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映画『マザーウォーター』の話

ここ最近、ずーーっと何かを書きたい、という思いはあったんだけど、というか少し書いては→下書き保存を繰り返していたのだけど、ようやく自分の中に少し余裕というか、余白が出来て、まとまった文章が書けそうなので書いてみる。

もう4月も終わりだけど、春の間に書いておきたいテーマがあったので、それについて。

***


桜が綺麗なこの時期になると観たくなる映画がある。
『マザーウォーター』2010年公開の邦画だ。

「かもめ食堂」「めがね」「プール」など、人と場所との関係をテーマにした作品を撮り続けてきたプロジェクトが、豊かな水の流れを持つ街・京都を舞台に描いた人間ドラマ。
ウイスキーしか置かないバーを営むセツコ、コーヒー店を開いたタカコ、豆腐屋のハツミら“水”にこだわる3人の女性と、彼女たちにかかわる人々の日常をつづる。
監督は本作が長編デビューとなる新鋭・松本佳奈。出演は小林聡美、小泉今日子、加瀬亮ら。

映画.com

京都を舞台としており、映像がとても綺麗。
登場人物たちの淡々とした会話と、川の流れなどの自然音、生活音のハーモニーがとても良い。
劇中の音楽もとても良くて、それが更に映画を引き立てている。

サントラだけで聴いても充分素敵なので、CDを持っている程。映画と同じようなゆるい空気感が流れていて、とても良い。


鴨川の満開の桜の下に座りながら、マコト(もたいまさこ)とジン(永山絢斗)が会話するシーンがある。

○:マコト ◆:ジン

○ 流れるねぇ
◆ 流れますねぇ
○ なんだかここに来てしまうよねぇ
◆ うーん
○ あんたが決めていいのよ
◆ うん?
○ 自分で決めたことなら、どうなったって面白いから
◆ そうかなぁ
○ そう、どっちに転んだってなるようになるよ
◆ 転ぶのか
○ まだそんな事言ってるの?
◆ だって。
○ いいから一度転んでみな
◆ 転ぶって、どうやって?
○ この川にドボンと飛び込んでみたら?
◆ え?
○ 大丈夫、浮いてくるから
◆ 本当に?
○ 試してごらん
◆ じゃあ、お先にどうぞ
○ 何言ってるの
◆ お手本見せてくださいよ
○ あんた言うねぇ。でも、それじゃあ進化はできないよ。
  人はぴとぴと進化していくから面白いのよ。
◆ ぴとぴと?
○ うん、流れながら見えてくる事もあるしねぇ。

映画『マザーウォーター』より

50代くらいの女性が、20代であろう若者にかける言葉。
このマコトさんは、豆腐屋さんの豆腐を店先で食べてみたり、銭湯では炭酸を飲んだ後に入浴したり、思いつきでいつもと違う場所へ行ってみたり、自由な人として描かれている。

3月の終わり頃に久しぶりに観て、4月から仕事環境が大きく変わることに不安になっていたが、流れに身をまかせるまではいかないけど、変化に逆らわず、その時々の状況を味わっていこう。と思ったら少しラクになった。

何度も繰り返し観ているけど、観るたびに何かしらの発見があったりする大好きな映画。
いつか京都に行った際にはロケ地巡りをしたい。

ゆったりした雰囲気が味わえる映画です。気になった方はぜひ。

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