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ママちゃんと俺の5年愛戦争(仮) 2

始まりは突然に

2017年。母親は、アルツハイマー認知症と診断された。
薄々気がついてた事だったが、いざズバリと言われると衝撃が走った。
あのしっかり者で世話焼きで多趣味で明るい母親がアルツハイマー?
信じたくなかった。
でも現実は変えられない。
受け止めていかなくちゃならない。

で、さて何をすれば良い?
全くそういった事の知識が一切ない。全くわからない。
診断してくれた医師に正直に思いを告げた。
「大丈夫。まずケアマネージャーを決めましょう。」
「ケアマネージャー?」
「ご本人と介護の色々をつなぐマネージャーさんですね」
「はあ」
「一応こちらで資料お渡ししますからよく読んで下さい。」
「わからない事は私か、市役所の介護保険課などに聞くと良いですよ!」
何冊かの冊子を渡された。

「ふむふむ、要は沢山ある事業所から本人にあったマネージャーを決めるのね」
しかしこんなに沢山の中から選ぶの大変だぞ?
ゆっくりで構わないと言われたけど‥‥‥。ちょっとパニックになった。
だから片っ端から関係の本とか、実際市役所の介護保険課の窓口に行って相談した。
しかし仕事をしながら探すのはほぼ困難。
兄に相談しても兄もNo知識!しかもその時鬱を発症してしまい仕事を休む羽目になっていた(母親のアルツハイマーもショックだったみたいで)
兄は全く役に立たない事が判明し、父親は他人事で全く要領を得ない。
俺がやるしかないんだ。
しかし仕事を辞めるなんて出来るのか?
今の会社で店長しながらある程度お金をもらって貯めて自分のお店持てるチャンスが目の前にあるんだぞ?
凄く悩んだ。
でも考えてみろ、親孝行なんてした事あるか?ガキの頃色々母親の頭を下げさせた事もあるし、今の所「おばあちゃん」になってもらう事も叶えられそうにない。
今45歳だろ?身体さえ動けば店なんて持つ事は自分の努力と根性でなんとかなるんじゃないか?遅かれ早かれ店は辞めなくちゃならないんだ。自分のお店持つなら。
でも母親の介護は親孝行は今しか出来ないんじゃないのか?
まだ病気はそこまで酷くなっていないし、良い環境で生活していけば今より良くなるのも夢じゃないと医師も言ってた。
仕事だって時間帯を考えて仕事も出来なくない。
その思いをオーナーにもそのままぶつけた。
最初あまり良い顔しなかったけど了承してくれた。
最後俺が腹を決めれば良い事だ。

俺は仕事を辞める選択をした。

これが正解だと言える自信はなかったけど、あまり母親との時間がなかった俺はこれからいつでも側に寄り添って行こうと腹を決めた。
沢山沢山悩んだけどもう決めた。
俺は昔からマザコン息子だからこんな素敵な事出来るのかとある意味胸躍らせた。
しかしそれは生半可な事ではなかった。
俺はこの時完全に世間も社会も病気も何もかも舐めていた。
この後に待っていた「戦争」と言ってもいい生活の悲喜交々。
でも覚悟だけは完了してた。

「俺がこの家をなんとかする」空回りの気合だけ。
その時はそれで充分だった。

続く。

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