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映画紹介『百円の恋』 どうしてもうまくいかない日々の中で人生のリターンマッチのゴングが鳴り響く

《乱れ撃ちシネnote vol.189》

 『百円の恋』 武正晴監督 2014年 日本

鑑賞日:2022年3月21日 Amazon Prime Video

【Introduction】
妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝
の共演にひかれて観たのがこの作品。
24.03.13(11) -☆☆- 「ある男」石川慶監督 2022年 日本 Netflix
全然面白さが伝わらず重苦しさだけが勝っていた。
明るい映画じゃないんだし、それはそれで、ということなのかも。
苦手なタイプの作品だったけれど安藤サクラはいい。
平凡などこにでもいそうな女性になりきれるすごい役者だ。

初めて安藤サクラの映画を観たのは2015年の夏、大磯時代のこと。
週に一度は40分ほど川べりを散歩しながら平塚ツタヤにビデオ探しに通っていた頃。

棚に並べられている一枚のジャケットの絵柄が強烈で生理的にムリだった、
ということはとても気になったということ。
こんなジャケットを目にして借りる人がいるのかな?物好きな。
何度も何度も何日も何日もジャケットを横目で見ながら通り過ぎていた。

DVDジャケット

どうしても気になるので、
え~いままよダメもとでと借りて衝撃を受けたのが『百円の恋』。
安藤サクラがすごい。
22.03.21 (49) ☆☆☆☆『百円の恋』武正晴監督 2014年日本  Amazon☆☆☆☆

『モンスター』(2003)や『タリーと私の秘密の時間』(2018)で役作りのために肉体改造したシャーリーズ・セロンの役者魂には驚いた。

体重を13Kg増やし眉毛を全部抜いて元娼婦で醜いレズビアンのアバズレ殺人犯を演じた『モンスター』

『モンスター』のシャーリーズ・セロン

妊婦を演じるために撮影直前までジャンクフードを食べまくって体重を23kg増やして役作りをした『タリーと私の秘密の時間』

『タリーと私の秘密の時間』のシャーリーズ・セロン
シャーリーズ・セロン

が、
『百円の恋』の安藤サクラにも驚く。

冒頭のシーンで甥とテレビゲームをやりながらボリボリ掻いているだらしないお尻と後半のボクシングの試合のためにトレーニングを開始してからのお尻とを見比べてもらいたい。

【物語の概要】
32歳の一子(安藤サクラ)は実家にひきこもり、自堕落な日々を送っていた。
ある日離婚し、子連れで実家に帰ってきた妹の二三子(早織)と同居をはじめるが折り合いが悪くなり、しょうがなく家を出て一人暮らしを始める。
夜な夜な買い食いしていた百円ショップで深夜労働にありつくが、そこは底辺の人間たちの巣窟だった。
心に問題を抱えた店員たちとの生活を送る一子は、帰り道にあるボクシングジムで、一人でストイックに練習するボクサー・狩野(新井浩文)を覗き見することが唯一の楽しみとなっていた。

ある夜、そのボクサー・狩野が百円ショップに客としてやってくる。
狩野がバナナを忘れていったことをきっかけに2人の距離は縮めていく。
なんとなく一緒に住み始め、体を重ねるうちに、一子の中で何かが変わり始める―――。
~公式サイトより~

【Trivia & Topics】
✥肉体改造。
たった2週間の撮影期間にこれだけ体型を作り変えた安藤サクラはすごい。
だいたい冒頭のでぶでぶのお尻をボリボリ掻きながら甥っ子とテレビゲームするそんなみっともない後ろ姿を女優が撮らせるか?
このシーンだけではなく全編を通じて無気力でダラシない32歳のダメ女が試合に負けたくない一心で生まれ変わろうとする姿を事細かに演じ、変身していく安藤サクラが見事。
彼女の変貌ぶりを観るだけでも充分に価値のある作品です。

✥受賞歴。
・第27回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門作品賞受賞

・第88回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞 - 安藤サクラ  (『0.5ミリ』と合わせて受賞)

・第57回ブルーリボン賞 主演女優賞 - 安藤サクラ(『0.5ミリ』と合わせて受賞)

・第17回菊島隆三賞(2015年)脚本賞 - 足立紳

・第29回高崎映画祭 主演女優賞 - 安藤サクラ(『0.5ミリ』と合わせての受賞)

・第34回藤本賞(2015年)奨励賞 - 佐藤現[13]

・第9回JAPAN CUTS(2015年)
 第4回CUT ABOVE賞 for Outstanding Performance in Film - 安藤サクラ

・第19回プチョン国際ファンタスティック映画祭(2015年) NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)

・第24回日本映画プロフェッショナル大賞 ベストテン第1位、 作品賞 監督賞(武正晴)

第39回日本アカデミー賞
・最優秀主演女優賞(安藤サクラ)
・最優秀脚本賞(足立紳)
・優秀作品賞
・優秀監督賞(武正晴)
・優秀助演男優賞(新井浩文)

・2016年 エランドール賞 プロデューサー賞・奨励賞(佐藤現) 

・第37回ヨコハマ映画祭(2016年)脚本賞(足立紳、『お盆の弟』と合わせて受賞)、日本映画ベストテン・第3位

【5 star rating】
☆☆☆☆

(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。

【reputation】
Filmarks:☆☆☆★(3.8)

u-next :☆☆☆☆




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