イノベーションのジレンマに負けるな。
VUCAの時代で競争に勝つために
以前「唯一最善のリーダーはおらず、時代や環境に応じて変化する」というコンティンジェンシー理論について書きましたが、経営者(ここでは、エグゼクティブや役員を含めた概念とする。)は、常に時代に即した知識や考え方を勉強し、アップデートしていかなければなりません。
新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ振興、覇権主義を進める中国など、世界情勢は混とんとしており、これをVUCAの時代と呼びます。
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語です。
今までは、経験や勘で乗り切ってうまくいってきた経営も、より複雑化し、競争が激しい世の中ではそうはいきません。
いくら過去の成功体験や長年の経験があるといっても、今同じようにやった場合、それがうまく行くという保証はありません。
予測できないことがいつ起きるか分からないこの時代、経営者は何か有事が起きた際には、これらの環境変化に常に迅速に対応していく必要があります。
経営者は、感情や感覚で動くのではなく、多くの情報を元に論理的・合理的に物事を判断し、決定していかなければなりません。
偉い人ほど勉強せよ。
その一つの手段が、MBAなどで最新の経営の理論やフレームワーク、多くの他社のグッドプラクティス(ケース)を学ぶことです。
統計によりバラツキはあるのですが、日本の経営者のうち、MBA取得者は1%にも満たないのですが、アメリカの経営者の40~60%はMBAを取得しているとされています。
これはMBAを取ればいいという話ではなく、学歴がなくても経営はできますが、経営には知識が必要であるということです。
スタートアップを起業した若い経営者と話すと、非常に勉強しているなあと感心させられることが多いですが、大企業の役員で、経歴は立派ですが、話を聞いてみると経営感覚や知識が何十年か前で止まってしまっている、(元は)優秀な経営者もいて、がっかりさせられます。
しかし、立派な経営者は、何歳になっても勉強し続けますし、考え方も非常に柔軟で、新しいことも常に取り込んでいきます。
優秀な若手社員を多く抱えていたとしても、それを活用する風土や組織がなければまったく意味がありません。
そして、社長自らも勉強しなければ、結局社員と視座が合わず、最終的なな判断をすることができません。
社員に勉強させ、底上げをするのは非常に良いことですが、それと同時に経営者自らも勉強し、きちんと理論や知識に裏付けされた意思決定をしていくべきだと考えます。
ゼロベースで考えよ。
ビジネスにおいて何より重要なことは、「守破離」「不易流行」の考えかたです。
良いものは残してもいいのですが、必要に応じて、捨てたり、新しいことも取り込んで経営をしなければなりません。
どんな商品・サービスも成長があれば、衰退があります。これをプロダクトライフサイクルというのですが、会社でも同様に、成長と衰退があります。
衰退する前に、次の一手を出すことがさらなる成長を生み出します。守りだけを行っていれば、勝つことができないだけでなく、いつか負けるでしょう。
ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン(ミルクシェイクの話でも出てきました。)が提唱した「イノベーションのジレンマ」いう概念があります。
簡単に言うと、どんなに優れた会社であっても、大企業になると、イノベーションを失って、守りに入ってしまう可能性があるということです。
成功体験や、現在の利益を生み出している市場に引きずられ、小さな市場には魅力を感じなくなるため、挑戦しなくなるのです。
つまり、「大企業病」ですね。
経営者たるもの、何事も常にゼロベース(過去や前例、成功体験にしばられず、先入観なしにまっさらな状態から考えること)で考えていくことが、競争に勝つためには重要です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
少しでも皆様のお役に立ち、新たな気づきや思うことがあると幸いです。
また、感想やコメントをもらえると励みになります!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?