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雨音は濁音の世界(詩)

雨はアメンボウが降らすんだって
昔おばあちゃんが言ってたけれど
アメンボウのいない都会の真ん中で
激しい雨が降っている

トタン屋根に落ちる音
行き交う傘を叩く音
地面にじかにぶつかる音
音、音、音、
雨音は濁音の世界

濁音は胸を締めつける音
濁点が心に突き刺さる
だから僕は部屋の中で耳を塞いで
雨が止むのを待ち続ける
あるいはシャワーの音でごまかしてみる

君からの電話の音は聞こえないけれど
君からの電話はもうかかってこない
君の「さよなら」の言葉には濁点はなかったけれど
君の尖った物言いが僕を傷つけた

だけど僕は君をあきらめきれずに
こうして雨の音から逃げている
濁音の世界から逃げている

止まない雨はないはずだけど
雨はさらに激しさを増し
僕の鼓膜に突き刺さる
音、音、音、
雨音は濁音の世界

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