見出し画像

noteで旅するフィンランド〈建築編〉

「北欧建築ー」。そう言われてあなたはどういうものを想像するでしょう?

6月の1ヶ月間、旅に行けず悶々としていた私はフィンランドセンター主催のオンライン講義に参加しました。

フィンランドセンターはフィンランド大使館、大使館商務部、そして在日フィンランド商工会議所からなるコミュニティ。

「フィンランドにおける美術」をテーマにフィンランドのデザイン、芸術などに触れた中で今回は建築のパートについて、私のメモとそれぞれで気になった建築物や歴史などを振り返りながら旅をしていきたいと思います。

🇫🇮 🇫🇮 🇫🇮 🇫🇮 🇫🇮

ざっくり歴史。

19C以前
木材がmainだった。知られている中で最古の住居構造はコタ(Kota)と呼ばれている。現存しているものは少なく、その時代の物で残っているのは木材ではなく石を用いた物が多い。これらのを用いた建築は周辺国のスウェーデンやロシアの影響を受けたものが多いそう。ただ、近隣諸国より質素/シンプルなものが当時は好まれたそうです。

ちなみにこの時代にはすでにサウナは「スモークサウナ」ってのがあった♨️


フィンランドで3番目に古く、ユネスコ世界遺産の1つでもあるラウマ旧市街の建築は北欧最大の建築とも言われ、起源は1442年と言われています。

ラウマ旧市街のお家に見える特徴としてはやはりまず「カラフルさ」。
黄色やミントブルー、ストライプやホワイトなどの木造建築が街を色彩豊かに彩っており、そこに四季の移ろい、ボビンレース産業などの要素によって街がより際立っています。

画像1

埼玉の飯能にできたメッツァビレッジにもラウマの家に似たような建物が見受けられ、全体的にかわいらしい~


・Suomenlinna Fortrees(スオメンリンナ要塞)1748
スウェーデン統治時代に立てられた海上要塞のスオメンリンナ要塞。こちらもユネスコ世界遺産に登録されており、軍人でもあったAugustin Ehrensvärd
(アウグスティン・エーレンスヴァルド)が建てたことでも有名。

8つの島にまたがる5つの橋が特徴的で、またこの要塞の建設には約9000人が携わったというのも興味深い話。

〈他のこの時代を代表する建築〉
Vöyri-Maksamaa(ヴォイリ教会 1626)…フィンランドで最も古い木造教会
Jomala church(ジョマラ教会 1283年頃)…フィンランド最古の石造教会

画像2

**
19C以後**
・他国の文化・技術的側面の流れの影響もより入ってくるように!
(e.g.アールヌーヴォー、機能主義などなど)

その後、SAFA(フィンランド建築家教会)の設立やその時期の伝統復古の動き(カレワラ叙事詩や幽玄など)により徐々にフィンランド建築としての地位を確立していきます。

私はフィンランドの街々を見る中で北欧古典主義とモダニズムがそれぞれ対立することなく"ある"ことに美しさを感じ建築に関心を持ち始めました😌

ここからは建築家にフォーカスしつつ、流れを追っていきます。

🌿 🌿 🌿 🌿 🌿

人と建物

・Carl Ludvig Engel(1778-1840)ドイツ
19世紀のフィンランド建築上、最も著名な建築家の1人。ロシア(サンプペテルブルク)エンパイア様式の角ばった、キチッとしたスタイルや屋根が低いといった特徴があります。彼は公的建物の建築に携わりました。

画像3

〈彼が手掛けた主な建築物〉
・ヘルシンキ大聖堂 (1830-1852)サムネイル、上写真
・ヘルシンキ聖三位一体教会 (1825-1826)
・トゥルク正教教会 (1839-1846)
・タンペレ旧教会の鐘楼 (1828-1829)

・Carl Theodor Höijer(1843-1910)フィンランド
ヘルシンキ 中心部に多数の建築を設計したホイヤーはフィンランドで最初の建築家としてキャリアを追求し成功したフィンランド人です。彼は今でいうフリーランスとして、Ateneum美術館やErottuja fire station,Hotel Kämpなどを残していきます。

**
・Gottlieb Eliel Saarinen(1873-1950)フィンランド**
20C初頭のフィンランドにアール・ヌーヴォー様式(「新しい芸術」を意味し 花や植物などの有機的なモチーフなど従来の様式に囚われない装飾性が象徴的)の建築を多く建てた人物。後に米国に移り、アール・デコ(あるヌーヴォーの流れを汲んでおり幾何学図形をモチーフにした記号的表現や、原色による対比表現)の時代の超高層ビルデザインに大きな影響を与えた他、美術やデザインの教育にも力を入れていました。

ヘルシンキ の玄関口ともいえるヘルシンキ中央駅やフィンランド国立博物館などを手掛け、また紙幣や都市開発の面でも活躍した人物でもあります。

〈彼が手掛けた主な建築物〉
・パリ万博フィンランド・パヴィリオン(1890)
・ラハティ市役所(1911)

・Alvar Aalto(1898-1976)
パートナーのAinoと共に1935年Artek設立など20Cを代表する世界的な建築家、デザイナー、都市計画家で知られるアールト。ヘルシンキ 工科大で学んだ後1923年、ユバスキュラに自身の建築事務所を設立。翌年はAinoと結婚しそのあたりで彼らの目は北欧古典主義からモダニズム建築へ向いてきます。

ル・コルビュジエの5原則を取り入れた「トゥルン・サノマット新聞社」やドイツのバウハウスに携わる建築家や写真家との交流の末できた「パイミオのサナトリウム」が代表的です。

アールトだけでいくつか記事がかけてしまいそうなので省略しますが、彼やArtekが残した様々な建築やデザインは今もフィンランドのデザインや建築に生きています。

画像4

・Aino Aalto(1894-1949)
ヘルシンキで生まれたアイノはヘルシンキ・フィンランド女子学校で学んだ後、1913年9月4日、ヘルシンキ工科大学の建築学科に入学する。なおアルヴァ・アールトとは大学在学中に出会います。彼女はモダニズム建築の巨匠、ル・コルビュジエとも親しかったそうです。

〈アイノ夫妻とArtekの主な作品たち〉
・ヴィラ・フローラ 1926(アイノ)
・ボルゲブリック・シリーズ 1932(アイノ)
・ヴィープリの図書館 1935(アルヴァ)
・パリ国際博覧会フィンランド館1937(アルヴァ)
・ヘルシンキ 工科大学/アールト大学 1966(アルヴァ)
・アカデミア書店 1969(アルヴァ)
・アルヴァ・アアルト美術館1973(アルヴァ)
・エッセンのオペラハウス1988(アルヴァ)

・Eero Saarinen(1910-1961)
エーロサーリネンは建築家エリエル・サーリネンの子で主にアメリカで活躍したフィンランド建築家、デザイナー。1937年に父エリエルとの共同事務所を設立。1940年にはチャールズ・イームズとともに、ニューヨーク近代美術館開催の「オーガニック家具デザイン」コンペに応募し、成型合板を使用した椅子・棚・机を出品し6部門中2部門で優勝しました。

・ゲートウェイ・アーチ 1965
・MITチャペルとクレスゲ・オーディトリアム 1955
・JFK空港のターミナル5 1962

画像5

(AXIS magazineより)

・Matti Suuronen(1933-2013) 

画像6

カサフィンランディアシリーズの一風変わった「Futuro」と「Venturo」の
設計で最もよく知られているフィンランドの 建築家およびデザイナーです。彼の手掛けたこの2つは短期的かつ実験的に導入されたもので、その形が近未来を思わせますね。(個人的にDBのフリーザが乗ってた戦艦思い出した…)

ちなみにお隣の国の台湾にもFuturoはあったのですが、バブルがはじけた後は廃墟化しています…笑

最近のフィンランド建築物いろいろ

・Temppeliaukio church(1969)
フィンランドのヘルシンキ市・トーロにある、フィンランド福音ルター派教会に属しているキリスト教会。ティモ・スオマライネン とトゥオモ・スオマライネン の兄弟によって設計されました。別名「岩の教会」。

画像7


・Helsinki port west terminal (2017)
中国の上海とフィンランド、ヘルシンキの2つに拠点を持つ
「PES Archtects」がデザインした西ターミナル2はArchitizer A + Awardという賞を受賞しています。

画像8

個人的にPES Architectsが中国で設計した「Waxi grand theatre」も形状が美しくてすきです。

・Löyly Helsinki(2016)
Avanto Architechsによってヘルシンキに建築された公共サウナ、バー、レストランの施設。ヘルシンキの海岸線に沿って造られており、新しさもありつつ木材をメインに用いるなどしていわゆるフィンランドらしさを保ちデザインされています。サウナ、いきたい。。。


さいごに

とても網羅できないほどフィンランドの建築物や歴史、建築家やデザイナーの歴史や文化などあることがまずわかりました。そして北欧デザインと一口で言っても日本で想像するような「ウッド感」「家具や食器」のみならず、建築家が世界の都市計画に携わったり、新しいカルチャーやテクニカルなものと、伝統的でフィンランドを象徴するものをMIXし新しい価値を生み出すなどに感銘を受けました。

このnoteをみて、少しでもフィンランドにいきたくなっていただけたら幸いですし、フィンランドの建築に関心を持った、デザイナーやモノに関心を持った方は是非調べてみてください☺︎

日本にも、京都で19年にできたMAJA HOTELはフィンランドの建築家ハッリコスキネンが設計した建物ですし、探してみると意外にあるかもフィンランドデザイン。それでは、ごきげんよう。


参考URL

・フィンランド政府観光局

・私たちの北欧がたり(blog,SNS)

・フィンランド木造教会の考察  竹内皓氏

・ウッラ・キンヌネン編『AINO AALTO』TOTO出版

・台湾のFuturo

・フィンランドセンター SNSアカウント(Twitter)

・MAJA HOTEL KYOTO


いただいたサポートはジェンダー、気候変動など社会課題に関する教材費に充てます。