向田邦子さんのエッセイ
2023年の最後は文春文庫「精選女性随筆集 向田邦子 小池真理子選」を読み終えた。
思えばここ数年、向田邦子さんをよく読むようになった。
ちくま文庫「向田邦子ベストエッセイ」
文春文庫「向田邦子を読む」
新潮文庫「向田邦子の恋文」
河出書房ムック「総特集 向田邦子 増補強版」
今回の本は、本屋さんで見るたびに気になっていて、先日購入した。
早速読んでみると、ページをめくる手が止まらず、1日であっという間に読み終えてしまった。読んだことあるエッセイもあったけど、新鮮な気持ちで読めて、楽しかった。
実は「向田邦子ベストエッセイ」を読み始めた当初、どんな人か分からずに読んでいたので、内容が頭に入らず、読み終えるのに3年も掛かったという思い出がある。
1回ムック本挟んでみて、また読むこと繰り返していくうちに、良さに目覚めて一気に好きになった。
一度好きになると面白いくらいスラスラと頭に入って、流れるように読めるから不思議。
選者の小池真理子さんによる、まえがきも良い。
向田さんの訃報を聞いた時の心境をこのように書いている。
向田さんの死はあまりにも突然で、しかもご本人にとってはこれからというタイミングだった。
この時の人々の心境は、当時を知らない私には想像するしかないけど、まえがきのタイトルにもなっている「ふいに緞帳が下りて」を読むと、かなり衝撃なニュースだったと思う。
向田さんの文って、人間を描いている、それも「らしさ」ではなく「くささ」であるところが好き。
日々の出来事を書く。しかもシンプルにあっさりと、そして1本筋が通った文章。それがまた良い。
解説にもあった言葉で気付いたこと。
あれこれ細かく書かれていて、しかも濃度高めな文だと、読む時にかなりのパワーを使う。
個人的な好みだけど、それで疲れやすいので、昔から短編集やエッセイばかり読んできた。
だからか、向田さんの文章は読んでいて心地よい。何気ない日常の中にハッと気付く。そんな瞬間が好きなんだと思う。
母からもらった「思い出トランプ」、また読み返してみよう。