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#13 月曜日がまたやってきた...

また月曜日がやってきた。一時間目の自然科学はまず座学の授業を受け、ノートをとった。このクラスにはESLの授業でクラスメイトのメキシコ出身の生徒が二人いた。その二人の生徒はたまにスペイン語で何か話していた。私は少し羨ましかった。この学校にはスペイン語、ポルトガル語、中国語やアラビア語を話す生徒が少しいた。だから、英語が流暢でなくても他言語で意思疎通したり、友人と話し、笑ったり、ふざけ合ったりすることができる。でも日本語を話す生徒はこの学校にはいなさそうだった。私は少しだけ心細くなった。英語は流暢ではないから、なにか一生懸命に伝えようとしても、WHAT?と大きい声で強めに聞き返してくる。私は強くワアァットオ?と聞き返されてしまうと、口ごもってしまう。私は小心者なのだ。私は英語が上手くない。そして英語が分からないことが恥ずかしい。色んな見栄や感情がコミュニケーションの邪魔をしていた。でも大抵はただ単純に分からない。何を言っているんだろ?と推測するしかない。だから、私は適当にYes またはNoって言ってみることにした。でもそうすると、相手が納得してくれる時もあるが、困惑した顔をして私の顔を見つめる人もいた。そうなると私も困ってしまうので、知らんぷりをした。でも、小心者の私は内心、とても焦っているのだった。


二時間目は体育で、今日はバトミントンだった。ソフィアが見当たらなかったので、今日は休みのようだった。今日初めて知ったが、チームが既に決まっているらしかった。私は七チームだった。私以外のチームメートは話したことのない男子二人だった。ダブルス形式での試合だったので、ローテーションで守備位置を回していった。この二人はとても陽気で、オーバーリアクションを見ているだけで笑えた。サービスが決まれば、ハイタッチをして喜び、相手チームに点を取られてしまうとNO!などと悲しそうに叫んでいたりした。体育はそこまで英語を話さなくても済むので楽しめるのがとても良いなと思った。


昼休みは前半と後半二つに分かれていて、前半の昼休みに四時間目の教室に向かって世界史の再テストを受けた。恐らく前回に比べたら、良い点数を獲得できるのではないかという手ごたえはあった。再テストを受け終わり、後半のランチタイムの時間になったので、教室を出て、カフェテリアに向かった。最近ESLで同じクラスのベトナム人の女の子と一緒に食べているのでその子を探したが見当たらなかったので、適当に席を見つけて一人で昼食を摂ることにした。転校してきた当初は一人で昼ごはんを食べるのが嫌だったが、今は慣れてきた。周りを見渡すと、私が思っていた以上の数の生徒が一人でカフェテリアの席に座って、携帯をいじったり、宿題をしていたり、音楽を聴いたりと自由気ままに昼休みを過ごしていた。だから私も一人で昼食を摂り、自由気ままにBランチの時間を過ごしてみた。少し、最初は寂しい気もしたが、慣れてしまえば、気楽でこれはこれで良いものだと気が付いた。


昼休み終了のベルが鳴り、皆一斉に各々の教室に向かって行った。私は三時間目のESLの教室に向かった。私はこのESLの授業の雰囲気が好きになっていた。皆、母国語は英語ではないから、私が英語を上手く話せなくても誰も笑う人もいない。気楽だった。皆、英語で上手く自分が思うように意思疎通できなくても、会話をしたくて、必死だった。私も英語が上手ではないなりに頑張ってコミュニケーションを図ろうとしていた。中国出身の男子生徒がアニメの話をしてきた。李君はワンピース、ナルト、ブリーチ、コナンなど様々な日本のアニメを知っていて好きなんだと言っていた。私も知っているかと聞かれたので、「知ってるよ」って返答した。中国でも日本のアニメが人気だということは知らず驚いた。そういえば、こないだ、近所にある本屋さんにもMangaコーナーがあって、日本の漫画が英訳されて販売されているのを見かけた。私も一冊英語の勉強になるかなと思って、日本で読んだことのある漫画を一冊買ってみた。まだ読み始めていないが。


四時間目は世界史の授業だろうと思って、教室を移動したが、何故か英語の授業を受けることになっていた。まだ学校の仕組みを完璧に理解していないみたいだった。英語と言っても、アメリカの生徒と一緒に受ける英語の授業ではなくて、私と同じレベルのESLの生徒と英語の授業を受けた。ESLには四段階のレベル分けがされているみたいで、私はESL 1で一番初歩的な英語を学ぶ授業に配属されていた。恐らく以前受けたテストの点数に基づいて、決定されたのだと思う。授業の内容は私が日本で中学一年生の時に習った英語の文法だったので簡単だった。周りにいる生徒の中には悪戦苦闘している生徒もいた。やっぱり、英語って中学レベルの簡単な英語でも知っていると役に立つんだなと思った。


二時十八分。チャイムが鳴り、皆教室から出た。私もノートやプリントを鞄に詰め込んで、先生にSee you って言って教室の外に出た。スクールバス乗り場に向かった。生徒達が各々自分のスクールバスを懸命に探す。皆必死だった。だって、スクールバスを見つけられず、スクールバスに乗り遅れたら大変。自分のスクールバスを見つけられないと結構焦る。スクールバスが毎回同じ場所に停車していてくれれば、一生懸命になって探す必要もないのに、スクールバス乗り場内で私が乗らなくてはならないスクールバスがいつも同じ場所に停まっているとは限らない。

スクールバスを探すコツは、まずは自分が乗車するバスの番号を探すことだけど、一緒のスクールバスに乗っている生徒の顔を覚えることも大事。あとスクールバスの運転手の顔も。そしたら、その生徒にWhere is our bus?って聞けば言いし、それか勝手に後ろにくっついて、相手が探してくれることを祈る。又は、探している時にバスの中に乗って待っている運転手の顔や生徒の顔を見て、バスを探すこともできる。スクールバス番号はたまに何故か急遽変わっていることもある。だから、本当に一生懸命になって探してる。やっとの思いで私のスクールバスを見つけることができた。

今日のスクールバスの運転手はいつもと違ったけど、中に乗っている生徒を見渡すと、顔馴染みの生徒が乗車していたから、私は安心して適当に空いてる席に座った。今日のスクールバスの運転手は若い兄ちゃんだった。その若い兄ちゃんはいつものおばさん運転手とは違う曲がり角で曲がった。周りに座っていた生徒もいつもと違う道を通っていることに気が付いたみたいでなんか少し騒がしくなった。下り坂を一気に下りて、そして上り坂やカーブをいつもより早いスピードで駆け抜けた。その若い兄ちゃんが勢いよくスクールバスを走らせるから、バス内の生徒が盛り上がっていた。実際に、私もなんかジェットコースターに乗ってる気分になって、いつもより面白く、少しヒヤヒヤしながら乗っていた。でもその兄ちゃんはちゃんといつもと同じ場所で下車させてくれた。

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