【読書感想文】 四畳半神話大系
本日は、『四畳半神話大系』(森見登美彦 著)をご紹介します。
四畳半の下宿で暮らす大学3回生の主人公が、夢見ていた薔薇色のキャンパスライフとはかけ離れた奇妙奇天烈な日々を4つの並行世界で繰り広げる物語。
結構早い段階で、私は一体何を読まされているのだろうという思いが、胸の奥からふつふつと湧き上がってくるのを感じました。
主人公はどの世界でも、結局は、出逢う人に出逢い、手に入るものは手に入れ、意味不明な馬鹿馬鹿しい目に遭います。
私はいつの間にかこの珍妙な面白さに呑み込まれ、秀逸な解説文にあるお言葉をお借りさせていただくと、コピー・ペースト機能を悪用した手の込んだ仕掛けにすっかり踊らされていたのです。
人間誰しも、悩み迷いながら意識・無意識のうちに毎日何かしらの選択をしながら生きています。
そして、いくつかの選択肢から何らかの決断をして行動した先で、誰もがもしあの時あちらの道を選んでいたら、と思ったことがあるのではないでしょうか。
でも、もしかしたらあちらの道を選んでいたとしても、自分は自分のままである限り、過程が多少違うくらいで結果という未来は大して変わらないものなのかもしれません。
しかしながら、勉学が疎かな主人公が過ごす日々は、いわゆる薔薇色のキャンパスライフではまったくないけれども、ある意味ではとても充実していると感じます。
だからと言ってそれに憧れはなく、ましてや同じような目には絶対に遭いたくないですが、ラーメンが美味しそうに思えたことと千円札の件が羨ましかったのは、正直、悔しい。
P.S.
読書メモを見てみたら、「読了後、思わず黒糖カステラを1本一気に食べてしまった」と訳の分からないことが書かれていました。
ちなみに、黒糖カステラは作品と関係ありません。
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