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『無意識を味わうこと』

庭先にたわわに実る、みかんやだいだいなどを見ると、なんだかお正月のようなおめでたい気持ちになる。

鏡餅の上に鎮座するだいだいを思い浮かべるからだろうか?あるいは、オレンジ色と青空のコントラストの鮮やかさの為なのか?
吸い込む空気も、元旦のあの一晩で入れ替わる新鮮で神聖な空気をどことなく含んでいるように感じる。

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知らぬ家の庭先になっているので勝手に、もいで持って行く訳にも行かぬ。そんなことを思っていたら、妻が取引先の方から庭先でなったみかんを頂いて来た。
色も悪く、いかにも粗雑に庭先になっていそうで、言い知れぬ寂びた風情があって良い。

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しばらく眺めなてから、一つ食べてみると、子供の頃に口にしていたみかんの味わいそのもので、思わず「これは!」と声を上げた。

掘り炬燵や、畑の道やら、冬の厳しい寒さなど、山村で過ごした幼い日々が蘇ってきた。

すっかり忘れていた味を、舌はしっかりと覚えていてくれたのだ。
無意識下の記憶とは、なんとも、有り難いものである。

しみじみと無意識の領域を味わった。


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