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【OLの非日常】出番のなかった非常食を社員みんなで分けた話

9月1日は「防災の日」。この日わが社では毎年、すべての備蓄品の在庫と賞味期限を確認するのが慣例だ。

期限が近い非常食は従業員へ提供する決まりになっている。
これが結構喜んでもらえる。

今回対象になったのがアルファ米6種セット

開封してオフィスにあるお湯(なければ水)を注ぎ再度チャックをして数十分で完成。非常時でもちゃんとしたごはんにありつけるという優れもの。
この商品は「不安や緊張の中普段の食事に近いもので少しでもリラックスできるように」「非常食とはいえおいしいものを」がコンセプトで、味は6種類もあるので好き嫌いがあっても安心なのだ。

数年前、色んなメーカーから取り寄せた非常食サンプルを並べ、総務内で試食会を開いたのである。「どんなものが従業員に喜んでもらえるか?」あーだこーだ言いながら選んだ。そして近々、幸いにも日の目を見ず賞味期限を迎える非常食たち。

「期限の近い非常食を配布します。今後の参考にしたいので感想もお待ちしています」と全社メールを流すと、ほどなくして普段寄りつかない総務の執務エリアに続々と従業員がやってきた。わいわい言いながら欲しいものを取っていき、あっという間に非常食はほぼなくなる。
朝ごはん食べそびれた、昼ごはん買いそびれた、残業してお腹減った……など個人的非常時に食べるのだろう。

余ったものは総務で分けた。全部白飯だった。

あーあ、わたしわかめごはん食べたかったなあ。でも、まあ想定内かな。白米おかずに白米イケます!な無類のコメ好きでなければ、そりゃおかず欲しいもんね。人気がないのは頷ける。

災害時、我々総務は対策本部(経営陣)の元であくせく働かねばならぬ。従業員の安否確認、応急処置、情報収集やら心のケア……やることは山積みだ。

総務にだって家族がいる。家がある。帰宅したい、電話をかけたい。でも社員のために働く。それが総務の宿命だ。だからといって不満はない。覚悟はできているつもりだし、なんなら誇りを持っていると言ってもいいだろう。

しかし今日、わたしは初めて不安になったのである。

災害時、総務は他の社員より一仕事も二仕事も多くしなければならない。それは構わない。しかし働く総務に与えられるのは余り物の非常食なのか?そして考えたくはないが余らなかったらなしなのだろうか?

ああ神様、ついでに我々は感謝もされないのでしょうか?だって現に我が社の従業員一同、非常食持ってくだけ持ってって、誰ひとりとして感想など寄越さないではないか。

決めた。来年はみんなに配る前にこっそりわかめごはん取っちゃお。



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