どうして?どうして!?
起きているのが辛いので、今日もベッドに逃げていたら、仕事関係で長い付き合いのある営業マンから突然電話が来た。
その人は定年をとっくに過ぎても会社に頼まれて働いていて、昨年退職。
オレのバリバリ稼いでいたころからの付き合いで、家族のことも知っている人だ。
もう80歳超えたくらいと高齢だけど、営業マンを絵に描いたような元気な人で、退職してもたまに電話をしたり、電話が来たりの仲だった。
当然、メンタル不調も知っていて「どお?調子!」と元気な声ではじまる電話も近年はやさしくて「焦らないで、そのうち、また元気になるよ」といつも励ましてくれていた。
妻が出て行ってしまってから、何度か電話しようと思っていたけど、電話したところで困るだろうし、と電話はしなかった。
そんな人から突然電話があり、一瞬出るのをためらったけど電話に出てみた。
「どぉ?元気!」といつもと変わらず営業マンらしい元気な声だった。
事情を話すつもりはなく、話しを合わせたけど、どうもオレの元気のなさが伝わるのか「どうしたの?」と何度も聞かれる。
やっぱり言っておくかと涙ながらにいきさつを報告したら
「えっ!何?どうして?どうして?」とパニックのような状態で何度も何度も聞かれて「だからいなくなっちゃったんだよ」と言っても、相当ショックだったようで、なかなか状況を飲み込んでくれない。
オレも強い口調になり「オレにもわからないんだよ!」と叫んだ。
やっと事実だ、と認識してくれて
「あんなに頑張っていたのに・・・」としょんぼりと答えた。
お喋りで生きてきたような人なのに、一気に言葉が少なくなった。
「言ってくれたのはうれしいよ」「長い付き合いなんだから」と言われたけど、オレの話しはほかの人まで暗い気持ちにさせてしまうから、辛いよね。
「かける言葉が無いよ、ごめん」と何度も言われるのが逆に辛くって
「みんなそうだから、気にしないでいいよ」と言った。
オレの元気なというか若いころのことや、仕事のできたころのこと
家族のことも知っているから、なおさら言葉なんて見当たらないよね。
今日はかける言葉が見つからないから、また電話かけるからと言い
「死ぬとかだけは考えないでくれよ」
と電話が切れた。
80年以上生きてきた人が絶句する、言葉を失うオレの状況って、どれだけなんだよ。
今度いつまたその人から電話が来るかわからないけど、オレはこの先どうなるんだろう、と思った。
その人からまた電話が来るそのころには、もうそろそろオレの人生に良いことが起きても罰は当たらないんじゃないか、と思うけど、どうだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?