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【読書感想文】 たゆたえども沈まず

本日は、『たゆたえども沈まず』(原田マハ 著)をご紹介します。

19世紀末のパリ。

まだ無名の画家だったフィンセント・ファン・ゴッホとその兄を献身的に支え続けた弟、テオドロス(テオ)、そして、彼らと親交を深め、寄り添った2人の日本人画商の物語。

別々のようで一心同体だったゴッホ兄弟の、お互いを強く愛するが故の激しい苦悩が哀しく、胸が痛みました。

フィンセントが命と心をすり減らし、それを叩きつけるように描き、テオに送り続けた絵画の数々はフィンセントの死後、世界中の多くの人々を魅了し続けることになります。

しかしながら、生きている間にその才能が認められてほしかった、と思わずにはいられません。

もしそうであったなら、また別の苦しみが生まれたかもしれないけれども、フィンセントもテオもどこかで救われていたような気がします。

それから、日本人の誇りを持って、正しい知識で日本美術の素晴らしさを伝えるべくパリと闘った画商、林忠正の存在は興味深く、誇らしい気持ちになりました。

読了後に最初の章を読み返して、とても切なくなりましたが、すべてが繋がり、引き継がれていることを感じさせられました。

これは確かに史実を元にしたフィクションですが、私は、日本人画商の2人がフィンセントに影響を与え、テオの心からの友であったと、そう信じていたいです。

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P.S.

表紙になっている『星月夜』を直に鑑賞してみたいです。

ネットで検索して画像を眺めるだけでも心を惹きつけられる魅力があります。

ちなみに、『星月夜』はニューヨーク近代美術館の永久コレクションだそうです。

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