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今年こそ完全復活!?季節性インフルエンザと薬のはなし

「今年は流行る」
コロナ過で言われてきた医療業界の誰かの台詞。
1年目、2年目と流行ることなくインフルエンザの存在が薄まってきたかと思った人もいるかと思います。
しかし、今年は何やら違うようです。
今年の1月中旬くらいから、じわじわとインフルエンザの罹患者が一部地域で増えています。
今回は、
「そういえばインフルエンザってどんな症状だった?」
「インフルエンザの時に使う薬って何があるの?」

という基本的なお話をしてみます。

インフルエンザとは?普通の風邪と何が違う?

インフルエンザは、1年の間によく見られる風邪の症状と似ているます。
でも、何が違うのかいまいち分かりませんよね。
簡単に説明していきます。

一般的に言う「風邪」とは何か

1年中、いつでも罹る「風邪」というのは、様々なウイルスによって引き起こされます。
症状としては、咳・鼻水・くしゃみ・のどの痛みなどが中心です。
発熱症状が起こったとしてもインフルエンザほど高くはないでしょう。
ですから、重症化するということはほぼありません。

インフルエンザとは何?

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染することにって引き起こされる病気です。
ウイルスによる咳や鼻水症状だけでなく、38度以上の発熱・頭痛・関節痛・全身倦怠感なども症状としてあらわれます。
インフルエンザが重症化してくると、小児や高齢者・免疫力の低い人は脳症や肺炎などを起こしてしまう場合も・・・。
季節性のインフルエンザは流行性で、日本では12月~3月が流行シーズンと言われています。

インフルエンザと診断された!どんな薬がある?

何年か前は「インフルエンザといえばタミフル」という印象が強いのではないでしょうか。
しかし、インフルエンザに対して効く薬は今では数種類存在します。
薬の特徴と一緒に簡単に紹介していきますね。

タミフル

抗インフルエンザ薬といえば一番最初に思い浮かぶのはタミフルでしょう。
タミフルは2001年に日本で発売されたインフルエンザウイルスを治療する薬です。
タミフルは小さな子どもも服用することができます。
剤型として存在しているのはカプセルとドライシロップ(粉薬)。
1日2回、5日間しっかり服用しなければいけません。

ドライシロップに関しては、子ども向けに作られたとは言えあまりおいしいとは言えません。
原薬に対してコーティングしてあるので多少の甘みはありますが、服用した時に味わってしまうと苦みを感じてしまいます。
そこで、製薬会社からは「〇〇に混ぜると苦みを感じにくい」「〇〇は苦みを感じやすい」などの情報が記載された紙を配布しています。
小さいお子様は粉薬の味が嫌いな子もたくさんいるので、お母さんお父さんは飲ませるのに苦労するんですよね・・・。

リレンザ

タミフルがインフルエンザの薬では有名ですが、実は日本で初めて発売された抗インフルエンザ薬なのです。
発売はタミフルよりも2か月ほど早い2000年12月。
リレンザは内服薬ではなく吸入薬です。
吸入薬というのは、微細な粉薬を口から吸うもの。
微細とはいえ、粉薬を吸うのですからむせてせき込む人も中にはいらっしゃいます。
服用日数はタミフルと同じく1日2回、5日間。
専用の吸入器を用いてしっかり服用します。
吸入薬なので、小さな子どもには難しいですよね。
使用するのは主に中学生くらいからにそりそうです。

イナビル

イナビルは比較的新しい抗インフルエンザ薬です。
日本で発売されたのは2010年。
イナビルは、リレンザ同様吸入薬です。
しかし、リレンザと違うのは5日間投与ではなく、なんと処方されたその日に吸入するだけ!
1キットの中に2か所、微細な粉薬が入っているます。
成人は2キット・10歳未満は1キット吸入するだけです。
発売当時はとても画期的な薬でした。
注射剤タイプもあるようですが、こちらはおそらく病院での入院患者向けでしょう。

ゾフルーザ

ゾフルーザも割と最近発売された薬です。
発売は2018年3月なんですが、コロナ過でなかなか活躍できませんでした。
2018年3月の発売直後はインフルエンザの流行シーズンは落ち着いてしまい、主に活躍したのは2019年の流行シーズンのみ。
その後はコロナ過となってしまったのでインフルエンザは流行らず。
今年、ようやくインフルエンザ流行の兆しが見えてきたので、今後に期待です。
ゾフルーザも単発投与で済む薬です。
剤型は錠剤なので、カプセルが苦手であったり吸入での咳込みを恐れている人にとっては使い勝手がよさそうですね。
成人量や12歳未満などで服用する規格や錠数なども変わってくるようなので、受診の際はお子様の体重などもしっかり把握しておくようにしてください。

インフルエンザの時に使う解熱剤は?避ける薬は?

38度以上の発熱や頭痛の症状があらわれた時に、手元に解熱鎮痛剤があると安心しますよね。
インフルエンザの際には、解熱剤の第一選択肢はカロナール(アセトアミノフェン)と言われています。

「インフルエンザと診断されたのにロキソニンを飲んでしまった」

と、動揺する人もSNSでたまに見かけます。
インフルエンザでロキソニンを服用するのは絶対にダメというわけではありません。
しかし、小児に使うときに避けた方が良い薬はあります。

避けた方がよい薬

インフルエンザに罹った時に避けた方がいい薬はいくつかあります。
代表的な薬は以下の3種類です。

  • ボルタレン(ジクロフェナクNa)

  • アスピリン系鎮痛剤(アスピリン)

  • ポンタール(メフェナム酸)

避けるべき理由も存在しています。
それは、インフルエンザ脳症を引き起こしてしまうから
インフルエンザウイルスにより意識障害・けいれん・異常行動などがあらわれてしまいます。
そもそも、インフルエンザにかかると脳症になってしまうリスクは高いので少しでも気を付けておいた方が良いでしょう。

第一選択肢として考えた方がよい薬

やはりカロナール(アセトアミノフェン)を使うのが良いでしょう。
日本小児科学会でも、

一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。

公益財団法人 日本小児科学会

と、記載しています。
できればカロナール(アセトアミノフェン)を使うのが良いですね。
市販薬でもアセトアミノフェンは売っていますが、購入の際には薬剤師・登録販売者に相談してください。

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