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Sinking Time バックナンバー

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"沈思黙考" をテーマとする会員制メールマガジンのサンプル記事. 水述は編集長として編集・校閲を担当
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記事一覧

2023のたほい屋 (水#11)

Written by 水述 諦 ごいりょくつよつよマンになりたーい♡            ◇          ◇ ほとんど毎週、知らない単語に出会っている。30歳近くになってもこんなに何も知らないなんて本当に世界は広すぎるし楽しすぎるな、としばしば思う。物知りになりたいが、知るべきものの夥しさはあまりに底知れず、知れば知るほど自分が完璧な物知りからは遠い存在であることを知る。いわゆる無知の知だ。知識人とは無知の知をどれだけ知っているかということであり、だからソクラテ

なんだかんだ噛んだナンってなーんだ? (淡#4)

written by 淡井蛍 みなさん、ごきげんよう。蠱惑的小悪魔的文学美少女こと淡井蛍です。 最近の私の近況ですが、おかげさまでもずく生活からは脱することができまして、人並みに外食などをするようになりました。特に、インドカレー屋さんによく通っています。初めてインドカレー屋さんに行こうと思ったのは単純に一番家から近い食べ物屋さんだったからですが、奥が深いカレー沼 (熱そう) に一度でも片足を突っ込んでしまったが最後、もう容易に抜け出すことは叶いませんでした。今では毎週日曜

こん * は (淡#1)

written by 淡井蛍 初めまして、こん * は。蠱惑的小悪魔的文学美少女こと淡井蛍です。 誰かに挨拶をするとき、対面ならば時間帯が明確なので「おはよう」「こんにちは」あるいは「こんばんは」を区別することができますが、映像や文章のように挨拶がいつ受け取られるか明確でないような媒体においては、どう挨拶するのが正解なのか私にはわかりません。『Dr. スランプ アラレちゃん』には「おはこんばんちは!」なんてオールマイティな言葉が出てきますが、それを使ってしまうとじゃんけん

パイの中にはパイ以外の全てが詰まっている (三#25)

Written by 333 ▶ 世界はパイである記念すべき最初の逆説は「世界はパイである」というトンデモな主張です。ここでのパイとは甘く焼き上げた練り込み生地……ではなくて、円周率を表すπを意味します。つまり「世界は円周率である」――といってもまだ意味がわかりませんね。この言葉をもう少し具体的に言えば「世界のあらゆる物体や現象は円周率によって記述される」ということです。意味がわかりませんね。順を追って説明していきましょう。 なお、タイトルから既知だと思われる項目について

収拾付かない蒐集癖 (芥#6)

written by 芥田ほこり ▶ 本棚を眺める僕は本をよく読む。本当によく本を読む人からすればたぶん全然読まない方なのだが、それでも全く本を読む習慣が無い人が多い現代においては「本をよく読む」と申告しても問題無い程度には本を読んでいる。 図書館を利用するのはあまり好かず、電子書籍も趣味に合わないのでよく本屋に足を運んで面白そうな本を物色することが多い。手に取るのは基本的に文庫本ばかりで、たとえ中身が同じでも単行本に手を出すことはめったにない。 そしてその理由は、価格が高

孤独は毒か (芥#4)

written by 芥田ほこり ▶ 孤独とは何か孤独という状態について考えてみる。 物理的に身体が他の人たちと離れている場合、たとえばエレベータの中に自分だけ閉じ込められた時には、その人はきっと大いに孤独を感じるだろう。しかし一方で、教室でクラスメイトに囲まれているにも関わらず孤独を感じてしまうような少年もいる。つまり、他人と物理的に大きく隔たっていることは孤独であることの必要十分条件ではない。単に身体が隔離されている状態には、孤立という別の名詞が宛がわれる。 それでは

社会不適合者という栄誉 (芥#3)

written by 芥田ほこり ▶ 社会不適合者としての自覚 突然だが僕は社会不適合者だ。 僕に気を遣ってかそれとも僕のことをちゃんと見ていないだけなのか「そんなことは無いよ」と言ってくれる人も一定数はいるけれど、面と向かって「そういうところは社会不適合者だね」と指摘してくれる正直な人も何人かいる。もとより、指摘があろうがなかろうが自分自身が社会にフィットしているという感覚が全くないので、社会不適合者なのはほとんど間違いないと自分でも思う。集団に属すればいつも周りに迷惑を