見出し画像

三島由紀夫を読む

三島由紀夫の『金閣寺』は、古本屋で全然安くなっていない。
他のも定価とほとんど変わらない値段がつけてあった。
今、世の中は三島ブーム?

私は『仮面の告白』か『金閣寺』を大いなる昔に読んだことがあるが1ミリも覚えていない。
バイトで一緒だったお姉さん(当時)が
「なんか『仮面の告白』でずーっと三島由紀夫がホモのことをじっとり言うのがちょっとねえー」
と言っていて、その人が『ゴーマニズム宣言』を仕事中に読んでいた、ということしか覚えていない。

で、最近、三島由紀夫の『命売ります』という本を読んだ。

数年前に買って放っておいたのを、見つけて読んだ。
そしたら結構面白かった。

三島由紀夫の、ブスな女の人に対する描き方がすごい。
「芋のように笑った」とか「このオールドミスは、自分がオールドミスという自覚を持って愛が叶わないことを知っており、自分をわかっている」とか、そういうの。
私のだいたいの記憶で書いているので、
「三島の美しい文体と違う! ねじまげるな!」
とかいう人は本を参照して下さい。

私は個人的に、小説を読んでその場面や人物をリアルに頭に思い描くのが苦手である。
全然映像が浮かんでこない。
しかしこの本は、星ひゅうまのような主人公(と私の脳は映像化した)が和田勉のようなじいさんや手塚治虫のマンガのような外人とやりとりして、すごい美人(具体的な映像は思い浮かばないがとにかく美人)やすごいブスも色々出て来る。場所は、だいたい浜松町が東京にある、とわかっていればよく、あとはゴキブリを見たことがあれば、予備知識がなくても物語を楽しめる。
と思う。

だから、「なんか面白い本ないかなー」と思っている人で、三島由紀夫の本を読んだことがない、という人におすすめの本である。

世の中には「平均律も知らないでバッハを語るな」とか「ルーブルでモナリザ見たくらいで美術愛好家を気取るな」とか「三島由紀夫を一冊しか読んだことないのか」とか、そういう気取ったことを言う人がいる。
私はルーブル美術館に行ったならば、モナリザのポストカードを買うのが当たり前だと思う。

三島由紀夫の本も今後、読むか読まないか私の自由だと思う。

三島由紀夫が生きていて、もし私の親戚のおじさんだったら
「中年だし、いいんじゃない? 無理して俺の本読まなくても。あんたの寿命は好きに使いなさいよ」
と言うと思う。

オワリ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?