現代語訳「閑吟集」(34)

【 原文 】
かれがれの契りの末はあだ夢の 契りの末はあだ夢の おもかげばかり添ひ寝して あたりさびしき床《とこ》の上 涙の波は音もせず 袖に流るる川水の 逢瀬《あふせ》はいづくなるらん 逢瀬はいづくなるらん (34)

【 現代語訳 】
離ればなれになってしまった二人の行く末は、はかない夢での逢瀬《おうせ》しか残されていない。わたしに添い寝してくれるのはあなたの面影だけだ。寂しい寝床の上で涙の波が音もなく打ち寄せ、川の水のように袖を流れる。どこであなたと再会できるのだろうか。


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