るい面を強調した演奏で、メンバーにマイルスデイヴィスのリズムセクションに

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笠井紀美子 With Gil Evans - Satin Doll(1972)

笠井紀美子 With Gil Evans - Satin Doll(1972)

1972年ギルエヴァンスは菊地雅章さんと共演するため来日します。その際それと同時に当時日本に住んでいたヘレンメリルとの共演が計画されかなり話が進んでいたもののヘレンは日本を出ることになったため代役として笠井紀美子さんとの共演に変更されます。この時のツアー中にスタジオに入り録音するというハードスケジュールだったうえに録音に参加したのはオーケストラからピックアップした9名だけという少しあのサウンドを実

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Kenny Burrell -  Midnight Blue(1963)

Kenny Burrell - Midnight Blue(1963)

タイトルに相応しいレイジーでアフターアワーズの緩いジャムセッションのような本作をブルーノート社長のアルフレッドライオンは自分の墓に入れて欲しいとまで言うほど本作を愛していました。その理由を彼は全ての音符がスウィングしているからと答えています。このアルバムを語るのにそれ以上何を言えば良いのでしょうか。

メンバー
ケニーバレル:ギター
スタンリータレンタイン:サックス(1,2,5,7)
メイジャーホ

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Art Taylor - A.T’s Delight (1960)

Art Taylor - A.T’s Delight (1960)

どの世界にも「じゃない方」はいます。それは2人1組で活動していて目立っていない人。よく似た名前で知名度が低い方。ジャズ界で一番じゃない方といえばアートテイラーでしょう。もちろん「じゃない方じゃない方」はアートブレイキー。多くのセッションに参加してジャズメッセンジャーズを率いてソロアルバムを何枚も出してそこから巣立った優秀なミュージシャンは数知れず。一方のテイラーは参加したアルバム数は多いもののブレ

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Stanley Turrentine - Cherry (1972)

Stanley Turrentine - Cherry (1972)

 本作はスタンリータレンタインとミルトジャクソンというブルースが得意な2人のコラボ作ということもあってかホーンやストリングスアレンジを排しCTIにしては作り込みを甘くしてブルースフィーリングの濃いアドリブを引き出すことに成功しています。個人的にはスタンリー、ミルトの両名がCTIに残したアルバムの中で一番気に入っています。
 余談ですがもしここにウェスがいたらどうなっていたのか。生前もっとアドリブを

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Khruangbin - A La Sala(2024)

Khruangbin - A La Sala(2024)

久々の新作紹介です。クルアンビンは詳しくは知らないもののギターのマークスピアーがギターマガジンに連載している「ここではない世界へ」というアルバム紹介シリーズががとても面白く欠かさず読んでいたのでいつかは聴こうと思いつつもレコードばかり聴いていて配信をあまり聴けていなかったのですが新作発表を機に聴いてみました。ついでに過去作も併せて調べながらいろいろ聴いてみましたが最近の音楽の苦手な部分が一切なくや

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Medeski Martin & Wood - Conbustication(1998)

Medeski Martin & Wood - Conbustication(1998)

ソウライブやジョンスコフィールドと並んで90年代から2000年代のジャムバンドブームでファンキーなオルガンジャズをやっていたのが今日紹介するメデスキ、マーティン&ウッドです。3人ともジャズを聴きつつもロックやポップス、中南米〜アフリカの音楽にも関心を示しクラシックの教育を受けていた他、自分たちがやっているのはジャズだと思っていないと発言するなど特定のジャンルに囚われない音色や全曲に漂う前衛感が特徴

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Jimmy Smith - Back At The Checken Shack (1963)

Jimmy Smith - Back At The Checken Shack (1963)

本作は1960年に録音されたアルバムで61年リリースのミッドナイトスペシャルと同じです。ミッドナイトはすぐにリリースされたものの本作は2年後にリリースされています。しかもその間にもっと後のセッションの録音を収録したアルバムが何枚かリリースされています。ブルーノートの録音とリリースは調べれば調べるほど謎が深まります。どこかで聞いた話ですがブルーノートがシリーズ化できるほど膨大な未発表音源集や正確な型

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Cannonball Adderly And Milt Jackson - Things Are Getting Better (1958)

Cannonball Adderly And Milt Jackson - Things Are Getting Better (1958)

キャノンボールもナットもファンキーが売りですがナットが言うには両親共に大学出身の教師でゲットーとは無縁。教会も躍動感あるゴスペルではなくもっと静かな聖歌を歌う宗派だったためジュークボックスや町の教会から漏れるゴスペルを聴きファンキーを身につけたとか。一方のミルトは幼い頃から聖歌隊に加わりファンキーと共に成長したと言います。そんな正反対の2人にこれまたファンキーなウィントンケリーが加わりソウルブラザ

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Sam Cooke - Live At Harlem Square Club(1963)

Sam Cooke - Live At Harlem Square Club(1963)

 正直サムクックあんま好きじゃありませんでした。ソウルの発祥っていうからベスト盤を聴いてみたけどサザンソウルほどダイナミックでもなければモータウンほどリズムが跳ねてる訳ではなく甘いストリングスと静かなビートで確かに歌は上手いけど…って感じでした。代表曲とされるChange Is Gonna Comeがそんなサウンドだったのが勘違いを加速させました。こんなことを書くと怒られそうですが Change~

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Chick Corea - Friends (1978)

Chick Corea - Friends (1978)

 これは完全な感想ですがチックコリアは全力を出した演奏よりも多少力を抜いた演奏の方が面白いです。またアコピはどの程度本気かで左右され、エレピの使い方は上手いがシンセはそこまでとも思います。その意味では本作フレンズはアコピとエレピを使い分けRTF時代のバンドメンバージョーファレルに80年代最高のアコースティックリズムセクションと言われたスティーブガッドとエディゴメスと気心知れた仲間とほどよく力の抜け

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