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#5 【読書感想文】 歴史学者という病を読んで...

はじめに

陋習(ろうしゅう)と申します。拙い文章ですが、読んでいただけると幸いです。可能な限り、心のままに、素直に記すことを目標にしますが、人間ですので見栄を張ったり、誇張したりするかもしれません。それも良しなのかもしれません。一般常識を鑑みるとともにご覧の皆様に配慮しながらも自身の思いを述べようと思います。

歴史学者という病とは

東京大学史料編纂所教授の本郷和人さんが書かれ、講談社が2022年8月18日に発売をした書籍です。

講談社のHPでは以下のような説明がなされています。

ぜんぶ、言っちゃうね。
このままでは日本の歴史学は崩壊する!?
歴史を愛する人気学者の半生記にして反省の記――。
歴史学は奥も闇も深い

●「物語の歴史」と「科学の歴史」の大きな違い
●時代が変われば歴史も変わる怖さ
●実証と単純実証は断じて違う
●皇国史観VS.実証主義の死闘
●教育者の一流≠研究者の一流
●修業時代とブラック寺院
●私は認められたかった
●「博士号」の激しすぎるインフレ
●「古代+京都」至上主義の嫌な感じ
●「生徒が考える」歴史教科書はNGだった
●歴史学衰退の主犯は大学受験
●私を批判する若い研究者たちへ
●唯物史観を超えるヒント
●網野史学にも検証が必要だ
●民衆からユートピアは生まれるか
●「日本史のIT化」は学問なのか
●次なる目標はヒストリカル・コミュニケーター

講談社

歴史学者という病を読んだ感想

当然のことながら、本郷先生をはじめとする歴史学者レベルの知識を有していることもなければ、日本史を愛し、常日頃から知識を積み重ねる方々とは知識の量、質が違うため、本編内に書かれていた歴史学内で巻き起こる考え方の違い、歴史の事象に対する認識について持論を持っているわけではありません。ある種の1人の一般の人として読んでいますので、その点についてはご理解いただければと思います。

この本を読んで感じたことは、非常に正直かつ素直に書かれたということと、先生を取り巻くパワーバランスが非常に面白いということです。

本郷先生の素直な思いについて

本郷先生はこれまでの人生を振り返り、素直な思いを記しています。この姿勢はこの本だけでなく、先生が出演されているYoutubeの動画でも見られます。先生なりの言い方で物事を説明する姿は本でも動画でも変わらないのでしょう。

本の中で本当に素直だなと思った数箇所を抜粋してみたいと思います。1つ目はテレビ出演に対する批判について反論をする箇所です。東大の先生である本郷先生がテレビに出演することに対して、批判があるという。そして、先生がテレビに出演する理由として、多くの人に歴史を好きになってほしいこととちょっぴり著名になりたいという思いがあることであると説明されていました。

一般人であれば、ある意味かっこいい、体裁が良いことだけを言うでしょう。ただ、本郷先生はちょっぴり、人気になりたい、著名になりたい、だって人間だものと。自分の気持ちに正直になるって結構難しいことだと思っていますが、先生は自然にそれをやられていて、だからこそ歴史学者としての道を歩み続けられるのだなと思いました。

2つ目は、本郷先生が浪人を経験した経緯について記した箇所である。周りよりも早く修士論文を書き上げた先生は余裕をこいて悠々自適に過ごした結果、博士課程の書類提出の期限に遅れるというお話なのですが、最後の結びに「なるべく留年はしないほうがいい」とアドバイスを書かれていました。まぁ普通にそうだよねとなるところですが、こんなに赤裸々に教えてくれる先生も中々いないでしょう。大学の先生を含め、先生という職種は一般的に尊敬される立場であり、失敗など許されない雰囲気すら醸し出すものですが、そんな先生にも失敗することがあるんだなと思わされる部分でした。

本郷先生を取り巻くパワーバランス

先生を取り巻く人間として最も大きく影響しているのは、師事をした石井進先生、妻である本郷恵子先生、母の3者であると思いました。もちろん、同級生やその他のゼミの先生、史料編纂所の同僚や上司なども先生の人生に大きく影響を与えた主体であるとは思いますが、とりわけ現在の先生を形作るのに欠かせないのは上記の3人であると思いました。

その中でも本郷先生と妻の本郷恵子先生の関係は上司と部下、ゼミの仲間、先輩と後輩(留年後同級生になる)、妻と夫と様々な役割を持っており、非常に特殊なパワーバランスだなと思いました。ただ常に、学者として、妻として尊敬(この言葉で適切なのかは置いておいて)されているんだなと。

いくつか登場する本郷ご夫妻のお話の中で好きなのは、本郷先生が当時の彼女であった恵子先生に初めてプロポーズした時に、「桶狭間の戦いのように」突然プロポーズをしたが、断られたという話です。歴史学者だから、当然と言えば当然なのでしょうが、この躍動感というか、突発的なプロポーズを表現する上で、非常に良い表現だなと。プロポーズはある意味戦いな訳で、断られたら死を覚悟するくらいの一大事なことではあるので、面白い表現だと思いました。

その他について

本書では、歴史をどう捉えるべきか、受験における日本史の立ち位置、各歴史学者の立場や主張、東京大学史料編纂所の成り立ちや実態、東京大学進学における苦労など上記に述べたこと以外についても説明がなされています。本郷先生の中高時代の話も面白いのでぜひ興味を持たれた方は読んでいただきたいと思います。

終わりに

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
前回に引き続き、本郷先生の書籍を読み、今回も非常に面白かったというのが率直な感想です。著者がどういう人物なのかを知ることは本を読む上で一種の興味を湧かせるポイントの一つなのかなと最近、感じています。昔はあまり読書が好きではなく、全く興味を持たなかった私ですが、最近は本の中身もそうですが、誰が書いたのかという部分に重点を置いて本を選び、読んでおります。

最後に、名前の陋習ですが、意味としては悪い習慣のことを指します。
なぜ、そんな名前にしたのかって?それは私の陋習が続けないことだからです。すぐ飽きてしまう私への戒めなんですね。ある意味、日記として書き続けられるように願います。

また、次のnoteでお会いしましょう。

陋習

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