見出し画像

腹をくだしてからが同棲

同棲って、ロマンチックなものだと思っていた。私が腹をくだすまでは。

私が腹をくだしたあのとき、同棲に対して抱いていた淡い夢と希望と、長いトイレットペーパーが、儚く宙に舞い散った。ヒラヒラヒラ〜。

そろそろ寝ようかと電気を消し、あわよくば腕枕をしてもらい、ふたり身を寄せ合った瞬間、腹の違和感はやってくる。「これはまずい、くだす時のアレだ」と悟ってしまう。こんなにも何かを悟りたくないことが他にあるか、いやない。

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね」と起き上がる女。心なしか早足でトイレに向かう夜な夜な。キュッと締められた尻の穴。お食事中の方がおられたら申し訳ございません。それと、安易に韻を踏んでしまって申し訳ございません。

話は急に遡り中学時代の私は、学校でウンコができないタイプの女子中学生だった。学校のトイレでウンコをするくらいなら、転校してやる。昼間にウンコが我慢できなくなったら、早退してやる。そんなレベルの女の子だった。

では今はどうなのかというと、noteという大衆の面前というか、インターネットという大海原で「ウンコウンコ」「尻の穴」などというようになってしまっている。最悪だ。中学時代以降の成長過程に何があったのだろう。初めて人前やインターネット前で「ウンコ」といった瞬間の自分をぶん殴りたい。もしくはウンコを投げつけたい。ああ、また言っちゃった。

とはいえ私の根っこには、シャイで恥ずかしがり屋な自分も、まだ一応いるのだ。だから、大好きな恋人の隣で腹をくだすのは、一応恥ずかしいのだ。

とはいえ私は人間(突然)。しょせん排泄行為をしなければ生きていけない人間なので、きっとこれからも彼の前でウンコをしたくなるだろう、悲しいけれど。同棲をするということは、私のウンコのタイミングを知られるということなんだなぁと考えてしまった。

トイレを済ましてベッドに戻る時、どんな顔をして戻ろうとか、どう言い訳をしようとか考えた。でも、すでに彼は爆睡していた。

そうだよな、ウンコをするくらいなんてことないよな。人間なんだもの。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?