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工藤吉生(くどうよしお)の短歌【3】25首〈2012年1-3月〉

【第三期】 2012年1-3月。254首。
このころ「うたのわ」での発表を開始。「うたらば」への投稿を開始。短歌の総合誌(短歌研究)を初めて買う。



〈1〉
世界から悲しいことをなくすため消えてもらった最初の一人


〈2〉
1ページめくるたんびに誰か死ぬ本を読み終え畦道を行く


〈3〉
何か言う時の形の口をして自分の番を催促してる


〈4〉
賞味期限過ぎてるものを朝昼晩食べて強気な態度で暮らす


〈5〉
ぷよぷよのように連鎖をして消えろ 展望台を埋めるカップル


〈6〉
鬼の面 年々かわいくなってきて豆がイジメになる日も近い


〈7〉
溶けきらぬ雪に近づきおもむろにカサを突き刺す子供の真顔


〈8〉
絵日記の中の家族が一列に並んで立って笑うのを見た


〈9〉
*「よくぞきた! そなたがつぎのレベルになるためには 9 かいまくらをぬらせ!」


〈10〉
この猫は元は人間だったけどなんかのアレでこうなったっぽい


〈11〉
指されてもわからないから黙ってる「座っていい」しか聞きたくはない


〈12〉
女という文字そのものが足をくみ腕を広げて誘ってないか


〈13〉
ものすごくギャグのセンスのあるガキの親が恥ずかしそうにしている


〈14〉
眠れるか不安はないかと繰り返す親の手紙のような調査だ


〈15〉
スネークよ緊急任務だ 包囲網くぐって団地でクソをするんだ


〈16〉
解答欄ずっとおんなじ文字並び不安だアイアイオエエエエエエ


〈17〉
「ばれなけりゃいいさ」と風呂で小便をすればなぜだかいつもより濃い


〈18〉
なぜならば面倒くさいことを避けラクをしようとしてたからです


〈19〉
殺人をしてしまったら殺人をしてない人に憧れそうだ


〈20〉
戦いに行きはしないが深刻なポーズをしてるガンプラとオレ


〈21〉
黄色い紙郵便受けに入ってて読んで捨てたらまたも黄色い


〈22〉
人生をやってることにはなってるがあまりそういう感じではない


〈23〉
リセットを押しながら切る電源のように最後は目をつむりたい


〈24〉
祈りとは声も指先も届かない者にダメ元で伝える手段


〈25〉
一方で ジャイ子はのび太を あきらめて 漫画を書いた ずっと一人で

短歌は以上です。投げ銭を受け付けています。
100円です。払っても新しくなにか読めるわけではありませんが、工藤がとてもよろこびます。

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