1つの時系列グラフから読み取れる情報を増やすためのチェックリスト
データ分析をしてグラフをつくるまでであれば基礎的な分析スキルを持つマーケターであればだれでもできます。
一方で、グラフから情報を抽出する作業はだれでもできるわけではなく、ある程度の分析経験を積んだ人でなければむずかしい作業です。この情報の抽出が甘いと重要な事実の見落としや間違った次のアクションにつながります。グラフだから見ればだれでも分かるだろうというのは怠慢です。きちんとテキストとして情報を抜き出すべきです。
今回はある簡単な時系列グラフを例として読み取れる情報を実際に抜き出して、どういった切り口でグラフから情報を抜き出していけばよいかについて整理してみたいと思います。
※データサイエンティスト向けの高度なものではなく、通常業務の中で分析業務も行う現場のマーケターや企画の方を対象としています。
時系列グラフから情報を読み取る
上記の月別の売上を示したグラフを例に情報を抜き出してみると以下のような情報を抜き出せます。
期間は6か月間である
売上の単位は円である
1月の売上が最も多い
12月の売上が最も少ない
2番目に売上が多い月は11月である(他の月も多い方から〇番目で数えられる)
売上がマイナスとなった月はなかった
期間中の各月売上は少なくとも100~400万円の間にある
10月から3月にかけて移動平均を取ると増加傾向にある
2か月ごとに売上の増加と減少を繰り返している
10~12月の合計売上よりも1~3月の合計売上が多い
10-12月の半年間の合計売上は1200万円以上である
各月の売上の内訳は分からない
※他にも抜き出せる情報はあります。
パッと見で読み取れる情報だけではなく、少し深く見て読み取れない情報も抜き出しているのが意外と重要なポイントです。読み取れない情報が分かれば追加で分析をすることで不足情報を補完できます。
チェックリスト
簡単なように見えて上記のような数の情報の抽出をどんなときにも安定して行うにはチェックリストが必要です。チェックリストを使うことで単純に抜き出せる情報量を増やせますし、分析によるアウトプットの質の底上げにもつながります。
私が経営やマーケティングに関する時系列グラフから情報を読み取るときにチェックしていることを独自のチェックリストに落とし込んでみたのでよかったら使ってみてください。
集計期間は、いつからいつまでか
データの単位は何か
最大値、最小値はいつか
全体の移動平均は上向きか下向きか、あるいは横ばいか
一定期間ごとにデータをグループ化したときに傾向があるか
大半のデータが一定範囲に分布してないか
データの増減パターンに規則性があるか
年末の12月や年度末の3月に特異な傾向があるか
データにマイナス値があるか
データの内訳に大きな変化があるか
補足
年末や年度末に着目するのは、年末や年度末には他の月とは異なる動きが出ることが経験上多いからです。例えば、Web広告経由のコンバージョン単価の推移を示したグラフの場合、大手企業の予算消化が行われる3月にはCPAは高くなりやすい、といったことが起きます。
さいごに
時系列グラフを例にチェックリストをつくってみましたが、他の種類のグラフでもチェックリストとして整理できそうなのでつくって投稿していきたいと思います。
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