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木の芽時

今ではあまり聞かなくなった言葉です。

木の芽時とは「立春から春分の日頃までの時期」を指していて、気候が暖かくなり気温の変化が大きく、体調を崩しやすい時期のため昔の人たち代々、病気に注意するよう言い伝えてきた、とのこと。

ちょうど今くらいの時期になる訳ですけど、確かに体調を崩される方が増えて来ますよね。
これは気温差などによる自律神経の乱れが体調に表れる、ということのようですけど、同時にココロの不調を訴える方が増えてくる時期でもあるんです。

以前にも書きましたが私は、今の仕事を始める前は精神や知的障がいを抱えている方々が集まる作業所の支援員をしていたんですけど、この季節になると利用者さん達に精神的な変化が顕著に表れることを経験しています。

普段は物静かでおとなしい方がこの時期になると多動になったり、奇声を上げるようになったり、ひどくなると発作を起こしやすくなったりする方も居ました。
その影響が周りの利用者さんにも影響してしまい、精神的に不安定になってしまう方も出てくるため、いつも以上に見守りをしっかりする必要がありました。

また今の仕事を始めてからは「うつ」を始めとするココロの病による不調を訴える方がカウンセリングに来られる時期として、年間で2番目に多い時期だと感じています。

一番増えるのは秋で、2番目が今の時期からゴールデンウィークが明ける時期くらいまででしょうか。

春は出会いと別れの季節なんて言いますけど、新しい学校への進入学や就職、人事異動による部署の異動や転勤など、その環境や人間関係に大きな変化がある時期で、それに伴って人が動く季節でもあることからそれまでに人間関係で悩んで来た方などは特に、緊張したり不安を感じたりしてしまうようです。

じゃあそこで病院でも…と心療内科や精神科を予約しようとしても、これがなかなか取れないという現状があります。
これは時期に関係なくもう何年も続いているようで、私のところにいらっしゃるお客様からもこの話はよく聴きます。

初診で予約が1か月先ならまだラッキーで、多くは2ヶ月とか3か月先まで取れない、なんていう話はざらにあります。
逆を返せばそれだけココロの病で悩んでいる方がたくさん居るという証拠で、病院へのハードルが下がっている点では良いことだと思うのですが、それにしても行こうと思っても思うように予約が取れずそのまま放置してしまって、結果的にココロの病を重くしてしまう方も居る事はやはり問題です。

中には「心療内科の予約が取れなかったから、とりあえずカウンセリングに来てみた」というお客様も結構いらっしゃいます。
そこで愚痴や不安などを吐き出して少しでもココロを楽にしてもらったところで、その方が訴える症状によっては掛かり付けの内科などでも状況を話せばお薬は出してもらえると思いますよ、と伝えるとそこから比較的早く回復される方も出て来ます。

実際に私は最初のうつの時、掛かり付けの内科に行って色々と検査してカラダには問題なし、ココロの方に問題があるようだ、と言われてとりあえず睡眠導入剤と抗不安薬を処方してもらい、そこの先生の紹介で2週間後には精神科を受診出来た経験があることから、こんなお話をお客様にもしています。

ココロの病はお薬だけでも回復しないし、カウンセリングだけでも回復出来ません。
両方をうまく併用していくことで、順調に回復していくようになります。
これを我慢したり「自分は大丈夫」なんて思ってしまうと、ココロの病からの回復はとんでもなく時間が掛かるようになってしまいます。

今、ココロの不調を感じている方はなるべく早めに病院の予約を取ってしまうこと、ひとまず掛かり付けの先生のところに行ってみること、ちょっと勇気を出してカウンセリングを受けてみることをお勧めします。


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